硫化水素、セ氏零下70度で超伝導に 最高記録を更新
*超伝導状態の硫化水素の結晶構造のイメージ
硫化水素に超高圧をかけるとセ氏零下70度で電気抵抗がゼロの超伝導状態になることをドイツの研究チームが発見し、大阪大学などと共同で、この状態にある硫化水素の結晶構造を突き止めた。
ドライアイス(零下約80度)で冷やせる温度で、従来、超伝導が起きる温度の最高記録だった零下約110度を約20年ぶりに大幅に更新したことになる。超伝導はMRI(磁気共鳴断層撮影)やリニアモーターカーに使われる強力な電磁石などに役立つ。今回の発見は超高圧が必要ですぐに実用化はできないが、高温超伝導の研究を大きく進める成果だ。
硫化水素は硫黄と水素の化合物。温泉などに含まれ、低濃度のガスだと腐った卵のような臭いがするが超高圧をかけると金属の状態になる。ドイツのマックスプランク研究所などが今年8月、約150万気圧をかけると零下70度で超伝導状態になったと、英科学誌ネイチャーに報告した。
ログイン前の続き一方、阪大基礎工学研究科の清水克哉教授らの研究チームは、独自に実験で確かめた。硫化水素を冷やしながら、ダイヤモンドを使った装置で締め上げて、同じ圧力をかけると、ドイツのチームに近い温度(零下約90度)で超伝導になった。
阪大はドイツのチームとも共同で研究。大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)を使い、超伝導状態になった硫黄と水素の原子の規則正しい並び方を解明。10日に広島市であった日本高圧力学会の会合で発表した。 清水教授は「将来的には水素の化合物で室温に近い超伝導が達成できるかもしれない」と話している。(小堀龍之)2015年11月11日16時20分 朝日
0 件のコメント:
コメントを投稿