光より速いニュートリノ 国際研究で観測 相対論と矛盾
名古屋大や宇都宮大、神戸大、東邦大などが参加する国際共同研究グループは23日、素粒子の一種ニュートリノが光よりも速い、との実験結果を得たことを発表した。アインシュタインの特殊相対性理論や、近年の研究成果と食い違う結果で、大きな波紋を投げかけそうだ。
研究グループは、スイスにある欧州合同原子核研究機関(CERN)の加速器から打ち出したニュートリノを、約730キロ離れたイタリアのグランサッソ研 究所の検出器に至るまでの時間を精密に測定。2009年から今年までのデータを詳細に分析したところ、ニュートリノのうちミュー型と呼ばれるものが光より も約60ナノ秒(ナノは10億分の1)早く到達していたことを突き止めた。
アインシュタインの特殊相対性理論によると、光の速さを超えるものは存在しない。今回の実験結果が事実だとすると、現代物理学の枠組みが大きく揺らぐことになる。
また、故戸塚洋二・東京大特別栄誉教授らの研究グループが、岐阜県の神岡鉱山跡に設置した装置「スーパーカミオカンデ」で、大気中を飛ぶニュートリノが 違う種類のニュートリノに変身する「振動」と呼ばれる現象の観測に成功。このことから、ニュートリノも光より遅く進むと考えられてきた。
研究グループに参加する名古屋大教養教育院の小松雅宏准教授(素粒子物理学)は「素粒子物理学以外でもインパクトの大きな結果のため、現時点でこの結果 を研究グループで解釈しないことで合意している。ただ、我々の知らないことがわかったわけ、理論物理学者にボールを投げた状態だ」と話している。
同様の結果は、米国の研究グループが2007年に発表していたが、精度が低く、確定的なことはいえなかったという。(松尾一郎) 2011年9月23日16時15分 朝日
0 件のコメント:
コメントを投稿