2014年1月8日水曜日

近況報告



近況報告 
松の内も7日あるいは15日いずれでも可ということらしいです。
これは1年半ほど前に同窓会誌に投稿したものです。近況とするにはいささか抵抗感がないでもありませんが、記録の意味をも含めて、ここに記すことにしたいと思います。

思いも寄らず与えてもらったこの得がたい機会に一昔を振り返ってみました。
俄かには信じがたいぐらい、正に光陰矢のごとし、我々は卒後46年目途上にあり古希が目前に迫ってきたことになります。年寄ったのではなく、大人になった、ビンテージものと思うことにしよう。めでたくもあり、正直なところ以下のデータが、統計値とはいえちょっとした衝撃でした。
すなわち、2010年の日本人男性平均寿命が79.55歳、女性は86.30歳という厚生労働省発表がありました。目に留まったのは健康寿命(自立して健康に生活できる期間)が各々70.4273.62歳とあり、思いのほか短いことに驚かされました。健康寿命からの女性のネバリが顕著です。つまるところ、男性は概ね9年、女性はおよそ13年間多かれ少なかれ要支援/介護状態にあることになります。

どうも光輝く未来を語るという話にはなりそうもなく、リタイア初年度は積年の不養生の結果を正すため、複数の診療科に通いoverhaulに腐心しました。その甲斐あってかなんとか事なきを得て、以前よりは健康に留意するようにしています。まあ「人間万事塞翁が馬」(じんかん=世間)
“解放”直後、痛切に感じたことは、大前研一氏流に趣味のスケジュールを優先するなどの方策を講じておくべきだったとの悔やみでした。
そこで遅蒔きながら、身体も頭も動けるうちが華だ、思う存分“自由人”生活を謳歌しようと思います。ほんの手始めに身近なところから、未だ食い意地が張っているのを幸い、自己流ながら、日々手足を動かしそれなりに首から上も使わざるを得ない料理(修行見習い)に挑戦してみました。これはまだ続いています。 

また「スポーツも人生も後半戦が面白い」と吼えてもみますが、人気スポーツで言えば後半35分を過ぎたあたりでしょうか。四半世紀前にyellow cardを食らった身、その後は生かされていると思う側面がないでもない。余命ならぬ「与命」という感覚がどこかにあります。
仏教では三毒というそうですが、貪(とん:むさぼる、ものに執着する)・瞋(じん:怒って腹を立てる)・痴(ち:本能や欲望のままに動いてしまい正しい行動が取れないこと)、いずれの克服も覚束ない。
そうは言ってもそろそろ、いつ襲ってくるかも知れないred cardと同時に、まだまだひょっとすると思わぬ得点があるやも知れぬとの期待を持ちつつ、additional timeがちょっと気になりだしました。iPS細胞研究の応用展開の将来性は見逃せませんが、パイプだらけのPK戦だけはゴメンだ、何が何でも願い下げです。 
それには高齢化社会で有り勝ちな老けた発想を払拭し、年齢なるものを絶対的ではなく相対的なものとして扱い、どの年齢であっても教育と適度な運動の重要性を深く受けとめ、実践すべきなのでしょう。

驚いたことに親鸞も葛飾北斎もトルストイも80代がピークだったそうですが、それを励みにしたいものであります。もう少し身近な励みの対象としては、齢80でのエベレスト登頂を目指す三浦雄一郎氏でしょうか。山とスキーの会の先輩でもあり、彼の生き様を意識する人は、隠れ信奉者を含め、私の周りには多くいます。体力維持・増進と脳力維持のために持続的、かつ、適度な刺激が欠かせません。

 “むかし新刊、いま図書館”。基本は“晴耕(動)雨読”。身の丈にあった“刺激を見定める意味で、取っつき易いポピュラーな運動やカルチャーものを試しています。どれをとってもそれぞれに興味深いし奥行きがあり過ぎる。洞ヶ峠を極めこむのを“得手”とする身は、これからもあまり気張ることなく、気の向くままに独自路線を守って行こうと思っています。
私は幸運な人間のひとりだ。まったく有難く幸せなことに、何よりもよき友垣に恵まれてきました。私の人生においても最高の経験だったと云えます。大変に感謝をしています。

幸いにして私は世界各国・各地を訪れ見聞を広げる機会がありました。その意味での「違い」に関する好奇心は人一倍強く、新大陸を発見せずにいられない性で、意識的にわが身をそう仕向けてきました。
日本には独自の趣を誇る古都があるように、多くの欧米の街並みは、それぞれに特徴があり、個性があり、存在感があります。さらには、どっしりとした歴史背景が加わると興味は尽きず、春夏秋冬飽きさせぬ魅力があります。長い歴史がある大学もまた然りです。
たまにはワイン片手に、多岐にわたってお硬い議論を上下(しょうか)もしました。行き掛かり上、柄にもなく教育の質、単位互換性、果てまた折々の政治情勢、お互いのお国事情など考えさせられることが多々ありました。我が国の大学も独自性を競い、世界中から優れた人材が集う一層吸引力のある存在になって欲しいと期待しています。  

いまや○学部同窓会は会員数4000名に垂んとする大きな組織に成長したことになります。その持続的繁栄は歴代の会長、幹事、そして多くの有志の並々ならぬ活躍・努力・奉仕で支えられて来た賜物でありましょう。かつて、本同窓会立ち上げに関わった者の一人として、大いに喜ばしく誇らしく感慨もひとしおです。
諸先輩はじめ同窓生のなかにはドメスティックな活躍に留まらず、世界に飛躍して太平洋の架け橋たらんとする方々、国内外で先駆的な活躍をされてきた卒業生も少なからずいるように思います。そんな背景もあっての本組織は、木を見る人材のみならず、『森を見ることのできる』優れた指導者を輩出してきたといえるでしょう。
改めて「支部」も含めて、存在意義、会員のネットワーク構築、利活用方法、今後の在りかた等々忌憚のない意見交換を活発にしたら良いと思うことしきりです。

一見古く見えても今なお新しく、平成のご時世に復活必須の感あるクラーク精神と新渡戸稲造らの精神に立ち返り、世界に通じる同窓生の活躍と、北大○学部同窓会のますますの発展を切に祈念しております。Be ambitious! (2012.10記)

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