2009年8月3日月曜日

有人月探査は実現不可能? NASA主催のシンポジウムで有識者が厳しい見解

 ちょっと気になる記事が出ていましたのでーー、普段あまりこのような見解がニュースだねとして紹介される機会は少ない気がします。
 なお、日本が24年間で、6000億円かけて完成した「きぼう」の今後の年間維持費が300億円、2016年以降は多分宇宙のゴミ化する恐れがあるようです。8000余億円!!! 夢と現実は?


有人月探査は実現不可能? NASA主催のシンポジウムで有識者が厳しい見解

2009/7/28 18:25 UTC − アポロ11号月面着陸40周年を記念した有識者によるパネルディスカッションが20日、NASAの主催によりワシントンDCで開催された。

今回のパネルディスカッションに参加したのは、NASAの歴史編纂室長のSteven J. Dick、国立航空宇宙博物館のJohn Logsdon、Roger Launius、Michael Neufeld、NASAの探査計画担当准長官のCristina Guidi、宇宙歴史家のCraig Nelsonの5名の有識者。

いずれも米国を代表する宇宙開発の専門家となる。

アポロ計画は東西冷戦の産物

パネルディスカッションではまず、40年前の技術力でなぜ有人月探査という偉業を達成することができたのか討議が行われた。

有 識者の一致した結論は、アポロ計画は科学技術面での優位を競うというよりも、ソ連との政治的な競争関係に打ち勝つために計画の実現が急がれたもので、実態 の裏付けのない政治的な競争に根ざしたものであるため、ソ連には月探査を実現する能力がないことが判り、アメリカの国力も尽きたところで計画も終わりに なったと論じられた。

有人月探査の実現はNASAの官僚組織には無理

その上で、現在、NASAが進めている第2の有人月探査計画に対しては現在のNASAは官僚制が徹底されてしまっているため、リスクが高い有人月探査計画の実現は困難だろうという意見が主流を占めた。

第 2の有人月探査計画を実現するための中核となるNASAのコンステレーション計画の責任者も務めるGuidiからは「常日頃、失敗から学ばなければ何事も 実現しないと述べ、失敗なくしては成功はあり得ないことを説明してきているが、大衆(public)は判ってもらえない」とNASAが置かれている厳しい 立場をこぼす一幕もあった。

最終的に参加者が至った結論は、第2の有人月探査計画を実現するためには国民世論の後押しが必要というもの。

有人月探査による学術的成果に関しても未知数

し かし、今更、月に到達したところで、社会全体の利益につながるような何かが得られるのか? 今回の第2の有人月探査計画には不明瞭な部分も多く、計画実現 には莫大な予算が必要ということもあり、当初予定通りに2020年までに有人月探査が実現できるかどうかは未知数だ。

アポロ計画で科 学面で何らかの有益な貢献が得られたかに付いては英科学雑誌「ネイチャー」が、過去3年間に論文の掲載が認められた第一線の研究者800名を対象にアン ケート調査を実施したが、そうした第一線の研究者であっても、有益な貢献が得られたと答えたのは半数にしか満たなかったのが実状。

スペースシャトルはコンセプト事態が失敗、国際宇宙ステーション計画も2016年で終了となる可能性が高まるなかで、第二次世界大戦後、人類が追い求めてきた有人宇宙旅行への夢も、そろそろ成長の限界が見えてきた格好だ。

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