2019年1月13日日曜日

飲み込める超小型カプセルで健康管理が可能に?


飲み込める超小型カプセルで健康管理が可能に?

遠い未来に実現するだろうと考えられてきた技術が現実味を帯びてきた。米マサチューセッツ工科大学(MIT)のグループは、体内で健康データをモニタリングできるセンサーを搭載した経口摂取可能なカプセルを開発したと「Advanced Materials Technologies1213日号に発表した。飲み込んだカプセルのセンサーで測定したデータは、ブルートゥース・ワイヤレスの技術を用いて、スマートフォンなどでモニタリングできるという。

 研究グループによれば、この超小型カプセルを飲み込めば、薬剤を体内に運んだり、感染やアレルギー反応といった胃内の状況の変化を検知したりすることも可能だ。異常が検知されると薬剤が放出される仕組みになっている。
 研究を主導したMITの元研究員で現在は米ユタ大学に所属するYong Lin Kong氏は「胃の中にとどまる期間を調整でき、経口摂取可能な電子機器の開発」を最終的な目標として掲げている。将来的には、この3Dプリントを用いて作成されるカプセルが、誰でも利用できる個別化された診断法や治療法になるのではないかと展望する。
 このデバイスは、飲み込む際には一般的なひし形の錠剤に入った状態だが、胃内に到達するとセンサー機能を搭載したアームが開き、Y字型に変化する。アームの一つには薬剤を格納できるスペースがあり、ここから数日間にわたって薬剤が徐々に放出される。同時に、デバイスのセンサーで心拍数や呼吸レベル、体温などのモニタリングも可能で、データはスマートフォンにも送信できる。ただし、Kong氏によれば、セキュリティ上の問題からデータを受信できるのは腕の長さの範囲にとどまるようになっているという。

 現時点ではカプセルは小さなバッテリーで作動するが、「将来的には電源をデバイスから離してリモート(遠隔)の電源としたり、胃酸から得たエネルギーを利用できる可能性もある」とKong氏らは付け加えている。なお、現在このデバイスをブタに使用する試験が進行中で、ヒトを対象とした臨床試験は2年以内に実施される見込みだという。

 研究には関与していない、米レノックス・ヒル病院の消化器専門医であるDavid Robbins氏は「このデバイスは胃酸の中に数週間にわたりとどまっても腐食されないばかりか、正確な用量の薬剤を投与することもでき、全ての操作がスマートフォンで可能だ」と称賛する。さらに、「薬剤を投与するだけでなく、消化管の鏡視下手術にも活用できる可能性もある」と期待を示している。
 MITのグループも、このテクノロジーにはさまざまな用途が考えられると強調している。例えば、厳格な服薬管理が求められるHIV感染者などでは必要に応じて薬剤を放出するこのデバイスが役立つ一方、化学療法を受けている患者や免疫抑制薬を服用している患者などの高リスク患者にこのデバイスを用いることで、感染を早期に察知することができるとしている。2019/01/08 ケアネット

2019年1月9日水曜日

忘れた記憶、めまいの薬でよみがえる可能性 北大など


忘れた記憶、めまいの薬でよみがえる可能性 北大など
北海道大学の野村洋講師と東京大学の池谷裕二教授らは、めまいの薬を服用すると忘れていた記憶を思い出しやすくなる可能性があることを突き止めた。20代の男女38人で試したところ、薬を飲むと正答率が上がった。記憶の仕組みの解明や認知症などの治療に役立つ。
米科学誌バイオロジカル・サイカイアトリー(電子版)に8日発表した。
研究には京都大学の高橋英彦准教授(精神科医)も協力した。服用したのはメニエール病など強いめまいの治療に使われる「ベタヒスチンメシル酸塩」(成分名)。

1週間前に見せた写真の内容を聞いたところ、実験の30分前に通常の処方量の約10倍の薬を飲むと、正答率がわずかに上がった。飲まないときの正答率が約25%と低かった人は、服用すると50%程度まで向上した。
ベタヒスチンを飲むと脳内で情報伝達に使われるヒスタミンという物質が大量にできる。薄れて伝わりにくくなっていた記憶の信号が強まり、思い出せるようになったとみている。
池谷教授は「思い出せなくても、記憶は脳内に残っていることが確かめられた」と説明している。
ベタヒスチンはアレルギー症状や胃潰瘍などを悪化させる副作用があるが、約10倍の処方量でも安全性に問題はないという。ただ医師の指示なしに服用するのは安全性に問題があるとしている。2019/1/8 22:00 日経

2019年1月4日金曜日

まるで雪だるま…探査機が見た「最果て」の天体

まるで雪だるま…探査機が見た「最果て」の天体
*米無人探査機が撮影した天体「ウルティマトゥーレ」(NASA提供)
 【ワシントン=船越翔】米航空宇宙局(NASA)は2日、無人探査機「ニューホライズンズ」が1日に到達した、地球から約65億キロ・メートル離れた天体「ウルティマトゥーレ」の画像を公開した。全長は約30キロ・メートルで、雪だるまのような形をしていることが確認された。

 NASAなどの調査チームは「太陽系が形成された初期に、大小二つの球体がゆっくりとぶつかってできた可能性が高い」と説明し、太陽系の起源の謎に迫る手がかりになるとの期待感を示した。
 探査機が接近、通過する際に、上空約2万8000キロ・メートルから撮影した。表面には他の天体が衝突したクレーターのような痕跡は見つからなかった。
 ウルティマトゥーレは「世界の果て」という意味で、探査機が訪れた天体としては最も遠い。探査機は1年半にわたり、より鮮明な画像など様々な観測データを地球に送る。20190103 2234 Copyright © The Yomiuri Shimbun