2011年6月22日水曜日

緑茶1/2

緑茶1/2
 世界のお茶は、植物学的には同一種である。お茶の樹の葉の加工方法の違いから、緑茶、烏龍茶(ウーロン茶)、紅茶に3区分される。緑茶は、お茶の葉を加熱して発酵の働きを止めて作るお茶、紅茶は、お茶が褐色になるまで十分発酵させて作るお茶であり、烏龍茶は、この2つの中間の半発酵茶である。
 ここで、お茶の加工における発酵という言葉は、微生物が関与する本来の発酵ではなく、お茶の葉で起こるカテキンの酸化重合の化学変化を指す習慣的な用語法である点注意が必要である。

 日本で生産されているお茶はほとんどが緑茶であり、産地の特徴で触れられる茶種は、品種の違いではなく発酵を止める方法として、蒸すか、炒るか等の加工法の違い、また日光を遮って茶葉を栽培するかどうかの違いである。(荒茶とは、農業者の段階で加工される1次加工農産物を指す。これがさらにお茶屋さん(茶商)によってブレンド、2次加工され、最終製品のお茶として販売される。)
 静岡県が生産量第1位で、第2位に鹿児島県。以下第3位三重県、第4位宮崎県、第5位京都府、第6位奈良県、第7位福岡県、8位佐賀県、第9位熊本県、第10位長崎県となっている。

お茶の分類

人工的な日陰で栽培するもの
 覆い下(おおいした)茶園でつくるお茶(化学繊維の寒冷紗(かんれいしゃ)による遮光が主流、従来は葦簾(よしず)と藁(わら)の本簾(ほんず)作り)。日光を遮ると光合成のため不足する日光を有効に使おうとして、茶樹が葉緑素を増やす。また、日光を浴びると茶樹が合成するアミノ酸からカテキンが生まれるが、覆い下茶園では日光が余り届かないのでアミノ酸が多く含まれたお茶となる。

*碾茶(てんちゃ)
 遮光期間30日。挽いて抹茶にする。蒸し機(高温蒸気で15~20秒)→散茶機(高さ5~6m、一枚毎バラバラになるよう露を切る)→乾燥炉(180度の高温で乾燥)→荒碾茶→仕上げ(切断、選別・乾燥)→碾茶→挽く→抹茶

*玉露
 遮光期間20日。1835年失敗した碾茶を販売したところ好評で普及したといわれる。製造法は煎茶とほぼ同じ。新茶より熟成した方がよいという考え方があり、何年産などを表示したものもある。

*かぶせ茶
 遮光期間茶摘み前3~10日。煎茶として販売。7~10日、長めにかぶせた茶は玉露としても販売。

日光の下で栽培するもの
*釜煎り茶
 発酵酵素の働きを止める方法として煎茶の蒸しでなく、釜で炒る方法を採用したお茶。中国など世界の緑茶生産の80%は釜煎り茶だが、日本では反主流。

*煎茶(普通蒸し)
 南北が原則のかまぼこ型の畝で栽培。
 (機械荒茶製法)生葉コンテナー→蒸し機→冷却機→葉打ち機(送風で水切り)→粗揉機(焙炉上で回転揉み)→揉捻機(力を入れ葉の中心の水分を押し出して乾かす)→中揉機(玉解き熱風乾燥)→精揉機(尖った形に整えながら乾かす)→乾燥機

*深蒸し煎茶
 標準蒸し時間30秒に対して60~120秒くらい蒸す煎茶。

*蒸し製玉緑茶(蒸しグリ茶)
 煎茶の簡易型。戦前ソ連南部イスラム圏へ輸出しようとして中国産釜煎り茶に似せた煎茶として開発されたもの。精揉工程をなくし仕上げ乾燥で整形。

*番茶
 最初に摘採する4月下旬~5月上旬の一番茶でなく、6月中旬に摘む二番茶以後のかたい茶葉で製茶

*副産物茶
 茎茶、芽茶、粉茶

*加工茶
 抹茶:12C末栄西が伝えた古くからのお茶であり中国で滅びた後、日本だけで受け継がれた。

 ほうじ茶:大型の番茶を強火で狐色になるまで炒って製造。色は茶色だが発酵を止めているので緑茶の仲間。茎茶を混ぜて、あるいは茎茶だけ焙じるものもある。

 玄米茶:煎茶や番茶をベースに炒ったお米やはぜたもち米(白花)を混ぜたお茶。茎茶、抹茶を加えたものも。

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