2016年11月30日水曜日

小惑星衝突の「タイムライン」が明らかに

6,500万年前に恐竜を滅ぼした小惑星衝突の「タイムライン」が明らかに
*メキシコのユカタン半島に確認できる「チクシュルーブ・クレーター」。写真の左上の地上から海にかけて続いていることが確認できるその直径は、約170kmにも及ぶ。

6,500万年前、ユカタン半島に衝突した直径約12kmの小惑星(火星の衛星ダイモスと同じ大きさだ)は、恐竜絶滅の大きな原因のひとつとされている。その衝突は非常に破壊的なもので、19万ギガトンの核爆発に匹敵するエネルギーを放出したという。参考までに挙げると、これまでに製造された最も強力な爆弾「ツァーリ・ボンバ」の爆発力ですら、わずか20分の1ギガトンだった。
小惑星が衝突したことが最も明白なものとして残る痕跡が「チクシュルーブ・クレーター」だ。ロンドン・インペリアル・カレッジの地球物理学者たちの調査隊はこのクレーターを調査し、地球の様相を変え新しい生態系の発生を促したこの大災害がどのように起きたかを明かしている。

テキサス大学オースティン校のショーン・ギューリックの率いる調査隊は、海面下にまで及ぶクレーターのさまざまな深さにおいてボーリング調査(地下の岩石標本の抽出)を実施した。
深さ506メートルから採取された標本は、小惑星が衝突したのちの非常に長い時間、5,600万年~3,400万年の年月をかけて沈殿した堆積物だと判明した。調査隊が掘り進めば進むほど、地殻の奥底に由来する花崗岩によって構成される結晶質基盤の存在がより多く発見された。
「これは、小惑星の衝突が文字通り、地殻をすべて逆さまにひっくり返すくらい強力だっただろうことを示しています」と、調査隊のメンバーの1人、ジョアナ・モーガンは語る。

研究者たちのチームは、さまざまな深さで岩石の構成を詳細に分析し、衝突の厳密なタイムラインを再構成することに成功した。
まず、小惑星は地殻のほとんどすべてを貫通して、そのとき岩石は約10分間、25kmの高さまで上昇したという。その後、形成されたばかりの新しいクレーターの縁には、ヒマラヤ山脈よりも高い岩石層が隆起した。そして、わずか3分間でその場に再び崩れ落ち、地層の中にピークリングと呼ばれる結晶質基盤の輪を残した。同じように、クレーターの中央では岩石の頂上が天に向かって飛び出して、その後、再び地表へと崩れ落ちた。コーヒーカップの中に角砂糖を入れたときと同じような現象だ。10分後に岩石は安定した。
「そのとき岩石が液体のように振舞ったといっても、決して完全に溶解したわけではありません」と、ギューリックは語る。「どのようにして起きたのかわかりませんが、おそらく、衝撃波が岩石を結びつけていた結びつきを破壊して密集状態を失わせ、塊が一時的とはいえ液体であるかのように振る舞うことを可能にしたのでしょう」

さらに、衝突によって放出された信じられないほどの力は惑星全体を横断する衝撃波を呼び起こし、マグニチュード10に達する地震を次々に引き起こした。その力はどんな断層が生み出すよりも破壊的なもので、地表を滅茶苦茶にした。

「わたしたちの発見は、惑星の内部がどのようになっているかについて手がかりを与えてくれる最高のものです」と、モーガンは続ける。「さらに、この大災害は地上の生命を根本的な変える、大きな転換点となりました。衝突が原因で変形した岩石だけをとって考えても、形成された割れ目や穴からは水がより流れやすくなるようになり、それまで地上に見られなかった、新しい生命形態の発達のために理想的だったであろう生息環境をつくり出したのです」2016.11.30 12:52 産経

生まれ年から鳥インフルの重症化リスクを予測?

生まれ年から鳥インフルエンザの重症化リスクを予測可能?
 動物からヒトに感染するインフルエンザウイルスに感染したときに重症化したり死亡したりするリスクを予測する際には、生まれ年が役立つ可能性があることが、「Science1111日号に掲載された研究で示唆された。米アリゾナ大学(ツーソン)生態・進化生物学部長のMichael Worobey 氏らの研究。
 インフルエンザウイルスの感染歴は、新しい動物由来のインフルエンザウイルスに対する防御には全くまたはほとんど影響しないと考えられてきた。しかし、鳥インフルエンザウイルスH5N1およびH7N9によるこれまでの重症例・死亡例を全て分析した結果、小児期の初回のインフルエンザウイルス感染が、将来、どの新しい鳥インフルエンザウイルスに対して防御効果をもつのかを予測するのに役立つことがわかった。

 Worobey 氏らによれば、生まれ年によって小児期に初めて感染するインフルエンザウイルスの種類は異なり、これによって身体で異なる種類の抗体がつくられるという。初回感染したものと同じグループに属する鳥インフルエンザウイルスに感染した場合、重症化に対する防御効果は75%、死亡に対する防御効果は80%と推定された。今回の結果は、インフルエンザが大流行するリスクを抑える新しい方法につながる可能性がある。


 Worobey氏は、「初めて遭遇したインフルエンザ株に対しても、初回の感染歴が防御の成否に大きく影響する因子だとわかったことは朗報である。ただし、このような大きな防御効果を与える刷り込みをワクチンで変えることは難しい可能性もある」と述べている。 2016/11/30ケアネットHealthDay News

2016年11月28日月曜日

「兵糧攻め」で細菌撃退

「兵糧攻め」で細菌撃退、植物の防御の仕組み解明 京大
 細菌に侵入された植物は、栄養となる糖分が細菌に取り込まれないように「兵糧攻め」にして撃退することを、京都大の高野義孝教授(植物病理学)らが解明した。作物の病気を減らす農薬の開発につながる可能性があるという。25日、米科学誌サイエンス電子版に発表した。

