2019年11月19日火曜日

生命の起源、宇宙から飛来?


生命の起源、宇宙から飛来?隕石に遺伝物質の材料…40億年以上前に作られた可能性
*マーチソン隕石の一部。縦の長さが約2センチ(古川准教授提供)
 生物の遺伝情報を伝えるRNAの骨格を作る糖「リボース」を、隕石いんせきから初めて検出したと東北大などが発表した。過去にも隕石から糖が発見された例はあるが、生命の誕生に欠かせない種類の糖は初めてという。生命の起源となった物質が宇宙から飛来したとする説を裏付ける新たな証拠だとしている。論文が19日、米科学アカデミー紀要に掲載される。

 東北大の古川善博准教授や米航空宇宙局(NASA)などで作るチームは、1969年にオーストラリアに落ちたマーチソン隕石など3種類の隕石を分析した。
 その結果、マーチソン隕石と2001年にモロッコで見つかった隕石からリボースを発見。リボースに含まれる炭素原子の特徴を分析したところ、この分子が地球由来ではないことが確認できた。40億年以上前の太陽系誕生初期に作られ、隕石とともに地球に飛来したとみられる。

 生命を構成する物質の由来を巡っては、地球外から飛来したという説と、地球で作られたとする説がある。これまでの隕石の分析で、RNAの材料となるリン化合物などは見つかっていたが、糖は見つかっていなかった。
 地球外の有機物に詳しい東京薬科大の山岸明彦名誉教授は「欠けていた部分を埋める重要な成果。宇宙にRNAを作る材料があったと証明された」と話した。
 ◆RNA=生き物で遺伝情報の伝達やたんぱく質の合成の際に使われる鎖状の分子。糖「リボース」に別の有機化合物やリン化合物が結合した構造を持つ。 2019/11/19 07:15 読売

2019年10月31日木曜日

2つの銀河が衝突


「不気味な顔のような天体」実は2つの銀河が衝突…見える期間は1億年
不気味な顔のように見える天体(NASA、欧州宇宙機関など提供)
 31日のハロウィーンに合わせ、米航空宇宙局(NASA)は、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた、不気味な顔のように見える天体の画像を公開した。
*撮影は今年6月。NASAによると、「顔」の正体は、地球から約7億光年離れた場所で衝突している、同じようなサイズの二つの銀河。目のような部分はそれぞれの銀河の核、顔の輪郭のように見える部分は若い星などの集まりだという。輪郭部は銀河同士が特定の方向で衝突した時だけ現れ、顔のように見える期間は約1億年に及ぶという。
 NASAはホームページで「貫くような『目』は異世界の生き物のようですが、幽霊ではありません」と紹介している。2019/10/31 18:35 読売

2019年10月19日土曜日

性別は720種類、脳がないのに学習 特異な生命体


性別は720種類、脳がないのに学習 特異な生命体、パリ動物園で一般公開
学習し自己増殖する奇妙な生き物「モジホコリ」、仏動物園で一般公開
(CNN) 明るい黄色をしていて、時速4センチの速度ではうことができ、脳がなくても問題を解決でき、半分に切断されても自己修復できる――。そんな特異な生命体が、フランスのパリ動物園で19日から初めて一般公開される。

この生命体は、単細胞の粘菌の一種モジホコリ(学名フィサルム・ポリセファルム)。植物でも動物でも菌類でもなく、性別はオスとメスの2種類ではなく720種類もある。分裂して別の個体になったり、融合して元に戻ったりすることもできる。
10億年ほど前から存在していたと思われるが、1973年5月、米テキサス州の民家の庭で増殖しているのが発見されてセンセーションを巻き起こした。

2016年には英王立協会紀要に論文が発表され、学会で脚光を浴びた。フランスの研究者によれば、モジホコリは学習して有毒物質を避ける能力があり、1年たってもその行動を覚えていることが分かった。
パリ動物園の研究によれば、迷路を抜け出す最短距離を発見したり、環境の変化を予測するといった問題解決能力も持っているという。
同動物園のモジホコリは、シャーレの中でオートミールを与えて培養し、一定の大きさになったところで樹皮に移し、テラリウム容器に入れて展示する。「アカシアの木やオークの樹皮、クリの樹皮を好む」という。
野生のモジホコリは欧州の森林の地面に生息していて、気温19~25度、湿度80~100%の環境で繁殖する。天敵は光と乾燥のみ。ただし生存が脅かされると何年もの間冬眠することもできるという。CNN 2019.10.18 Fri posted at 11:20 JST

