2022年3月13日日曜日

スプレーで植物を改変

 

スプレーで植物を改変

-簡便な非遺伝子組換え植物改変法の開発-



理化学研究所(理研)環境資源科学研究センターバイオ高分子研究チームのチョンパラカン・タグン特別研究員(研究当時、現京都大学大学院工学研究科特定助教)、小田原真樹研究員、児玉豊客員主管研究員(宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センター教授)、沼田圭司チームリーダー(京都大学大学院工学研究科教授)、東京大学大学院新領域創成科学研究科の大谷美沙都准教授らの共同研究チームは、開発した担体と核酸をスプレーで噴霧することで、植物を簡便に改変する手法の開発に成功しました。


本研究成果は、非遺伝子組換え[1]により農作物を一過的に形質改変したものであり、耐病原性の付与や代謝産物の改変に貢献すると期待できます。


今回、共同研究チームは、「細胞透過性ペプチド(CPP)[2]」を基盤としたナノサイズの担体を用いてスプレーで噴霧することで、核酸を植物へ導入することに成功しました。この手法により、植物細胞内または葉緑体内で、導入した外来DNAから一過的にそのタンパク質を産生させ、また、siRNA[3]の導入により植物細胞内で目的タンパク質の発現を抑制することに成功しました。


本研究は、科学雑誌『ACS Nano』への掲載に先立ち、オンライン版(2月23日付:日本時間2月23日)に掲載されました。

https://www.riken.jp/press/2022/20220223_1/index.html


2021年2月15日月曜日

ユリ科の黄色い花、人間を避け地味な色に進化

ユリ科の黄色い花、人間を避け地味な色に進化

中国の高地に生育するバイモの一種、花も葉も茎も灰色に

 


*ユリ科バイモ属の一種、Fritillaria delavayi。球根は中国の伝統薬として珍重されている。多く採取される場所では、カムフラージュして身を守るようになった可能性がある。(PHOTOGRAPH BY YANG NIU)

 

 中国南西部の高地で、ある植物が見つかりにくくなっている。 

 ユリ科バイモ属の一種、Fritillaria delavayiだ(クロユリもバイモの一種)。年に一度、チューリップのような黄色い花を咲かせ、葉や茎も明るい緑色をしている。

ところが、本来なら目立つこの花や葉の色が、灰色や茶色に変化している場所があるという。これは、最大の敵から見つかりにくいよう進化した結果ではないかと、研究者は考えている。その敵とは、人間だ。

 中国と英国の研究チームが2020年11月に学術誌「Current Biology」に掲載した論文によると、Fritillaria delavayiが高い確率で採取される場所では、この植物がカムフラージュしている確率が高いという。

 植物の中には、過剰に採取されると小さくなるものがある。大きなものは繁殖できるようになる前に摘み取られてしまうからだ。だが、植物が身を守るために目立たない姿に進化するのは、F. delavayiが初めての例かもしれない。この植物は気管支や肺の病気に効果があるとされ、古くから中国で伝統薬として使われてきた。


*人間がよく採取する場所では、Fritillaria delavayiの葉や茎、花が灰色や茶色になり、周囲と見分けがつきにくくなる。(PHOTOGRAPH BY YANG NIU)

需要拡大で価格が高騰

 F. delavayiは、少なくとも2000年にわたって薬として使われている。だが、高まる需要に供給が追いつかず、薬になる球根は1キログラム当たり約480ドルと高騰している。球根は小さく、親指の爪ほどの大きさなので、1キロの球根を集めるには3500本以上が必要になる。

 バイモには栽培できるものもある。しかし、F. delavayiは高山の生育環境を再現するのが難しいうえ、消費者は野生の球根の方が効能が高いと考えがちだ。ただし、野生の方が効くことを示す証拠はないと、今回の論文の著者である牛洋(ニウ・ヤン)氏は言う。

 2011年、牛氏のグループはこの植物の受粉方法の調査に乗り出した。雄花と雌花が咲く年もあれば、すべてが雄花の年もあることに興味を持ったからだ。しかし、その研究は失敗に終わった。印を付けた植物が掘り起こされ、研究対象がなくなってしまったからだ。おそらく、売られてしまったのだろう。

 牛氏らは以前、カムフラージュして草食動物から身を隠す植物について研究していた。そのため、動物が食べないと考えられているF. delavayiに興味を持った。「人間による採取が、(進化を促す)強力な選択圧になる可能性があると考えたのです」と、牛氏はメールで回答している。

