砂漠に水を? 5
グリーンテクノロジーへの期待
海水の淡水化と蒸留
濾過システム
砂漠でも都市への人口集中や、水源の涸渇などで、新たな水の供給源が求められている。塩水の淡水化プラントの技術は、水の浄化に使われる技術であるが、砂漠の産油国では、水の供給源として導入されている。この技術には、2005年現在、蒸留水を作るシステムと、中空糸膜(※1)などで濾過するシステム、そしてこの2つを組み合わせたハイブリッド方式の3つがある。
濾過する方法は、圧力をかけた海水をフィルターで漉し出すもので、逆浸透(RO)膜方式(または、逆浸透法)と呼ばれている。多段フラッシュ(蒸発)方式よりエネルギー効率が優れているが、海水中の微生物や析出物でフィルターが汚染されないように海水を前処理するなどのメンテナンスが必要とされている。
※1:中空糸膜とは中に穴が空いた(中空)糸状の繊維のこと。その穴の中に水を通して圧力をかけ、穴の中から外に向けてろ過するものと、反対に中空糸の外から中の穴に向けてろ過するものがある。
蒸留
蒸留水を作るシステムは多段フラッシュ(蒸発)法と呼ばれ、熱効率をよくするため、減圧した水を加熱する。海水の水質を選ばず、大量の淡水を作れるのが 特徴である。しかし、このシステムには多量のエネルギーが必要で、採用している国では、発電所の復水や油井から上がってくるガスが熱源とされているため、淡水化プラントと発電所や精油所が併設される場合が多くみられる。
砂漠の街ドバイでは街の至るところで噴水がじゃんじゃん惜しげもなく噴出されており、芝生や緑には全自動スプリンクラーから24時間つねに水を供給している。さらに飲料水は安くて美味しい。ボトルウォーター売り場だけでも相当数のブランドがあり、その売り場面積も想像を絶するとてつもないデカサである。
ドバイは水需要のほとんどを海水蒸留水で賄い、ほんの一部を地下水に依存している。大型造水プラントはアブダビとドバイのジュベル・アリに集中しており、世界初の多段式フラッシュ法という技術により常時、海洋深層水の淡水化が24時間行われている。一度も空気に触れることのない海洋深層水は通常の水よりもミネラル成分がたっぷりで人間の身体にもよく、ドバイのこの造水プラントによる水の生産量はサウジアラビアに次いで世界第2位である。
これら造水プラントで生産された水は、UAEではほとんどが家庭用、緑化用、農業用として消費されており、年間供給量は1993年の352億5200万ガロンから2003年には1204億1400万ガロンへと4倍近くに増加している。送水パイプラインとポンプ・ステーションの増設工事も年々行われており、パイプラインの総延長は1300キロに、ポンプ・ステーション数は34にそれぞれ増加し、UAE国内の水の供給能力は日々拡大してる。
これら造水関連施設の拡充に加え、水資源の管理・開発・調査や新規掘削なども行われているほか、フジャイラ、ラスアルハイマの山岳地方を中心として、貯水用ダムもUAE国内に次々と建設されている。
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