2020年2月28日金曜日

宇宙観測史上最大の爆発を確認


宇宙観測史上最大の爆発を確認、巨大ブラックホールが原因と天文学者

*ブラックホールによるものとみられる観測史上最大規模の爆発が起きたことがわかった/S. Giacintucci, et al./NRL/CXC/NASA
(CNN) 地球から3億9000万光年離れた宇宙で、ブラックホールによるものとみられる観測史上最大規模の爆発が起きたことがこのほど明らかになった。
爆発により、当該の空間に存在する高温のガスには火山の噴火に伴うクレーターに相当する痕跡が出現した。米海軍調査研究所の天文学者によれば、宇宙最大の爆発で生まれたこの「クレーター」は、天の川銀河15個分の大きさだという。
爆発は、へびつかい座銀河団の中心で発生した。銀河団は宇宙で確認されている中で最も大きい構成単位であり、そこでは重力の影響によって数千個に及ぶ銀河の集団が形成されている。

天文学者らは、ある大型の銀河の中心部分に位置する超大質量ブラックホールが今回の爆発を引き起こしたとみている。この銀河は、銀河団全体の中心付近に存在しているという。
ブラックホールには物質をのみこむだけでなく、それらを吹き飛ばす働きもある。通常それは、物質の噴出や放射という形態をとる。今回の爆発の規模は、これまで最大にして最も強力とされていた爆発の5倍に達したとみられる。

天文学者らは、NASAのチャンドラX線観測衛星やオーストラリアの電波望遠鏡MWAなど、地上と宇宙で運用する複数の望遠鏡を駆使して爆発を観測した。
2016年にもチャンドラX線観測衛星を使った観測で、同じブラックホールからの物質の噴出でできたとみられる「空洞」が見つかっていた。しかしこの時は、空洞のあまりの大きさから、ブラックホールが原因とは考えにくいとする結論が出ていた。2020.02.28 Fri posted at 12:30 JST

2020年2月14日金曜日

探査機史上最も遠い天体


探査機史上最も遠い天体、観測データを公開 太陽系の起源に迫る
*天体「アロコス」の詳しい観測データが発表された/NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Southwest Research Institute/Roman Tkachenko
(CNN) 人類が宇宙探査機で到達した中で最も遠くにある天体について、詳しい観測データが13日に開かれた米科学振興協会の年次会合で明らかにされた。データの詳細な分析を通して太陽系の起源に関する知見が深まると研究者らは期待を寄せている。
この天体は地球から約64億キロ離れた冥王星以遠のカイパーベルト天体内に位置する。昨年1月、米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「ニューホライズンズ」が天体へのフライバイ(接近通過)に成功した。
当初は「ウルティマトゥーレ」と呼ばれたこの天体だが、昨年11月に「アロコス」と改名されていた。NASAによれば「アロコス」という語は、ネイティブアメリカンの複数の部族の言葉で「空」を意味する。

別々に形成された2つの天体が1つに合わさった形状のアロコスは、惑星の形成過程でできる「微惑星」と呼ばれる小天体に属する。探査機から送られた画像はそれぞれの天体がパンケーキのように平べったいことを示しているが、見方によってはピーナッツや雪だるまにも似ている。大きさは米国のシアトルの面積と同程度で、数十億年を経てもその姿はほとんど変わっていないとみられる。
研究者らによると、アロコスの表面は凍結したメタノールと特定できない複雑な有機分子に覆われている。赤茶けた色をしているのは、これらの有機分子が原因である公算が大きい。他の天体が衝突した跡とみられるクレーターも数多く見つかっており、このうち最大のものは直径が約6.9キロある。
ニューホライズンズの調査員を務めるウィリアム・マッキノン氏はアロコスについて、上記の2つの天体が「激しく衝突して現在の形状になったというよりは、むしろ複雑なダンスを踊るように互いの周りをゆっくりと回りながら一体化していったようだ」と指摘する。今回入手できたデータの分析により、そうした天体の成り立ちを想定することも可能になったという。2020.02.14 Fri posted at 14:55 JST

