砂漠に水を? 4
グリーンテクノロジーへの期待
どうしたら砂漠に雨を降らせるか 4
人工降雨の目的
•水不足や旱魃などの対策が最も一般的で、世界各地で実施されており、日本でも1964年夏に関東地方で記録的な水不足が起きた際、水源地付近で実施された事がある。他に、大きなイベント当日の好天を狙って事前に雨を降らせたり、エアコンの電力消費を抑えるため、さらに黄砂による大気中の砂塵除去のためという例もある。
•2008年北京五輪の開会式8月8日は、日本の梅雨に相当する比較的雨の多い時期にあたるため、雨雲が北京に流れてくる前に人工的に雨を降らせ、雲を消散させて開会式会場付近の晴天を確保するという計画があった。実際、開会式当日にヨウ化銀を含んだ小型ロケット1104発が市内21カ所から発射された。効果は不明であるが、開会式は晴れだったため、雲の消散に寄与した可能性は否定できない。
以上科学的・気象学的側面から見てきた限り、大地を潤すほどの大規模な人工降雨は、現在の科学常識レベルでは極めて困難であり現実味に乏しい。ただ、まだまだ本丸攻めがなされているとは思われず、隔靴掻痒のもどかしさも感ずる。
そこで、自ずとサイエンスフィクション?もどき、否、非科学的、常識無視の無謀な夢物語を考えてみることにしたい。
①雲作り
雲作りにこだわった場合はどうなるか。上昇気流とともに大量の水蒸気を継続的に持ち上げられれば可能性があることになる。たとえば、アフリカ大陸西岸の海水を蒸発させるにはどうすればいいか。一案は単純に幾つもの巨大扇風機を回し続けること。エネルギー源は、ソーラーパネルの利用であり、風力発電との併用が考えられる。扇風機を上に向けるか、横に向けるか、角度で効率も変わるだろう。また太陽熱集熱と、それらのエネルギー源を活用して海水を継続的に沸騰・蒸発させる技術の組み合わせも一案。「臨界点」を超えれば加速度的に上昇気流の発達が期待できるかも知れない。予測のつかない新たな発見・現象が出てくる可能性もある。
②“逆砂漠化”案
世界各地で砂漠化が勢いよく進行中と言うが、各々の原因究明を行い、可及的にその解消を目指す。まだ辛うじて存在しているジャングルグリーンベルトをベースにしての緑化拡大拡張作戦。野生動物保護を兼ねた、焼畑禁止、開発と称する野蛮な活動の禁止、樹木伐採禁止などの規制をかけ、砂漠化要因を押さえ込み、徐々に植物を増やし森林グリーン化していく。エネルギー源は太陽電池、風力発電など。
③閉鎖系空間
水循環型閉鎖空間を作り部分緑化して、呼び水とする。徐々に拡大する。大きなビニールハウス様建造物(ガラス、プラスチック、アクリル製など)をたくさん作る。閉鎖系となし完全な系内水循環系システムを確立する。太陽電池、風車発電併用。
④運河と塩湖のネットワーク方式
運河を作って海水を引き込む。海水の湖を作る、塩分濃度を高め、副次的に塩の供給をも可能とする。いくつもの大きな湖と運河のネットワークを形成し、水の自然蒸発による雲の生成を期待する。ひと度グリーンベルトができれば呼び水になる。海藻やマングローブなどを活用する。
⑤ナイル川のかつての川床を利用した運河ネットワークの構築
ピラミッド時代からの基本思想の現代版として、ナイル川を制御し真水の運河ネットワークと湖水を形成する。
⑥地道な植林作業、その他
上記を推進するに当たり、要所々々で日本が開発した膜技術を使っての淡水化を取り入れることも可能であろう。さらに保水性素材の幅広い利用も有効であろう。
申すに及ばずこれらは地球規模のプロジェクトであり、いずれも継続的になされねばならない大変息の長い話で、場合によっては数百年規模の長期戦で、かつ、天文学的“金子”を必要とする。短期的なコストパフォーマンスの問題からは程遠い。国や企業、資本家、個人がどのプロジェクトに何%投資するという形態がいい、経年ファクターを考慮する。
国境を越えた協力体制を組み、加えて、建築、土木、上下水技術、農林業技術、電気工学、電子工学、太陽電池、風力発電、蓄電池、燃料電池、土壌改良技術、品種改良、気象学、衛星探査技術、総合技術、政治経済等々あらゆる分野の協力融合の元に成り立つ地球規模の壮大なプロジェクトである。
海藻やマングローブなど海水で育つ植物の利用、さらには作用機構の解明、塩水抵抗性遺伝子の特定と、それを組み込んだ遺伝子改変植物の開発なども研究課題となろう。各種の紛争に費やすエネルギー、資金、破壊、人的損害などがいかに不毛で、建設的でないかを再認識する。
各国は各々の得意分野を担当し、世界経済を持続的に活性化することができる。さらにこのメガプロジェクトを通して、環境保護の重要性が世界共通のコンセンサスとなり、かつ、国境の概念を取り払った人的ネットワークの構築が実現する。地球は一体化し、正に新たな概念の世界平和構想に導くこととなる。
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