「日没が一番早い日」ではない 冬至めぐる意外な事実
冬至の日は、日の出・日の入りの位置が最も南寄りになり、太陽の南中高度が最も低くなります。例えば、東京では6月下旬の夏至の頃の南中高度は78度近くなのに対し、冬至の日は11時39分に30度9分。午前中のうちに南中に達するので、昼休みに外に出ると、すでに太陽は傾き始めている状態
です。夏に比べて昼間の影が長いことからも実感できます。
「冬至とは何か」と聞かれれば、多くの人が「夜が長くて昼が最も短い日」とすぐに答えられるかと思います。一方、このことから「日の出が最も遅くて、日の入りが最も早い」と思っている方もいるかもしれませんが、これはちょっと事情が異なります。
2012年~2013年にかけて、日の入りが最も早くなるのは、札幌は12月初め~半ばで16時ちょうど、東京は11月末~12月上旬で16時28分、福岡は11月末~12月上旬で17時10分。日の出が最も遅くなるのは、札幌が12月末~1月上旬の7時6分、東京は1月上旬の6時51分、福岡は1月前半の7時23分です。
各地に見る、日の入りが最も早くなる時間と日の出が最も遅くなる時間
各地とも日の入りが早くなるピークが、日の出が遅くなるピークよりも先なのです。つまり、冬至の日には「日の出はもう少し遅くなるけれど、夕方は徐々に明るくなり始めた」という時期で、そのズレの兼ね合いによって昼間の時間が最も短くなるのです。
■早朝は寒い…とは言えない日
「冬至以降に日の出が最も遅くなる」ということから、おもしろい事実も浮かび上がってきます。放射冷却による気温の底は日の出頃。つまり、これから年明けにかけては「朝の冷え込みが最も遅い時期」といえるのです。私は午前3時半に出勤するため2時半に起床しています。すると「暗くて寒い時間に起きるのは大変だね」とよく言われますが、実は、この時期は、6時過ぎに起きて7時過ぎに家を出る一般的な生活をしている人が最も寒い思いをしているのです。
これからの年末年始、屋外で過ごす人予定のある人は「初日の出が拝めそうなら、その瞬間が一番寒い」と覚悟をしておきましょう。特にお正月休みの都心は車や人も少なくなって空気が澄むため、普段よりも放射冷却が強まりやすくなるといわれています。気象予報士 伊藤みゆき 2012/12/21
6:30 日経
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