2014年12月12日金曜日

2つの恒星合体で新たな巨大恒星誕生か

2つの恒星合体で新たな巨大恒星誕生か


きりん座MY星系の2つの恒星(想像図)はあまりに接近しすぎて、最終的には合体して1つの超巨大恒星が誕生するのではないかと見られている。

 スペインの天文学チームはこのほど、恒星食を繰り返す連星系、きりん座MY星(MY Camelopardalis、略称MY Cam)の観測結果を発表し、地球から見た2つの巨大な恒星がきわめて小さな軌道を周回しながら、ほぼ日替わりで重なり合って恒星食を起こしていることを明らかにした。
 アリカンテ大学の研究者ハビエル・ロレンゾ(Javier Lorenzo)氏率いるチームは、スペイン南部カラール・アルト天文台にある2.2メートル口径の強力な望遠鏡で、2つの星の高分解能スペクトルを分析し、表面温度やサイズなどそれぞれの星の物理的特性を割り出した。

 2つの高温の青い恒星はそれぞれ、太陽の38倍と32倍の質量を持ち、互いの軌道を1周わずか1.2日以下という急速度で周回している。あまりにも近づきすぎているため、研究チームは、この2つが近いうちに合体して、太陽の60倍という質量を持った1つの超巨大怪物恒星となるのではないかと見ている。
 きりん座MY星は、これまで見つかった中でも最も巨大な連星系の1つであると報告されている。互いの軌道を時速100万キロという驚くべき速さで周回し、あまりに接近しすぎているため、その外圏大気はすでに接触し、影響し合っているのではないかと考えられる。

◆繰り返し起こる恒星食
 きりん座MY星が連星であると分かったのは、わずか10年前である。それまで、長年きりん座MY星を観測してきたアマチュア天文家たちは、光の輝きが常に変化する1個の変光星であるという誤った見方をしていた。しかし今では、光の変化が実は、2つの星が互いの軌道を回っているせいで互いを覆い隠す恒星食を起こしていたためだということが分かっている。
 2つの星は、誕生してから200万年も経っていないと思われ、誕生時の姿は現在とほぼ変わらなかっただろうと天文学者は言う。

 この連星が今後どうなっていくかは分からない。しかし理論モデルを見ると、もし2つが合体するとすればそれは急激に、そして極めて大きな衝撃を伴って、膨大なエネルギーを発しながら起こることが予想される。
 宇宙物理学者らは、おそらくこのように急接近した連星が合体することで、超大質量星の誕生を説明できると考えている。天文学者らはそのような星の合体をかつて目撃したことがなく、きりん座MY星の様子を関心を持って見守っている。

◆双眼鏡でも確認できる明るさ
 きりん座MY星はきりん座の一部を構成し、今なら北半球のどこからでも、日が落ちた頃の北東の高い位置に確認することができる。きりんの後ろ足の先端に位置し、明るさは9.810.1等級。双眼鏡でも何とか見えるほどの明るさだが、家庭用の小型天体望遠鏡なら容易に観測することができる。

 この研究報告は、「Astronomy & Astrophysics」誌12月号に掲載された。 Andrew Fazekas , for National Geographic News, December 11, 2014

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