2010年11月19日金曜日

反物質の閉じ込めに成功

CERNの研究チーム、反物質の閉じ込めに成功 世界初

 スイスの欧州合同原子核研究機関(CERN)の研究チームは世界で初めて、反物質の一種「反水素」を閉じ込めることに成功した。宇宙の誕生や性質を理解する突破口となる可能性がある。

 反物質の解明は科学界最大の課題の1つとされる。専門家の間では一般に、宇宙創成時のビッグバンでは物質と反物質が同数作られたと考えられている。だが世界は物質で構成されているため反物質は消滅したように見える。
 反物質を理解することで、既知の宇宙にあるほぼすべてのものが物質でできている理由が明らかになる可能性がある。

 反物質と物質は共存できず、互いに接触するとすぐに消滅してしまうため、反物質の扱いは非常に難しい。CERNでは2002年に反水素原子を大量に作ったが、容器の側面にぶつかり、数ミリ秒というごく短い時間で消滅してしまった。
 今回の実験では、磁場を使って閉じ込めることで物質との接触を防ぎ、38個の反水素原子を約0.2秒間閉じ込めることに成功した。チームに参加したジェフリー・ハングスト教授によると、この時間は反水素原子を研究するには十分な長さだという。

 同教授は、5年がかりでここまでこられたと喜びをあらわにし、「(今回の成果は)空間と時間の構造を理解するのに役立つだろう。まだ明らかにされていない何らかの理由で、反物質は自然界から除外された(中略)。そのことに刺激を受け、私たちは反物質が何か秘密を握っているのかを確かめるためにもっと賢明に研究しようという気持ちになる」と語った。
 CERNの次の目標は、さらなる謎の解明を可能にすると期待される反物質のビームを作ることだという。2010.11.19 Fri posted at: 11:22 JST CNN

0 件のコメント: