戸次道雪の場合
「武功をたてるたてぬは明き塞ぎ(運不運)によることだ。そなたが弱くないことは、わしがちゃんと見定めている。いつまた戦に出るか分からぬが、決して人にそそのかされなぞして、抜け駆けして、討ち死にするようなことがあってはならぬぞ。それは勇に似て不忠である。必ずやわが身を大事にして、この道雪を助けてくだされよ。そなたたちがあればこそ、この道雪は老いぼれていながら、敵のまっただ中にあってもひるんだ色を見せないでいられるのだ」
「道雪の家中の者はとかく平時の奉公はふつつかでありますが、ひとたび戦場に出れば火花を散らすが如くみごとであります。この者の槍の入れようなどお目にかけたいほどでござる」
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