ノーベル医学生理学賞に大村智氏 熱帯の感染症に特効薬
スウェーデンのカロリンスカ医科大は5日、今年のノーベル医学生理学賞を大村智・北里大特別栄誉教授(80)らに贈ると発表した。業績は「寄生虫による感染症の治療法に関する発見」。大村さんは、熱帯地方で流行する感染症「オンコセルカ症」の特効薬を開発。多くの患者を失明から救った。
日本のノーベル賞受賞は、昨年に青色発光ダイオードの発明で受賞した物理学賞の3氏に続き23人目となる。医学生理学賞は利根川進・マサチューセッツ工科大教授、山中伸弥・京都大教授に続いて3人目。授賞式は12月10日にストックホルムである。賞金の800万スウェーデンクローナ(約1億1200万円)は受賞者3人で分ける。
オンコセルカ症は線虫による感染症で、アフリカや南米などの主に熱帯地域で流行する。線虫を媒介するブユがヒトを刺すことで感染し、患者の2割が失明する恐れがあるとされる。
大村さんは北里研究所室長だった1974年、静岡県内のゴルフ場の土壌を採取し、線虫を殺す効果がある菌を見つけた。これをエバーメクチンと名付け、製薬企業メルクとの共同で発表した。エバーメクチンの分子構造の一部を変えて効果を高め、抗寄生虫薬イベルメクチンの開発した。
イベルメクチンは当初、ウシやブタなど動物の治療薬として販売したが、その後、ヒトのオンコセルカ症にも効果があり、失明を防げることが分かった。WHOはオンコセルカ症の排除計画を進めており、現在、世界で年間1億人以上に無償投与を続けている。2015年10月5日18時52分 朝日
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