2015年7月27日月曜日

海底の下2.5キロの地層に微生物

海底の下2.5キロの地層に微生物 探査船ちきゅう採取
*海底下約2キロの石炭層から採取・培養した微生物の電子顕微鏡画像。ミミズのような微生物が石炭に付着している。右下のスケールが1マイクロメートル(1ミリの1千分の1)
 青森県沖の海底下約2・5キロの地層から微生物群が見つかった。海底下の最も深い場所で見つかった微生物で、2千万年以上前の陸上の森林や湿地に由来する可能性があるという。海洋研究開発機構などの国際研究チームが米科学誌サイエンスに発表した。

 日本の地球深部探査船「ちきゅう」で、八戸市沖約80キロ、水深1180メートルの海底を掘削、海底下2466メートルまでの石炭層などを採取した。含まれていた微生物群の培養に成功、一部は石炭を栄養源に二酸化炭素を体内に取り込んで天然ガスをつくり出していた。遺伝子の解析から、微生物群は海底付近の深海性のものとは異なり、森林土壌のものと似ていることがわかった。
 この付近の地層は2千万年以上前に日本列島がまだユーラシア大陸の一部だったころ、現在の北海道南部から東北太平洋岸にあった森林や湿地が、太平洋プレートに押されて沈み込んだものと考えられている。 このとき陸上にいた微生物の子孫が地中深くで生き延びていた可能性があるという。研究チームは「2千万年以上前の生態系が保持された『海底下の森』の存在を示している」とする。

 これまでニュージーランド沖の海底下1922メートルで微生物が確認された例があるが、どれほど深くまでいるかは分かっていない。

 今回の調査で微生物の細胞数を調べると、海底下約2・5キロで急激に減少しており、八戸市沖では、この深度が限界だとみられるという。温度は約60度と微生物にとってまだ余裕があるため、水や栄養不足が制約になっている可能性がある。海洋研究開発機構の稲垣史生上席研究員は「もっと深くまで微生物がいる可能性はある。同様の地層は世界中にある。今後検証していきたい」と話した。20157271511分 朝日

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