「超計算」人類の手中に グーグル実証か


「超計算」人類の手中に グーグル実証か
人工知能(AI)などに続く革新的技術として期待される量子コンピューターが「スーパーコンピューターを超える日」が近づいてきた。米グーグルは、理論上の概念だった性能を実証し、最先端のスパコンで1万年かかる問題を瞬時に解く実験に成功したもようだ。米IBMなども研究に力を入れる。急速な進歩はいずれ人類にこれまでにない計算パワーをもたらす。AIの活用や金融市場のリスク予測などを通じ、社会にディスラプション(創造的破壊)を起こす可能性を秘める。
グーグルが「量子超越」を達成したもようだ――。英フィナンシャル・タイムズは9月、こう報じた。日本経済新聞が入手した資料によると、最先端のスパコンでおよそ1万年かかる計算問題を、同社の量子コンピューターが320秒で解いたという。

量子超越は、従来のコンピューターでは困難な計算問題を量子コンピューターが解く性能を指す。理論上はスパコンを上回るとされた計算性能を、グーグルは世界で初めて実証したとみられる。同社は「コメントできない」としているが、事実なら「教科書に載るレベル。歴史に残る成果」(科学技術振興機構の嶋田義皓フェロー)だ。近く正式発表するもようだ。

量子コンピューターは「量子力学」という物理法則に従って動く。従来のコンピューターは「0」か「1」で情報を表すが、量子力学の世界は「0であり、かつ1でもある」という特殊な状態が起こりえる。
この仕組みを利用した「量子ビット」と呼ぶ計算単位を使うことで、膨大な情報もまとめて処理できる。計算の回数が大幅に減り、時間が劇的に短くなる。グーグルは今回、53個の量子ビットを実現し、乱数をつくる計算でスパコン超えの性能を実証したようだ。

グーグルなどが量子コンピューターの研究に乗り出したのは、半導体の微細加工による従来のコンピューターの性能向上に限界が見え始めたためだ。AIなどの登場を受け、膨大なデータを扱えるコンピューターが求められている。
50100量子ビットに到達し、開発は「NISQ」と呼ぶ中規模の量子コンピューターに移りつつある。まだ幅広い計算に使えるわけではないが、経済や産業、社会を変えると期待が膨らむ。

計算能力が足りないために、解決しない難題は多い。例えば都市部の渋滞解消。現在は無数の車がそれぞれの都合で走り、渋滞を招く。1台ずつが進む道を短時間に計算するのは困難だ。量子コンピューターを使い、車ごとに「渋滞を起こさない最適ルート」を指示できれば解消に役立つ。
AIによる画像や言語などの処理も短時間、省エネになる。計算力を生かし、個人の体質に合わせて薬を作り分けるような新たな医療の誕生も後押しできる。

量子コンピューターの「使い道」の開拓に力を入れるのがIBMだ。16年に量子コンピューターを外部の利用者にクラウド経由で公開した。世界で15万人を超す登録利用者のほか独ダイムラーや米JPモルガン・チェースなど80近い企業などと研究を進める。
日本では慶応義塾大学に連携拠点があり、銀行や化学大手が参加する。画期的な薬や材料の開発、金融市場のリスク予測などの研究が熱を帯びる。

ただし、量子コンピューターがもたらすのは「光」だけではない。革新的技術は時に脅威となる。ささやかれるのが、ネット社会が根底から揺らぐリスクだ。
現在は通信の際にパスワードなどの情報を暗号化している。最新のスパコンでも解読に時間がかかることから「安全」とみなす。量子コンピューターはこの暗号を破る恐れがある。新しい暗号技術の検討も進む。

IBMのメインフレーム(汎用機)の発売は1964年。従来のコンピューターもその前に20年ほどの黎明(れいめい)期があった。日本IBMの森本典繁執行役員は「量子コンピューターもそういうフェーズにある」と指摘する。
コンピューターの歴史で、およそ70年ぶりに起き始めた革新の動き。本格的な量子コンピューターの実用化には課題が多いが、米インテルや中国のアリババ集団なども開発に参入し、今後もブレークスルーが生まれる見通しだ。
(生川暁、張耀宇)2019/10/18 18:00日本経済新聞 電子版

2019年10月10日木曜日

2019年ノーベル化学賞吉野彰ら


2019年のノーベル化学賞、リチウムイオン電池開発の吉野彰ら3人に

(以下日経産業新聞に2011621日~726日に連載された「仕事人秘録」を再構成)
電池が変える未来 旭化成名誉フェロー・吉野彰氏
*京都大学で量子有機化学を専攻し大学院に進んだ。研究内容は紫外線の照射反応などを調べる光化学で、光触媒のような材料の開発に役立てられるものだった。1960年に「サランラップ」を発売、70年代から住宅事業「へーベルハウス」を展開し、業容を拡大中だった旭化成に72年に就職する。歴史のある企業でありながら野武士的な雰囲気が気に入ったのだと思う。
同期は350人ほど。私はその中でも数名しかいない大学院卒の研究開発職だった。20代だったころの研究は失敗の連続だったが、そのつど将来に生かせる経験を身に付けることができた。そうしたなか、81年にチャンスが巡ってくる。