 

次ページ:人間による採取が進化を促した? 2021.02.11 ナショジオ

 以下は https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/020900069/?n_cid=nbpnng_mled_html&xadid=10005

  

2020年9月2日水曜日

神経機能を回復

 人工的なたんぱく質を注射で神経機能を回復 マウス実験で成功

人工的に作り出したたんぱく質を注射することで、切れてしまった神経の機能を回復させることに、慶應義塾大学などのグループが、マウスを使った実験で成功したと発表しました。グループでは「安全性や効果についての確認をさらに進め、脊髄損傷やアルツハイマー病などの治療薬開発につなげたい」と話しています。

 

この研究は、慶應義塾大学の柚崎通介教授と愛知医科大学などのグループが行ったものです。

グループは、神経細胞が情報を伝達する「シナプス」と呼ばれる部分で、神経細胞どうしを結び付ける特殊な分子に注目し、この分子を元に「CPTX」という人工的なたんぱく質を合成しました。

 

そして、脊髄損傷のため後ろ足がまひして歩けなくなったマウスに、このたんぱく質を注射したところ、2か月ほどで、まひしていた後ろ足の動きが、正常なマウスの8割程度まで改善し、歩けるようになったということです。

 

また、脳の神経が損傷するアルツハイマー病を再現したマウスの脳に、このたんぱく質を注射したところ、記憶力が改善することも分かったということです。

グループでは、このたんぱく質は、けがや病気などで損傷した神経の情報伝達の回路を回復させる働きがあるとしています。

研究を行った柚崎教授は「今後、安全性や効果をさらに確認したうえで、治療が難しい脊髄損傷やアルツハイマー病など、人の治療につなげていきたい」と話しています。2020年9月2日 3時48分 NHK 

2020年8月25日火曜日

半可通のぼやき

 半可通のぼやき

*「およそ独立国たるものは、友邦などというものは持たない」、あるいは、「同盟というのは、守ってくれることがあるかもしれないけれども、運命を共にする存在ではない」(ド・ゴール)

*平均寿命で言えば残り数年か? 
誤解があってはいけません、平均寿命は、あくまでも「発表されたその年に誕生した人」の平均余命のこと。
世界的に見ても女性の方が寿命が長い傾向になるのは事実です。遺伝因子と環境因子の両方が関係していると考えられます。  
健康寿命は、個人個人が自立した生活ができる期間のことで、生活習慣で伸ばすことが可能です。

*この鏡張りの部屋にいる限り、映し出されるのは自分だけです。そしてその自分のなかに日本はない。鏡張りの部屋を打ち破って外の世界の葛藤、現実をきちんと見る。日本の戦後メディアはこの鏡張りの部屋を打ち破るどころか守り続けることに機能し続けている。(上島嘉郎)

*トランプなのに  ハートがない  シンゾーだけど  こころはない (作者不明)

2020年7月18日土曜日

金属「食べる」細菌

金属「食べる」細菌、米研究者が偶然見つける 長年の仮説を裏付け
*新たに見つかった細菌によって作られた酸化マンガンのノジュール(団塊)/Hang Yu/Caltech
(CNN) 米国の細菌学者らがこのほど、金属のマンガンを「食べて」カロリーを得ている細菌を偶然発見した。そのような細菌が存在するのではないかという説は100年以上にわたり唱えられてきたが、これまで証明されたことはなかった。

米カリフォルニア工科大学で環境細菌学を専攻するジャレッド・リードベター教授は、ある実験のため粉末状になった金属元素のマンガンを使用した。実験の後、同教授はマンガンにまみれたガラス容器を水道水で満たし、研究室のシンク内に放置。そのまま学外での活動に出かけて数カ月戻らなかった。
数カ月ぶりに研究室に戻ったリードベター教授は、ガラス容器が黒ずんだ物質に覆われているのに気が付いた。最初はそれが何なのか見当もつかなかったが、かねてから探し求めていた細菌によるものかもしれないと思い、系統立ったテストをして確かめることにしたという。