太古の西アフリカに「幻の人類」


太古の西アフリカに「幻の人類」、証拠見つかる 現代人のDNAにも痕跡
*「幻の人類」がアフリカ西部に住んでいたとする調査結果が発表された/Getty Images
(CNN) 進化の系統から枝分かれした「幻の人類」に関して、かつてアフリカ西部に暮らしていたことを示す証拠がこのほど明らかになった。謎に包まれたこの人類は現生人類とも交流し、その遺伝子の一部は現代のアフリカ人に受け継がれているという。

学術誌「サイエンス・アンド・アドバンシーズ」に掲載された調査結果によると、この「幻の人類」はネアンデルタール人よりも早い時期に現生人類の系統樹から枝分かれしたとみられる。米カリフォルニア大学の研究者らは、枝分かれの時期を36万~100万年前としている。
アフリカ西部に住んだこれらの人類は現代のアフリカ人の祖先と交流し、子孫を残していた。ちょうどネアンデルタール人が現代の欧州人の祖先との間で子孫を残していたのと同じ状況だったと考えられる。
遺伝学者がコンピューター技術を使って現代人のDNAを解析したところ、現代の西アフリカ人につながる祖先の遺伝子のうち2~19%はこの人類のものが占めていることがわかったという。

英リバプール・ジョン・ムーアズ大学のジョエル・アイリッシュ教授はCNNの取材に答え、当時は異なる遺伝的特徴を持つ人類が数多く存在していた可能性があると指摘。「どの人類も互いに交わろうとする傾向がある。こうした『幻の人類』は今後も次々に見つかると考えられる」と述べた。
欧州、アジア、米州では、人類の祖先がネアンデルタール人との間に子どもをもうけていたという証拠が2010年に初めて提示された。先月には、アフリカ人のDNAにもネアンデルタール人の痕跡が残っているとする研究論文が学術誌に掲載されていた。2020.02.14 Fri posted at 12:00 JST

2020年2月12日水曜日

宇宙から届く謎の電波信号


宇宙から届く謎の電波信号、16日周期で反復と研究者
*5億光年の宇宙から反復して届く電波信号に16日間の周期性があることが分かった/Courtesy CHIME

(CNN) 5億光年離れた宇宙から地球に放射される高速電波バースト(FRB)について、研究者らがこのほど、約16日間の周期で繰り返し起きていることを突き止めた。単発で終わらず反復するFRBの存在はこれまでにも知られていたが、研究者が周期のパターンを明らかにしたのは初めて。

FRBは1000分の1秒単位の非常に短い時間で電波が銀河系外から放出される現象。今回研究者らがカナダにある電波望遠鏡「CHIME」を使って2018年9月16日から19年10月30日まであるFRBのパターンを観測したところ、16.35日の頻度で発生していることがわかった。
観測データによると、この発生源は4日の間1時間に1~2回電波を放射した後、12日間の沈黙を経て再び信号を発する。この16日間の動きに周期性が認められるという。

FRB 180916.J0158+65と呼ばれるこの信号は、同プロジェクトが昨年観測した反復するFRBの発生源8つのうちの1つ。研究者らはこれらの発生源をたどることでFRBという現象のメカニズムを明らかにしたいとしているが、ここまでの観測では共通の発生源が確認されておらず、謎は深まるばかりだ。

反復するFRBで初めて観測された FRB 121102は、矮小(わいしょう)銀河の1つを発生源として特定したが、今回のFRB 180916は、天の川銀河に似た別の銀河の腕を発生源にしているとみられる。
研究者らは複数の論文の中でFRB発生のメカニズムについて、恒星による軌道運動や、中性子星とペアになるOB型恒星の相互作用に起因する可能性を示唆する。超新星爆発の後に残る中性子星は宇宙で最小の天体ながら、太陽よりも大きい質量を有する。一方のOB型星は高温かつ巨大な、寿命の短い恒星で、この星から発せられる恒星風がFRBの持つ周期性の要因とも考えられるという。2020.02.12 Wed posted at 16:00 JST