2012年11月4日日曜日

いまや中国は「2人で井戸をのぞけぬ」怖い国


「井戸掘った人を忘れぬ」ではない 中国は「2人で井戸をのぞけぬ」怖い国
 《中国の影響は(日本人)個々の人格、その魂には決して及ばなかった》
 国際連盟事務次長まで経験した第一級の国際人・新渡戸稲造(1862~1933年)が遺した言葉である。中国外務省が10月22日に行った記者会見に、日本人との「人格」「魂」の違いを見た。憤るより、むしろ悲しかった。

新渡戸稲造の慧眼
 沖縄県沖公海上で炎上中だった大型貨物船から中国人乗組員64人全員を救出した海上保安庁に、最後まで感謝の言葉が無かったのだ。あまつさえ、この日夕には、中国海軍のミサイル駆逐艦など3隻が沖縄本島沖を、沖縄方面に向け威嚇航行している。
  もっとも、さしたる驚きはない。沖縄県石垣市の尖閣諸島に対する日本の領有意志を挫くべく官製暴動を企て、中国の近代化を手伝ったパナソニックの中国工場 を破壊する国。中国は「井戸を掘った人を忘れない」国ではない。「一人で廟に入るな、二人で井戸をのぞくな」という諺の方が中国文化の正体を真に言い当て ている。一人で廟に入ると、悪い坊主に殺されて金品を奪われる。二人で井戸をのぞくと、もう一人に突き落とされる-という意味。怖い。

 9 月の国連演説で、中国の楊潔チ外相(62)は「日本は釣魚島(尖閣諸島魚釣島の中国名)を盗み取った」と、自らの品性を卑しめる発言を行ったが、中国の側 こそが、国家ぐるみで「悪い坊主」と化している。中国南海研究院の呉士存院長は8月、米ニューヨーク・タイムズ紙上でこう放言した。
 「中国は南中国(シナ)海全域の支配を望んでいるわけではなく、わずか80%の支配を求めているだけである」
 「80%の支配」も 有り得ぬ話だが、「80%の支配」を「求めているだけ」と「だけ」で片付ける傲岸ぶり。後の20%を、フィリピンやベトナムなどそのほかの夷狄で分け 合え、と言っているように聞こえる。「野蛮な異民族」「未開の民」を指す「夷狄」。東南アジア各国と領有権問題を有する南沙・西沙・中沙各諸島を管轄する 三沙市(市庁舎ウッディー島/中国名・永興島)をこしらえ、南シナ海の紛争海域を担任する三沙警備区を設置した件につき、米国務省が8月に懸念表明した際 もそうだった。中国外務省はこう反論した。

一貫性もない中国の主張
 「南沙と周辺海域に、議論の余地無き主権を有するし、十分な歴史的証拠も有している」
  しかし、中国には「議論の余地無き主権」も「十分な歴史的証拠」も無い。まず、中国はモンゴル支配下の13世紀末、中国船がスカボロー礁(フィリピンや台 湾、中国が領有権を宣言)を訪れた実績を領有権の論拠として挙げる。だが、遥か前からフィリピン人、マレーシア人、インドネシア人、ベトナム系が往来 している。
 中国はまた、1898年12月のパリ条約で、スペインが米国に主権委譲した範囲にスカボロー礁が入っていなかった点を主張する。だが、米西戦争 (98年4~8月)に勝った米国は条約において、カネでスペインからフィリピンの主権を買い、直後比独立まで否定した。条約は、フィリピンの対西独立宣言 から半年後に交わされているが、フィリピン人の意志は反映されていない。

 さらに中国は、中華民国水陸地図審査委員会が1935年にスカボロー礁を自国の版図に入れたことを強調。従って、フィリピンが解決策として訴える国連海洋法条約(94年発効)の規制を受けない、とする。歴史が法に勝るという理屈だ。
 ところが中国は96年、歴史を主権の根拠として認めない海洋法条約を批准した。条約に基づき「沿岸から370キロをEEZ=排他的経済水域」と主張。「国際法と平等の原則に基づき」個々の国々と協議すると、高らかに謳っている。
歴史と法をつまみ食い

 中国は「版図拡大」の道具として、長い歴史と法律をつまみ食いし、都合良く解釈している。米国務省が8月、2002年の中国・ASEAN行動宣言(DOC)を尊重し、緊張緩和に向け法的拘束力を有した行動規範の実現を求めた際は、こう開き直った。
 「一部国家はDOCを順守していない。挑発的方法で度々、DOCの理念を踏みにじった。関係国にDOCの厳格な順守を要求する」
 「一部国家による石油開発区設定や島嶼・海域を確保するための違法な国内法整備に何故、目をつぶるのか。一部国家の海軍戦闘艦艇による中国漁船威嚇を何故、議論せぬのか」
 「一部国家」「関係国」という主語を「中国」に、「中国漁船」を「東南アジアの漁船」にそれぞれ置き換えると、現状が正確に把握できる。新渡戸の言葉は、斯くも歪んだ中国の国柄を語り切っている。曰く-
 《彼らの精神構造には、自分の責任を免れるために、他人や世間をなじるという習性があり、自分に関係のない原因や他者に責任をおしつけてしまう》

  実際、中国外務省は、官製暴動における日系企業の甚大な被害の「責任は日本が負うべき」、日本を畏怖させるべく行った東シナ海での中国海軍・国家海洋局による合同訓練には「中日対立エスカレートの責任は全て日本側にある」、日中国交40年記念式典中止にも「全ての責任は日本側にある」と述べた。
 その親しさ故に、民主党の「責任転嫁」体質はまさか、中国譲りであるまい。前原誠司国家戦略担当相(50)と岡田克也副総理(59)は、東京都による尖閣諸島国有化の動きが中国を怒らせたと、石原慎太郎知事(80)を指弾した。知事が指導力を発揮し、慌てて地主と交渉を始めた見苦しさは最早忘れている。新渡戸はこうも記した。
 《中国の影響は、何世紀にもわたって及んだにもかかわらず、浸透しはしなかった》

 女性宮家創設や南京大虐殺捏造への沈黙、公人の靖國神社不参拝。日本文化を極限まで薄めんと欲す「中国の影響」を受けた政治勢力「浸透」は予見できなかったようだ。(政治部専門委員野口裕之)2012.11.4 11:26 産経ニュース

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