その結果、容器を覆った黒ずんだものは酸化マンガンで、新たに見つかった細菌によって作り出されていたことが分かった。この細菌は、現地の帯水層からくみ上げた水道水の中にいた公算が大きいという。
研究者らはこの細菌について、14日刊行のネイチャー誌の中で、マンガンをエネルギー源として利用することが確認された初めての細菌だと説明。自然界の細菌はたとえ金属のような物質であってもこれを新陳代謝させ、細胞に必要なエネルギーを引き出すことができるとの見解を示した。

新たな研究では、この細菌がマンガンを使って化学合成を行えることを突き止めた。化学合成とは、細菌類が無機物の酸化により生じるエネルギーを用いて二酸化炭素から有機物を合成する働きを指す。
さらにリードベター教授は、酸化マンガンが水道管を詰まらせる環境工学上の問題にも言及。これまで細菌の活動が原因と考える研究者は多かったが、その裏付けとなる証拠は得られていなかったと述べた。2020.07.17 Fri posted at 18:28 JST CNN

2020年6月6日土曜日

巨大ウイルス出現、揺らぐ常識 新生命体へ進化?

巨大ウイルス出現、揺らぐ常識 新生命体へ進化?
ウイルスは小さくて単純――。こんなウイルスの定義が揺らいでいる。21世紀に入り、ケタ違いに大きく複雑な構造を持つ「巨大ウイルス」が相次ぎ見つかったためだ。微生物の細菌をはるかにしのぐ巨体に、生物の細胞だけにあるはずの膜や多数の遺伝子を持つ。常識を覆す異形ぶりに研究者は困惑気味だ。巨大ウイルスが進化すれば、やがて想像を超えた生命体が誕生するとの見方も出ている。
1992年、英国の病院で捕らえたアメーバに何かが感染していた。ありふれた顕微鏡で見ると、大きさは750ナノ(ナノは10億分の1)メートル。「細菌だね」。研究者は地名からブラッドフォード球菌と名付けた。

状況が一変したのは2003年だ。さらに細かく見える電子顕微鏡での解析が進むとウイルスに形が似ており、「正20面体」をしていた。国際科学誌に「ウイルスだった」とする論文が載った。細菌と見間違えるくらいの大きさだったので、英語の「ミミック(似る)」にちなんで「ミミウイルス」と名前がついた。

従来のウイルスは大きくても200ナノメートル程度だった。小さいが故に自活できず、細菌のような生物とはみなされなかった。巨大なミミウイルスは、「無生物」のウイルスと、生物の境界を揺るがした。
大きいだけでなぜ騒ぐのか。クジラやゾウは体格が良くても「生物とは違う」とはならない。ウイルスで大きさが重要なのは、大きすぎると「定義」に反するためだ。

ウイルスは1890年代、細菌が通れない「ろ過器」の穴をすり抜ける謎の病原体として見つかった。正体はタバコやウシに感染するウイルスだった。
電子顕微鏡でウイルスを詳しく観察できたのは1930年代。ウイルスは「小さい」が代名詞であり、ミミウイルスの大きさは規格外だ。

さらに研究者に衝撃を与えたのが、その異形ぶりだ。遺伝物質のDNAを脂質の膜で包み、外側を3重の殻で覆う。表面に繊維まで生えていた。ふつうのウイルスは遺伝物質を殻で包んでいるだけだ。
神戸大学の中屋敷均教授は「ゲノム(全遺伝情報)や遺伝子の数でも一部の細菌を上回る」と話す。遺伝情報量は約120万塩基対と、「マイコプラズマ」という小ぶりな細菌の2倍もある。

*巨大ウイルスの「パンドラウイルス」(東京理科大学提供)

13年に楕円の一方が1000ナノメートルの「パンドラウイルス」、14年に1500ナノメートルもある「ピソウイルス」と巨大ウイルスの発見が続いた。パンドラウイルスの遺伝情報量は約250万塩基対と、ついに細胞に核を持つ「真核生物」で最も小さな種を上回った。

遺伝情報量の多さがどんな能力に関わっているかは不明だが、一部は生物に肉薄している。ウイルスは自力で増殖できない。生物との差がそこにある。だが、増殖に役立つ20種類の遺伝子を全て備えた巨大ウイルスも見つかった。
「免疫」を持つ種類もいた。「バイロファージ」という外敵のDNAの一部を取り込み、再び寄生してくるとそのDNAを切って退治しているようだ。細菌や古細菌が持つ免疫の仕組みにそっくりだ。
東京理科大学の武村政春教授は「たんぱく質合成の場になる遺伝子さえ持てば、巨大ウイルスは新たな生物になるかもしれない」と語る。
それにしても巨大ウイルスはどう生まれたのか。武村教授は「感染した生物から、遺伝子を次々と奪ってきたとする見方が多い」と話す。生物の細胞で自らを増やす際、生物のDNAを取り込んで巨大化したという説だ。謎も残る。武村教授が発見した巨大ウイルスに「メドゥーサウイルス」がいる。ウイルスなのに、複雑なDNAを折り畳むためのたんぱく質を作れる。ヒトなど真核生物にも同様のしくみはあるが、ウイルスが先に「発明」した可能性も指摘されている。

巨大ウイルスは既に100種類以上が知られる。その発見は「ウイルスを生物として認めるべきだ」という論争を巻き起こした。支持派は大きさや複雑さを強調し、反対派は「自力で増えず、生命を維持する化学反応も起こせない」と反論する。中屋敷教授は「ウイルスも子孫を残し、進化する。生物のような細胞を持たなくても、『生命』と呼べるのではないか」と話す。生物とそれ以外の境界線をどこに引くか。巨大ウイルスが生物の再定義を迫っている。(草塩拓郎)2020/6/6 2:00日本経済新聞 電子版

2020年4月28日火曜日

“UFO映像” 米国防総省が公開 “物体が何かは不明”


“UFO映像” 米国防総省が公開 “物体が何かは不明”
アメリカ国防総省は、高速で上空を移動するUFO=未確認飛行物体だとする映像を公開しました。写っている物体が何なのかはわかっていないとしています。
アメリカ国防総省は27日、海軍の航空機が2004年と2015年に撮影したUFOだとする3つの映像を公開しました。
2015年1月の映像では、だ円形の物体が高速で上空を移動する様子が写っていて、物体が途中で回転を始めると海軍のパイロットが「あれを見ろ」などと驚きの声を上げています。
この映像をめぐってはこれまで、アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズなどが独自に入手したとして伝えていました。

映像を公開した理由について国防総省は「出回っている映像が本物かどうかや、ほかに何か隠しているのではないか、という人々の誤解を解くためだ」と説明し、写っている物体が何なのかは依然わかっていないとしています。
アメリカ海軍では長年、正体がわからない飛行物体が目撃された場合、「不可解な現象」として記録に残してきませんでしたが、経験豊富で信頼できる多くのパイロットから目撃情報が寄せられていることから、去年、正式に記録に残すための報告手順を定めたガイドラインを作成しています。

アメリカではFBI=連邦捜査局も過去にUFOの目撃情報などを調べていたことが明らかになっていますが、地球外の物体が特定されたケースは確認されていません。2020428 716分 NHK

2020年2月28日金曜日

宇宙観測史上最大の爆発を確認


宇宙観測史上最大の爆発を確認、巨大ブラックホールが原因と天文学者

*ブラックホールによるものとみられる観測史上最大規模の爆発が起きたことがわかった/S. Giacintucci, et al./NRL/CXC/NASA
(CNN) 地球から3億9000万光年離れた宇宙で、ブラックホールによるものとみられる観測史上最大規模の爆発が起きたことがこのほど明らかになった。
爆発により、当該の空間に存在する高温のガスには火山の噴火に伴うクレーターに相当する痕跡が出現した。米海軍調査研究所の天文学者によれば、宇宙最大の爆発で生まれたこの「クレーター」は、天の川銀河15個分の大きさだという。
爆発は、へびつかい座銀河団の中心で発生した。銀河団は宇宙で確認されている中で最も大きい構成単位であり、そこでは重力の影響によって数千個に及ぶ銀河の集団が形成されている。

天文学者らは、ある大型の銀河の中心部分に位置する超大質量ブラックホールが今回の爆発を引き起こしたとみている。この銀河は、銀河団全体の中心付近に存在しているという。
ブラックホールには物質をのみこむだけでなく、それらを吹き飛ばす働きもある。通常それは、物質の噴出や放射という形態をとる。今回の爆発の規模は、これまで最大にして最も強力とされていた爆発の5倍に達したとみられる。

