ラットに共感能力:「助けなきゃ」水責めに仲間が反応
ラットは、水に入れられた仲間がいると苦境を察して助けようとすると、関西学院大(兵庫県西宮市)の研究グループが実験で示し、独の比較認知科学誌(電子版)で12日発表した。自分自身も水に入れられたことがあるラットは、より早く助けるという。ラットに共感する能力があることを示す成果で、人間が進化の過程でどのように共感能力を得ていったかを解明するのに役立つ研究という。
関学大文学部の佐藤暢哉(のぶや)教授(神経科学)らは、2部屋(各20センチ四方)をドア付きの壁で仕切り、一方はラットが嫌がるように水を張った。ドアは水がない側からしか開かないようにした。
一緒に2週間飼育したラットをそれぞれの部屋に入れ、仲間を助けるためドアを開けるまでの時間を計った。開けない場合は5分で打ち切った。1回目は、実験した10組すべてが開けなかったが、1日が経過した2回目は平均時間約4分20秒だった。回を重ねるごとに学習が進み、12回目では平均約50秒に短縮された。水を張らずに同じ実験をすると、ラットはドアを開けなかった。
一方、水に入れられた経験のあるラットを助ける側にすると、1回目の実験は平均約4分10秒、2回目は平均約1分40秒に短縮され、4回目の平均は50秒を切る早さだった。同じつらい経験をしていると、仲間を助ける動機が強まることを示しているという。
仲間を助ける援助行動は霊長類で研究が盛んだが、ラットについての報告は珍しい。佐藤教授は「人間とラットは同じ哺乳類なので、脳の基本構造は似ている。共感性に乏しいとされる病気の研究に役立つのではないか」と話している。【根本毅】毎日新聞 2015年05月12日 12時35分
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