 細菌などが侵入すると、植物は抗菌物質を作って攻撃したり、細胞が自ら死んで感染拡大を抑えたりすることが知られている。「兵糧攻め」は新たに確認された防御法となる。
 葉には光合成によって作られた糖分がたまっている。研究チームは、シロイヌナズナの葉の細胞同士の間にたまっている糖分を、植物細胞内に取り込む役割のたんぱく質に着目。細菌の感染を察知すると、このたんぱく質が細胞内に積極的に糖分を取り込んだ。植物に侵入した細菌は糖分を栄養にするので、取り込めないと増殖できない。


 逆に、このたんぱく質が働かないようにした植物では、細菌が10倍以上に増え、葉の広範囲に感染が広がった。 高野教授は「植物の糖の吸収を高める化合物が見つかれば、植物の病気に有効な薬の開発につながる」としている。(西川迅)201611250918分 朝日

ビールの苦味、認知症予防

ビールの苦味、認知症予防…蓄積たんぱく質除去
 ビールやノンアルコール飲料に含まれるホップ由来の苦み成分に、アルツハイマー病の予防効果があることを、飲料大手のキリンと東京大、学習院大の共同研究チームが明らかにした。

 厚生労働省によると、認知症の人は国内に約462万人(2012年)おり、このうち約7割をアルツハイマー型が占めると推計される。加齢に伴い、脳内にたんぱく質の「アミロイドβ」が蓄積することが原因とされる。

 キリンや東京大の中山裕之教授らの実験で、ホップ由来の苦み成分である「イソα酸」に、脳内の免疫細胞である「ミクログリア」を活性化させ、アミロイドβを除去する作用がみられた。イソα酸を含むえさを食べたマウスは、そうでないマウスに比べ、アミロイドβが約5割減少し、認知機能も向上したという。20161128 0738分 読売

2016年11月12日土曜日

筋電義手テクノロジーのいま

最先端技術と企業努力によって義手・義足の未来は変わる!
筋電義手テクノロジーのいま
人間が筋肉を動かす時、脳からの生体信号が筋肉に届きます。筋電義肢はその生体信号をキャッチすることで動くというわけです。
しかし従来の筋電義肢では思うように扱うのは難しいとされてきました。例えば手首を欠損した人の上腕に筋電義手のセンサーを取り付けた場合、手首を「内側に曲げる、外側に反らす」を意識します。すると上腕の筋肉は反応しますから、センサーが信号をキャッチ。しかし、こうして実際に動く筋電義手は「手のひらを開く・閉じる」なのです。つまり、思うように義手を動かすというよりは、義手が動くためのパターンを理解して、それに呼応するように上腕の筋肉を動かす必要があるわけです。使いこなすためには訓練が必要であることがお分かりでしょう。

しかし、メルティンMMIというベンチャー企業が開発した筋電義手は直感的に義手を操作することが可能です。
*実際の手と同じように義手が動きます。

一般人が手に入れるには問題点が
一般人がアスリートのように、自由自在に身体を動かすためには筋電義肢が必要であること、またそのための技術的な問題はほぼクリアしていることが分かりました。
しかし、一番のネックとなるのがコスト面。いくら、技術が発展しても我々に手の届かないほど高価なものだったら意味がありません。ちなみに現在一般に普及している筋電義手は一本150万円します。

exiiiという企業が開発した筋電義手はその点問題ではありません。こちらでは、筋電義手作成のデータを公表しており、3Dプリンターさえ用いればおよそ3万円の材料費で自分専用の筋電義手が手に入ります。

筋電義肢の未来は?

このように、技術面の発展、またコストの問題も解決する手段があることが分かりました。これら二つの企業が手を取り合えば、パラリンピック出場選手以外の身体障害者の方でも自由自在に身体を動かせることが可能です。筋電義肢が身近になる未来はそう遠くないかもしれません。2016.09.23  ロボットノート

2016年11月6日日曜日

3000年前の木棺、ほぼ原形で

3000年前の木棺、ほぼ原形で 日本のエジプト調査団
 エジプト中部のアコリス遺跡の集落跡から、第21王朝期(紀元前11世紀~同10世紀ごろ)の木棺をほぼ原形のまま、日本の調査団が発掘したことが5日、分かった。これまでに発見された同時代の木棺と比べても保存状態が極めて良く、女性とみられるミイラも納められていた。

*エジプト中部のアコリス遺跡の集落跡からほぼ原形のまま発掘された、3千年前の木棺(8月)=アコリス調査団提供・共同
 遺跡を30年以上調べているアコリス調査団が8月に発掘した。団長の川西宏幸筑波大名誉教授は「3千年前の木棺が全く腐敗せずに原形をとどめているのは驚異的だ」と指摘。来年の調査でミイラをエックス線分析し、さらに解明を進める。
 川西名誉教授によると、木棺は長さ約1.9メートル、幅約55センチ、高さ約29センチで、古代の民衆の居住地域跡から出土した。材質はイチジクで、くぎはナツメ製。発掘例としては珍しい白木の状態で、高貴な人物の木棺に通常みられるしっくいや文字がなかった。

 ミイラは亜麻布の袋に入れられ、四角い形状の護符らしき首飾りをしていた。木棺のふたに刻まれた手の形が開いていることから成人女性とみられる。木棺の底面下の地中には、ヤギ革製と植物製のサンダルが1足ずつ見つかった。

 調査に加わった国学院大の和田浩一郎非常勤講師(エジプト学)は「裕福ではない庶民がお金をかけず、工夫して埋葬していた様子が分かる」と話している。〔共同〕2016/11/5 20:49 日経