2009年9月5日土曜日

雪を溶かすザゼンソウ、謎の一端を解明 岩手大グループ

雪を溶かすザゼンソウ、謎の一端を解明 岩手大グループ
熱で雪を溶かし花を咲かせるザゼンソウ=09年3月、岩手県北上市和賀町藤根の群生地

 自ら熱を出して周りの雪を溶かし、花を咲かせるザゼンソウ。岩手大学農学部付属寒冷バイオフロンティア研究センター研究員の稲葉靖子さん(33)らのグ ループが、この熱を生むシステムの一端を世界で初めて明らかにした。ザゼンソウの細胞内でエネルギーを作り出すミトコンドリアが影響しているという。4日 付の英国の科学雑誌に掲載された。
 将来、低温に弱い作物の耐寒性を高めたり、耐寒性に優れた農作物を育てたりすることにつながる可能性があるとして、期待されている。
 ザゼンソウは寒冷地の湿地帯に自生するサトイモ科の発熱植物。僧が座禅を組む姿に似て名付けられた。赤紫色の苞(ほう)に包まれた小さい花が密集した部分が発熱する。外気に敏感に反応し、外気が零下になっても体温を20度前後に保ち、1~2週間発熱し続ける。
 ミトコンドリアは動植物の細胞内の小器官で、細胞が生きていくために必要なエネルギーを供給する。稲葉さんらの研究によると、ザゼンソウには非発 熱植物であるジャガイモやカリフラワーと比べてミトコンドリアが豊富に含まれていた。ジャガイモの24倍、カリフラワーの360倍もあった。
 また、ザゼンソウの花はメスからオスへと性を変える「雌性先熟」の性質を持ち、「メス期」に発熱して「オス期」に発熱を終える。ミトコンドリアの量は「メス期」から「オス期」への移行に伴い減少することもわかった。(但木汎) 2009年9月5日15時15分 朝日

0 件のコメント: