2015年12月16日水曜日

面倒

面倒
女の忠告
義姉の花子が絹子に忠告している。
「つまらない訪問客が多くて何もできないんですって?私の撃退法を試してみたらどう?」
「どんな方法ですの?」
「ベルが鳴ったら、ドアを開ける前に帽子と手袋をつけるのよ。そして、もし会いたくな相手だったら、こう言うの『すみません。いま、ちょうど出かけるところですの』ってね」
「でも会いたい人だったら?」
「その時は、『まあ、よかった!たった今、帰ってきたところですの』って言えばいいのよ」

恩義
菜食主義クラブのメンバーが、ピクニックに出かけた。牧草地に腰をおろし、サンドイッチやお茶でくつろいでいた。
まさにそのときだった、1頭の牡牛が狂ったように猛進してきたのである。あたりはたちまちパニックに陥り、皆なりふり構わず逃げ出した。
興奮した牛は、地響きも荒々しくひとりの女性めがけていた。彼女は赤いパラソルを持っていたのである。さいわい、間一髪のところで彼女は柵を乗り越えることができた。息を整えると、くるりと振りかえった。
「なんて恩知らずなの!と、彼女は牛を怒鳴りつけた」
「私はずっと菜食主義を通してきたのよ。感謝されてもいいはずだわ!」

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