2015年3月14日土曜日

冒頭文

冒頭文

源氏物語・桐壷(紫式部)
いづれの御時にか、女御・更衣あまた さぶらひたまひけるなかに、いとやむごとなき 際にはあらぬが、すぐれてときめきたまふありけり。


枕草子(清少納言)
春はあけぼの。
 やうやう白くなりゆく山際、少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
夏は夜。
 月の頃はさらなり。
 闇もなほ、蛍のおほく飛びちがひたる。
 また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。
 雨など降るもをかし。
秋は夕暮れ。
 夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の、寝どころへ行くとて、三つ四つ、
 二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。
 まいて、雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。
 日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。
冬はつとめて。
 雪の降りたるは言ふべきにもあらず、
 霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、
 火など急ぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし。
 昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白い灰がちになりてわろし。


方丈記(鴨 長明)
行く河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず、
よどみに浮かぶ泡沫は、且つ消え、且つ結びて、久しくとどまりたるためしなし、
世の中にある人と住家と、またかくの如し。


平家物語(作者?)
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず。ただ春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。


徒然草(兼好法師)
つれづれなるままに、日くらし、硯にむかひて、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。



草枕(夏目漱石)
山路(やまみち)を登りながら、かう考へた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟つた時、詩が生れて、畫が出來る。

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