脳の構造は世帯収入により差、裕福な家庭の子どもの成績が良くなる背景に?MITから報告
中学生を対象とした検証結果
写真はイメージ。記事と直接の関係はありません。(写真:Brandon
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中学生では、脳において知識が保存される場所の構造に、世帯収入による違いがあることが分かった。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)、マクガヴァン脳研究所のアリソン・マッキー氏らの研究グループが、精神分野の国際誌であるサイコロジカル・サイエンス誌において2015年4月17日に報告している。
中学生を対象とした研究結果
米国では高所得家庭の子どもと低所得家庭の子どもの学力差が広がっている。これまでの研究では、低所得家庭の子どもは幼いころにストレスを感じることが多く、学習する機会が少なく、話し言葉に触れる機会が少ないため、学力低下につながっていると明らかにされてきた。
研究グループは、低所得家庭の子ども23人、高所得家庭の子ども35人、計58人の12歳か13歳の学生を対象として検証した。低所得かどうかの基準は、学食が無料か割引になる認定を受けている場合とした。
「マサチューセッツ州総合評価システム」という学力スコアと、大脳皮質のMRI結果を比べた。大脳皮質は、思考、言語、知覚、運動指令といった機能を果たす場所である。
大脳皮質が厚さを回復させる対策を
その結果、脳の表面に近い「大脳皮質」のうち側面から後方までに当たる「側頭葉」と「後頭葉」の厚さに違いがあると分かった。大脳皮質の部位の厚さに違いがあると、収入の差が44%に及ぶと分かった。
研究者は、「脳は非常に柔軟であるため、今後の教育支援、家庭における支援などによって脳の差は大きくならない可能性がある」と語っている。どのような教育プログラムで学力差を縮められるか、またこれが脳構造に影響を及ぼすかについて今後研究されるようだ。
折しも親の収入と子どもの学力との関係を検証する研究は、神経科学分野の国際誌ネイチャー・ニューロサイエンス誌にも掲載されたところ(親の学歴が高く収入が多いほど子どもの脳は発達しているを参照)。差が固定化されないような対策が必要だろう。
文献情報
Mackey
A et al. Study links brain anatomy, academic achievement, and family income.
Psychological Science. 2015 Apr 17.
http://newsoffice.mit.edu/ 2015年4月30日
3:00 PM Medエッジ
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