2000年にノーベル化学賞を受賞した白川英樹・筑波大学名誉教授が80年代に発見した電気を通すプラスチック、ポリアセチレンを応用し、素材を開発する研究が始まったのだ。私は33歳。研究部門の係長になっていた。「やっと当たりくじをひけた」と直感した。
ポリアセチレンの性質を分析したところ、最も有望と感じたのは電池としての用途だった。充電することで繰り返し使用できる「2次電池」の材料に向いているのではないかと思った。80年代に入りビデオカメラなど電子機器の「ポータブル化」が新製品のキーワードになり始めていた。今と比べたらまだ大きくて不便な製品が多かったが、高電圧を発生できる電池があれば製品をもっと小型化できる。新素材を活用する好機だと思った。

高電圧を実現するには、水を電解液に使う乾電池や鉛電池だと限界がある。水の代わりに有機溶媒を使う非水系電池にする必要がある。81年当時、非水系で既に存在していたのは金属リチウム電池。ただし弱点があった。金属リチウムは1次電池、つまり「使い捨て」なのだ。金属リチウムは敏感に化学反応する。充電を繰り返す2次電池に使う場合、発火事故のリスクが大きい。私は金属リチウムの代わりにポリアセチレンを電極に使いたいと考えた。研究を進めるうちに、無水状態に置くと極めて安定する物質であることに気付いた。金属リチウムで問題になった安全性という大きな課題をクリアできる予感が高まってきた。

電池の構造を極めて単純化して説明すると、内部に負・正2つの電極があり、負極から正極へ電子を渡す。この時、逆の向きに電流が起きる。電池の性能のカギを握るのは負極。そこにポリアセチレンを使うという発想で研究を始めた。ポリアセチレンの製造工程や電解液純度を改良し、材料の性能も当初より格段に上がってきた。だが、喜ぶのはまだ早かった。いざ電池の試作となれば、正極が必要になる。ところが、ポリアセチレンの相方として使える電極材料がみつからないのだ。

研究を始めて1年たった8212月。このまま年を越すのかと気分が重かった年末のある日、午前中に職場の大掃除があり、午後はやることがなくなった。取り寄せたまま手つかずだった海外の研究文献を何となく読み始めたら、思いがけない論文と出会った。
当時、英国のオックスフォード大学で研究していた米国のジョン・グッドイナフ教授が、80年に発表した論文で「コバルト酸リチウム」というリチウムイオン含有金属酸化物が2次電池の正極になると書かれている。しかも従来の材料より高い電圧をつくれるという。続いて「組み合わせるべき適切な負極がない」と記されていた。
ひょっとしたら私が負極にしたいポリアセチレンと組み合わせられるのでないか。831月、論文に書かれていた通りのコバルト酸リチウムを実際に作ってみた。ポリアセチレンと組み合わせ電池を試作する。充電できた。放電もうまくいく。旭化成に入社して10年。待ちに待った研究の大成功だった。

こうして生まれたリチウムイオン電池だが、あくまで「原型」だった。研究を進めるうちに負極のポリアセチレンの欠点が明らかになる。ポリアセチレンは高温状態で保存する際に劣化しやすかった。おまけに比重が小さい。つまり、軽くてかさばるのだ。電池の軽量化だけが目的なら問題ない。だが、小型化を実現するには比重の小ささは致命的だった。
待ち望んだ正極にコバルト酸リチウムが見つかって喜んでいたが、今度は負極の材料探しをやり直さなければならなくなった。ポリアセチレンと同じ特徴を持つ分子構造の化合物としてカーボン(炭素材料)が思いあたる。電気を通す性質があり期待したが、当時入手できたカーボンはどれも使い物にならない。

新しい材料は社内から現れる。繊維メーカーの歴史が長い旭化成は84年、宮崎県延岡市の研究所で当時注目され始めていた炭素繊維を研究していた。ガスを気体のまま炭化させて、基板上に炭素繊維を成長させる。こうすると繊維直径が0.1ミクロンという極めて細い炭素繊維ができるのだった。
製造方法の特徴から「気相成長法炭素繊維(VGCF)」と名付けられたこの素材は、負極としてずばぬけて高い性能を示した。85年、VGCFの負極にコバルト酸リチウムの正極を組み合わせた電池を試作。充電することに成功した。研究開始から4年。やっと現在使われているものとほぼ同じ構造のリチウムイオン電池が誕生した。

