2014年12月27日土曜日

【赤ひげ大賞】

心を治すカウンセリング 下田憲氏(北海道南富良野町)
 「ひたすらに耐え、ひたすらに待つというとっても深い愛情が有る」。北海道南富良野町にある「けん三のことば館クリニック」の壁にはそんな言葉が貼られている。ほかにも心に響く内容の手書きの短い言葉がいたるところに。すべて院長の下田憲医師が書いたものだ。
 「短い詩の形にしているが、患者さんとの触れ合いでいただいたもの。読みながら、泣いて帰る人が何人もいる。すべてを自分に置き換えているんでしょうね」。1カ月に2度、この言葉は必ず換える。朝3時に起き、「本当に、心のままに書いている」という。

 ユニークな医院名だが、もともとは町の人が集まって小さなイベントを開けるようにと下田院長が建てたもの。「けん三のことば館」と名付けていたが、クリニックにするときに、そのまま名前を引き継いだ。知らない人には「『言葉の訓練をしているところですか』と聞かれたりする」と笑う。
 治療方針もユニークだ。東洋医学と西洋医学を併用し、目指すは「安上がりの医療」だ。
 「毎日40人くらいの患者さんに鍼(はり)治療を無償で行っている。手間と鍼の材料代はかかるが、効果があり副作用がない。もうひとつがカウンセリング。心の傷は薬では治せない。カウンセリングで治す」。まさに赤ひげ先生。地方からの予約診察は2カ月待ちだ。


 以前いた病院では120人の在宅の患者を抱えていた。今も乳児から98歳までを診て、気軽に往診も行う。「ここでやれることをやる。救急を作らないようにきちんと管理し、必要に応じて入院施設のある病院につなぐ」。地域医療が果たす役割の重さを心に刻み、今日も治療に当たる。(松垣透)2014.3.27 14:01 産経ニュース

0 件のコメント: