認知症:患者の機能改善に「Pls」 九大など臨床成果
九州大や福岡大で作る研究グループは4日、リン脂質の一種「プロズマローゲン(Pls)」を摂取した認知症患者の認知機能が、摂取しなかった患者に比べ改善したと発表した。Plsに関する臨床研究は初めて。近くPlsを含んだドリンク剤を機能性食品として販売する予定で、藤野武彦・九大名誉教授は「医薬品への応用に向けさらに有効性を調べたい」としている。
両大などで作る「プロズマローゲン研究会」のシンポジウムで明らかにした。Plsはほ乳類の細胞にある物質で、アルツハイマー型認知症患者の脳内で減少していることが米国の研究で明らかになるなど、これまでも認知症との関連が注目されていた。
臨床試験は昨年2〜9月、福大病院などに通う60歳以上の軽度〜中等度のアルツハイマー型認知症患者40人を対象に実施した。濃度の違うPls入りのドリンク剤(Pls摂取量は1日10〜100ミリグラム)を毎日飲む三つのグループと、Plsを含まないドリンク剤を飲むグループに分けて6カ月間観察した。
結果、認知症の
診断にも使われる認知機能テスト「MMSE」の点数が、最もPlsの濃度が低いドリンク剤を摂取したグループで改善。また、介護者らによる客観的評価で も、このグループの患者は「薬を忘れずに飲む」など行動に改善がみられたという。数カ月以内にPls入りドリンク剤を販売する方向で東京の企業と検討して
いる。
藤野名誉教授は「今回の試験で低濃度で有効性があることが示された。今後は軽症や重症など、どの段階の患者に効果があるのか大規模な臨床研究を実施したい」と話した。【金秀蓮】毎日新聞 2014年02月05日 00時13分
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