2012年8月31日金曜日

通訳


*通訳
 日本人のタナカはニューヨーク在住のやり手税理士だった。顧客の中にマフィアのボスがおり、
 ある時、このボスがこんな依頼をしてきた。
「日本のヤクザが50万ドルを持ち逃げした。なんとかこの男を捕らえたが、金の隠し場所が分からず、言葉も通じないので通訳として来てくれないか」
 税理士のタナカは了承し、マフィアのアジトまで赴いた。
 そこではヤクザの男が椅子に縛られていた。マフィアのボスがヤクザに怒鳴った。
「金はどこだ!早く言わないか!」
 タナカはすぐに通訳した。
「そんなこと、言うわけないだろう」ヤクザが日本語で言った。
 タナカはそれを英語に訳してボスに伝えた。それを聞いたボスは拳銃を手にしてヤクザの右足を撃った。
「もう一度聞く!金はどこだ!」
「絶対に教えないぜ」タナカは言葉のまま通訳した。ボスが今度はヤクザの左足を撃った。
「これが最後のチャンスだ。これで言わないと次はお前の頭に撃ち込むからな!」
 タナカがその言葉を訳して伝えると、さすがのヤクザも顔を歪めてこう叫んだ。
「わかった。すべて話すから助けてくれ。いいか、オレの家のガレージに停めてあるクルマの中だ。助手席の下に隠してある」
 それを聞いたタナカはこう通訳した。
「ボス、彼は今こう言いました。『死ぬのはまったく恐くない。お前など地獄に堕ちろ、さあ殺しやがれ』と」

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