「水」から魚種判定 バケツ1杯、未知種発見も 世界初、DNA抽出し解析 千葉県中央博など
*船上から採水を行う研究グループ(千葉県立中央博物館提供)
千葉県立中央博物館や東京大学などの研究グループは22日、魚の糞(ふん)などとともに水中に放出されたDNAを解析し、そこに生息する魚の種類を判定する世界初の技術を開発したと発表した。これまで潜水による目視や捕獲など大きな労力を要していた作業が、わずか数リットルの採水で簡単に解析できるようになる。従来より大規模な生物多様性モニタリングが可能となるほか、深海や未踏の水域などでは未知の魚の検出も期待できそうだ。
この技術開発は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業の一環。同博物館の宮正樹主席研究員をリーダーに東北大、北海道大、沖縄美ら島財団なども参加した。
環境中のDNAを分析し生物の種類を判定する「メタバーコーディング」は主に微生物を対象に行われてきたが、同グループは、魚の体表の粘液や糞とともに放出された「環境DNA」から種を特定する技術を開発。
採取した水を極めて目が細かい(0・7マイクロメートル)フィルターでろ過しDNAを抽出、魚の種類ごとに異なる塩基配列を探し出すことに成功した。沖縄美ら海(ちゅらうみ)水族館の水槽の水で検証も行った。
この技術を使えば、バケツ1杯程度(数リットル)の水からそこに生息する魚の種類を数日間の実験と解析で判定できる。比較可能データは、3万種を超える魚類のうち5千種近くに達しているという。
将来的には、全国または全世界規模で同時モニタリングを行ったり、深海など魚相が明らかになっていない地域の調査や、既知の魚の生息地を見つけることも可能になるという。
宮主席研究員は「この技術により、いつでもどこでも簡単に魚の種類を特定できる。魚類多様性のモニタリングに“ビッグデータの時代”が来たといえる」と話している。2015年07月23日 05:00 千葉日報
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