2011年10月12日水曜日

風呂の歴史:海外編6

風呂の歴史:海外編6
6)中南米の風呂

 中米の風呂は北米インディアンの風呂とはかなり違う。現在メキシコで使われているテメスカルという風呂は、ドーム状あるいは箱型の家で煉瓦で造られている。その外側にくっついて炉が設けられている。家の大きさはいろいろだが、風呂の内側 の高さはおよそ1m、円形のものでは直径が2mほど、箱型のものも2×2mぐらいで、数人が入れる。18世紀頃の記述では10人位入れた大きなものもあったという。
 
 まず炉で火が焚かれる。煙は浴室にも充満する。病気を治療する場合は、十分に熱せられた後に、一鉢の水と草の束あるいはトウモロコシの葉を持って裸で入る。入り口は閉じられ、煙り出しの穴もしばらくしてから閉じられる。それから熱せられた石に水を注ぐ。横たわった病人の特に悪いところを、水をしませた草の束で優しくたたく。こうして汗をかかせ、具合がよくなると入り口を開け病人を外に出す。

 現在では、産後の婦人専用といってよいほどに、このテメスカルを用いている。テメスカルというのはもともとはマヤ語系のナワトゥル語のテマツカリからきた言葉で、テメは「風呂に入る」、カリは「家」という意味で、「風呂の家」ということになる。

 南米には風呂とみなせるものは極めて少ない。インカ帝国では、石造りの立派な浴槽が見られるが、これは水浴用と考えられるもので、温かい風呂はインカにはないようである。

 アンデス高地ではインカの例のように水浴していたものと思われるが、2000メートルを超える高地ゆえ、水が冷たいからそんなに一般的ではない。病気の治療用として用いられたのではないか。
 しかし、チリ中南部のアラウカニア族は蒸気浴を、ペルー・アマゾンのナンビクアラ族やトゥパリ族の薬用の湯風呂など、病気治療用に蒸気浴や熱気浴を用いていた。
 
 また風呂ではないが、風呂と強い相関関係のある発汗、蒸気治療法として、南米の南端ホーン岬あたりに住むヤーガン族では、全身を包むような服を患者に着せ、火の近くに座らせて発汗させるということも行われた。

 中米のホンジュラス北部高地に住むレンカ族でも患者に服をいっぱい着せて汗をかかせるという治療法がみられる。また身体を部分的に熱い砂の中に埋めるという方法も知っていたようである。(http://www6.ocn.ne.jp/~osaka268/rekisinonagare.htm)

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