日本人には意外…「クール・ジャパン」と外国人観光客が群がる東京の「ロボットレストラン」「カプセルホテル」
リング内でロボット同士が戦う「ロボットボクシング」は人気コンテンツの一つ=東京都新宿区(三尾郁恵撮影)
東京では意外な場所が外国人観光客に人気なのだという。女性ダンサーとロボットが共演する歌舞伎町の「ロボットレストラン」や、ハチの巣のような形のカプセルホテルが「クール(かっこいい)」なのだそうだ。人気キャラクター「ハローキティ」で埋め尽くされたホテルの部屋も評判を呼んでいる。東京の魅力は、東京に生きる人々が気づかないところにあるのかもしれない。
*ロボットレストランの客は6~8割が外国人
近未来を描いた米国のSF映画「ブレードランナー」(1982年公開)の舞台のモデルになったとされる眠らない街・歌舞伎町。無秩序にネオンが輝く巨大な歓楽街の一角で、ひときわ目立つ建物が、2年前に誕生したアミューズメント型飲食店の「ロボットレストラン」だ。
ショーの内容は極めて個性的だ。歌舞伎役者風のメークをした男女が電飾ギラギラの山車(だし)に乗って和太鼓をたたいたかと思えば、鳥居に腰掛けた天狗がエレキギターを弾き鳴らす。続いて始まるのは、ロボット同士のボクシング…。身長3メートルはあろうかという巨大生物ロボットに女性ダンサーがまたがり、未来からの謎の侵略者と戦うというストーリー仕立てのショーもある。
日本人客の入りは思ったほど伸びず、代わりに欧米を中心とした外国人観光客が集まるように。ネットで話題が広がり、各国の海外メディアがこぞって紹介した。今では外国人の割合は全体の6~8割に上るという。
*海外の映像クリエイターらも来店
ティム・バートン映画監督(米国)や、J・J・エイブラムス監督(同)ら映像クリエイターが来店。音楽界からは、米人気歌手のケイティ・ペリーさんや、英ロックバンド「ブラー」のメンバーらも訪れた。「これらの方々は名前を出すことの承諾を得られた方で、ほかにも大勢の海外セレブがお忍びで訪れている」という。
ジブリ映画が好きという英国人は新婚旅行で来日し、「日本といえばロボットでしょう。グーグル検索で見つけて、面白そうだと思った。ロンドンにも劇場はたくさんあるが、こんなショーは初めてだ」と満面の笑み。同僚に連れられて来たというスイス人男性も「コスチュームロボットやエレクトリックを使ったところが日本らしい」と話した。
広報担当者は「和太鼓や、(ショーや衣装などの)和柄っぽい部分に『カワイイ』が加わっている。世界を探してもほかにはない日本らしさがウケたのではないか」と話す。
*ホテルの「キティちゃん部屋」に1人で宿泊する海外の男性も
「ハローキティ」は、日本だけでなく海外でも人気。グッズの愛用者は「キティラー」と呼ばれ、クールジャパンを代表するキャラクターの一つだ。米女優のキャメロン・ディアスさんや歌手のアヴリル・ラヴィーンさんら、海外ではセレブのファンも多い。
京王プラザホテルは西新宿と多摩センターに、ハローキティをモチーフとした宿泊ルームを新設。フェイスブックを通じて英語、タイ語で情報発信したところ、「kawaii!」などと評判を呼び、宿泊客の約半数を外国人が占める人気スポットになった。
「家族連れや女性の利用が中心ですが、一人で宿泊される海外の男性の方もいます。まさかここまで短期間に人気が出るとは」と広報担当者も驚きを隠せない。壁一面にハローキティの絵が描かれ、ドアに赤いリボンの飾りがあったり、鏡にキティちゃんのサインが書かれていたりと部屋によって装飾はさまざま。
オープン後、ドイツのテレビ局が取材に訪れたほか、米ニューヨーク、香港、台湾、イタリアなどの各メディアからも問い合わせが相次いだ。
*カプセルホテルは「宇宙船みたい」
日本人にとって決して珍しくはないものが海外から「クールだ」と賞賛を浴びている好例が、カプセルホテルだ。歌舞伎町にある創業32年の老舗カプセルホテル「グリーンプラザ新宿」。出張のサラリーマンや終電を逃した人々などのオアシスとして愛され続けているが、4、5年前から外国人客が増えだした。
人気の理由は価格の安さに加え、海外にはない独特な業態にある。「ハチの巣の中にいる幼虫になった気分」「SF映画に出てくる宇宙船みたい」。外国人利用客からはそんな感想が続々と寄せられるのだという。長期宿泊するバックパッカーから、1泊だけ“体験”する観光客まで利用の形態はさまざま。
「働きバチのように働く日本人が寝る場所というイメージの一致」「近未来を彷彿(ほうふつ)とさせる形態の客室」などが外国人客の心をつかんだとみられ、「カプセルホテルを日本の文化の一つとして捉えているようだ」と分析している。2014.12.21 06:00 産経ニュース
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