ヨーロッパモノアラガイの左巻き(左)と右巻き(右)の個体=黒田玲子教授提供
ヨーロッパモノアラガイの受精卵が8細胞期になる時、左右からガラス棒で細胞を押して配置を変えた。大きさは約0.1ミリ=黒田玲子教授提供
卵の時にガラス棒で押したら…巻き貝の左右、変わります
巻き貝の受精卵をガラス棒で押すことで、貝の巻き方の左右を変えることに、東京大学総合文化研究科の黒田玲子教授(生物物理化学)のグループが成功し た。心臓の位置など、より高等な脊椎(せきつい)動物の左右の違いなどにも意味を持つ研究で、英科学誌ネイチャーの電子版に25日付で報告した。
黒田教授らは自然界に右巻きと左巻きの両方がいるヨーロッパモノアラガイを使って、受精卵が4細胞から8細胞に増える時期に、左右の巻き方と関係 するねじれが生まれていることを2004年に報告していた。この時期の重要性をさらに検証するため、細胞を細いガラス棒で壊さないように左右から押して、 細胞の配置を物理的に変えてみた。
その結果、本来右巻きであるはずの左巻き貝と、左巻きのはずの右巻き貝を作り出すことに成功。貝は本来と違う巻きでも、問題なく成熟することも確 かめた。脊椎動物で左右の決定にかかわっている遺伝子が、こうした貝の中では本来とは左右逆転した状態で働いていることもわかった。
貝の巻き方は、一つの遺伝子の働きだけで決まると、80年以上前から考えられている。黒田教授は「その遺伝子が8細胞の時期の細胞の配置を決め、 右巻きか左巻きかを決定しているらしい。この遺伝子の探索とともに、脊椎動物における左右性の決定についても研究を進めたい」と話している。(米山正寛) 2009年11月29日10時0分 asahi
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