天文学者らは、NASAのチャンドラX線観測衛星やオーストラリアの電波望遠鏡MWAなど、地上と宇宙で運用する複数の望遠鏡を駆使して爆発を観測した。
2016年にもチャンドラX線観測衛星を使った観測で、同じブラックホールからの物質の噴出でできたとみられる「空洞」が見つかっていた。しかしこの時は、空洞のあまりの大きさから、ブラックホールが原因とは考えにくいとする結論が出ていた。2020.02.28 Fri posted at 12:30 JST

2020年2月14日金曜日

探査機史上最も遠い天体


探査機史上最も遠い天体、観測データを公開 太陽系の起源に迫る
*天体「アロコス」の詳しい観測データが発表された/NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Southwest Research Institute/Roman Tkachenko
(CNN) 人類が宇宙探査機で到達した中で最も遠くにある天体について、詳しい観測データが13日に開かれた米科学振興協会の年次会合で明らかにされた。データの詳細な分析を通して太陽系の起源に関する知見が深まると研究者らは期待を寄せている。
この天体は地球から約64億キロ離れた冥王星以遠のカイパーベルト天体内に位置する。昨年1月、米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「ニューホライズンズ」が天体へのフライバイ(接近通過)に成功した。
当初は「ウルティマトゥーレ」と呼ばれたこの天体だが、昨年11月に「アロコス」と改名されていた。NASAによれば「アロコス」という語は、ネイティブアメリカンの複数の部族の言葉で「空」を意味する。

別々に形成された2つの天体が1つに合わさった形状のアロコスは、惑星の形成過程でできる「微惑星」と呼ばれる小天体に属する。探査機から送られた画像はそれぞれの天体がパンケーキのように平べったいことを示しているが、見方によってはピーナッツや雪だるまにも似ている。大きさは米国のシアトルの面積と同程度で、数十億年を経てもその姿はほとんど変わっていないとみられる。
研究者らによると、アロコスの表面は凍結したメタノールと特定できない複雑な有機分子に覆われている。赤茶けた色をしているのは、これらの有機分子が原因である公算が大きい。他の天体が衝突した跡とみられるクレーターも数多く見つかっており、このうち最大のものは直径が約6.9キロある。
ニューホライズンズの調査員を務めるウィリアム・マッキノン氏はアロコスについて、上記の2つの天体が「激しく衝突して現在の形状になったというよりは、むしろ複雑なダンスを踊るように互いの周りをゆっくりと回りながら一体化していったようだ」と指摘する。今回入手できたデータの分析により、そうした天体の成り立ちを想定することも可能になったという。2020.02.14 Fri posted at 14:55 JST

太古の西アフリカに「幻の人類」


太古の西アフリカに「幻の人類」、証拠見つかる 現代人のDNAにも痕跡
*「幻の人類」がアフリカ西部に住んでいたとする調査結果が発表された/Getty Images
(CNN) 進化の系統から枝分かれした「幻の人類」に関して、かつてアフリカ西部に暮らしていたことを示す証拠がこのほど明らかになった。謎に包まれたこの人類は現生人類とも交流し、その遺伝子の一部は現代のアフリカ人に受け継がれているという。

学術誌「サイエンス・アンド・アドバンシーズ」に掲載された調査結果によると、この「幻の人類」はネアンデルタール人よりも早い時期に現生人類の系統樹から枝分かれしたとみられる。米カリフォルニア大学の研究者らは、枝分かれの時期を36万~100万年前としている。
アフリカ西部に住んだこれらの人類は現代のアフリカ人の祖先と交流し、子孫を残していた。ちょうどネアンデルタール人が現代の欧州人の祖先との間で子孫を残していたのと同じ状況だったと考えられる。
遺伝学者がコンピューター技術を使って現代人のDNAを解析したところ、現代の西アフリカ人につながる祖先の遺伝子のうち2~19%はこの人類のものが占めていることがわかったという。

英リバプール・ジョン・ムーアズ大学のジョエル・アイリッシュ教授はCNNの取材に答え、当時は異なる遺伝的特徴を持つ人類が数多く存在していた可能性があると指摘。「どの人類も互いに交わろうとする傾向がある。こうした『幻の人類』は今後も次々に見つかると考えられる」と述べた。
欧州、アジア、米州では、人類の祖先がネアンデルタール人との間に子どもをもうけていたという証拠が2010年に初めて提示された。先月には、アフリカ人のDNAにもネアンデルタール人の痕跡が残っているとする研究論文が学術誌に掲載されていた。2020.02.14 Fri posted at 12:00 JST