赤色巨星に焼かれ、生きのびた惑星発見
高温の準矮星のすぐ近くを公転する惑星(想像図)。 Illustration courtesy S. Charpinet
また“地球サイズ”の惑星が2つ見つかった。こんどは、年老いていく恒星との接近でおそらく黒こげになり、かろうじて生き延びた惑星だろうという。
NASAのケプラー宇宙望遠鏡で発見された2つの惑星は、大きさがそれぞれ地球の約0.76倍、約0.87倍で、これまでに発見された太陽系外惑星の中では最小。
しかし、これらの惑星も最初から小さかったわけではない。天文学者の推測によると、かつて木星や土星のような巨大ガス惑星だったが、年老いていく主星が膨れあがった際に飲み込まれ、ガスをはぎ取られた生き残りなのだという。
この2つの“油で揚げられた”惑星のニュースの発表前日には、やはりケプラー宇宙望遠鏡を使った研究チームから、地球の0.87倍のケプラー20eと 1.03倍のケプラー20fという地球サイズの惑星発見が発表されている。地球サイズの惑星としてはこれが初の発見だった。
ベルギーにあるリエージュ大学の天文学者で、今回の研究論文の共著者であるバレリー・バン・グローテル(Valerie Van Grootel)氏は、これまでに発見された地球サイズの惑星には、いくつか類似する点があると話す。
ケプラー20eと20fは「恒星のすぐ近くを公転していて、とても高温だ。その点では、私たちが発見した惑星も同様だ」と、バン・グローテル氏はナショナルジオグラフィック ニュースに語った。「大きな違いは、私たちの惑星が赤色巨星の段階を過ぎたものであるのに対して、あちらのチームの惑星は、太陽に似た恒星を公転していることだ」。
◆巨大惑星が丸ごと飲み込まれた?
新たに発見された惑星は、はくちょう座の方角、約4000光年先にあるKIC 02697388というB型準矮星の周囲を公転している。
B型準矮星は高温で青く見える恒星で、進化上、赤色巨星と白色矮星の中間段階にある。太陽のようなタイプの恒星が進化を終えて最終的に行き着くのが白色矮星だ。
太陽のような恒星は、燃料の大半を使い果たすと、元の大きさの数百倍に膨れあがり、赤色巨星となる。赤色巨星が膨張するにつれ、近い軌道を回っていた惑星は灼熱地獄に飲み込まれ、完全に蒸発してしまう。
天文学者によると、太陽もあと50億年ほどするとこの段階に達し、水星、金星、地球、火星といった内側の惑星を飲み込むという。
一方、もう少し離れた軌道を回る一部の惑星は、赤色巨星を取り巻いて膨張するガスとの相互作用により、内側に引き寄せられる。実はこのことが、惑星に生き延びる可能性を与えているのだ。
今回発見された地球サイズの惑星は、かつては巨大ガス惑星で、赤色巨星段階の恒星に引き寄せられたものだと科学者は考えている。赤色巨星の段階は通常1億年ほど続く。
この惑星が恒星を取り巻く高温のガスをかき分けながら公転する間に、惑星自体の気体や液体の層ははぎ取られてしまい、岩石の核だけが残る。
◆生命存在の可能性はない
KIC 02697388の惑星は、灼熱地獄を生き延びただけではない。惑星の公転による摩擦で恒星を包む高温のガスのかなりの部分が奪われ、赤色巨星から高温準矮星への進行が促されたと科学者は考えている。
フランス、トゥールーズ大学の天文学者で今回の研究を率いたステパン・シャルピネ氏は、「惑星が恒星の進化に影響を及ぼした事例が報告されるのはこれが初めてだと思う」と述べている。
リエージュ大学のバン・グローテル氏は、地球に似た大きさだとはいえ、「これらの惑星上に生命が存在しないことは確実だ」と話す。
どちらの惑星も太陽と水星の距離の40分の1という近さで準矮星を回っている。その結果、恒星に向いた側の平均表面温度はそれぞれ摂氏8842度、7821度に達する。
太陽よりも5倍も高温の恒星に「非常に接近している惑星のこのような温度下では(私たちが知っているような生命が)生存することは不可能だ」とバン・グローテル氏は話している。
地球サイズの新たな惑星についての論文は、12月21日付けで「Nature」誌オンライン版に掲載された。Ker Than for National Geographic News 2011年12月22日 毎日
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