90年代は携帯電話や小型ビデオカメラが出回り始めたころ。消費者向け製品を製造する大手電機が先鞭(せんべん)をつける形でリチウムイオン電池の生産が始まった。旭化成はメーカーが使う材料作りを強みとしてきた企業。エレクトロニクス関連で最終製品を製造した経験が少なかった。販売ルートもない。そこでパートナーとなる有力企業を探した。
92年、東芝と折半出資でリチウムイオン電池開発・製造のエイ・ティーバッテリー(ATB)を設立。ソニーや他の新規参入企業との間で電池の小型・軽量化を競い合うことになった。事業は思い描いていたとおりに進まなかった。旭化成は8年後の2000年に、電池材料の開発・製造に専念するため東芝にATBの全株式を引き取ってもらった。東芝も04年にリチウムイオン電池から撤退。ATBの生産設備は三洋電機が買い取った。

旭化成がATBの経営から手を引いたのはちょうどITバブルのピーク。やがてバブルがはじけ、019月の米同時多発テロを機に世界経済が減速する。リチウムイオン電池の市場も一時的に冷え込んだ。だが、電子機器の小型化・高性能化の流れは変わらず、高性能電池の需要の見通しは明るかった。
ATBを通じてリチウムイオン電池の生産を続けている間も、旭化成では材料の開発・改良を絶えず進めていた。その中で順調に伸び始めていたのが中核部品の一つであるセパレーター(絶縁材)だった。やがてこの部品が旭化成の収益拡大に貢献するようになる。

合成樹脂の膜であるセパレーターは電池内部で正極と負極を遮断するが、完全に遮断してしまうとリチウムイオンが電極間を移動できない。電池を機能させるには、非常に微細な穴を開けておかなければならない。加工が難しいが、旭化成には技術の蓄積があった。
80年代、大量の純水を使う半導体工場などで水をろ過する特殊な膜の開発を進めていた。技術を応用し、高密度ポリオレフィン微多孔膜製品「ハイポア」を開発。80年代後半から1次電池に採用されていた。90年代にはリチウムイオン2次電池用のハイポアを発売。電極間のリチウムイオン透過効率が高く、多くのメーカーが採用した。
旭化成は2000年、電池生産から撤退する一方でハイポアの生産設備を増強した。セパレーター市場で旭化成は現在まで世界シェア首位を維持する。エネルギーの変革とEVは電池の巨大な市場を生む。勝ち続けていくにはどうしたらよいか。これからも挑戦を続けるつもりだ。 2019/10/10 2:00日本経済新聞 電子版

2019年10月5日土曜日

115億光年先、銀河の源か…形成過程の解明へ成果


115億光年先、銀河の源か…形成過程の解明へ成果
*115億光年先の宇宙で見つかった、網状のガスの広がり(青色で示されている部分)=理化学研究所提供

 115億光年先の宇宙で、複数の銀河やブラックホールの源になったとみられる網状のガスの広がりを見つけたと、理化学研究所や国立天文台などの国際チームが4日、米科学誌サイエンスで発表した。銀河などの形成の過程を解明することにつながる成果だという。

 銀河やブラックホールは、水素などのガスが供給されることで成長する。理論からは、広範囲にガスの供給源となる網のような構造があると考えられていたが、網状のガスが発する光は弱く、見つかっていなかった。 
 チームは、米ハワイ州にあるすばる望遠鏡や、チリにある欧州南天天文台の望遠鏡などを使った観測結果から、みずがめ座の方角に、縦450万光年、横300万光年の領域で網状に広がる水素ガスを確認。この広がりに沿うように、銀河やブラックホール計18個が形成されていた。

 チームの梅畑豪紀ひでき・理研基礎科学特別研究員(銀河形成)は「観測したものは、銀河などにガスを供給する大きなネットワークと言える。あるはずのものがようやく見つかった」と話す。2019/10/05 10:29 読売

2019年10月1日火曜日

心臓が量産品に変わる日 3Dプリンターで臓器


心臓が量産品に変わる日 3Dプリンターで臓器
医ノベーション(1
    
自らの肉体を自在につくる技術を人類がひとたび手にしたら、どんな未来が待っているのだろうか。そんな想像を膨らませ、取材は始まった。
羽田空港の駐機場を望む川崎市の研究開発拠点。リコーの研究室で、両手で持てそうな小型プリンターがせわしなく動く。左右に走るヘッド部分から、ぽたぽたとしずくが落ちる。漏れ出たインクではない。1滴ずつが神経細胞を含む液体だ。
ヘッドが小刻みに行き来し、絵や文字を印刷する代わりに神経細胞を丁寧に敷き詰める。12時間で最大20層ほど積み重なり、約1センチメートル角のサイコロ形をした塊になる。

*バイオ3Dプリンターで作製した細胞の3次元積層体(川崎市川崎区のリコー川崎ライフイノベーションセンター)

神経細胞は、再生医療の切り札とされるiPS細胞から育てた。この3Dプリンターの技術を使えば、細胞の塊を様々な形に変えたり、異なる細胞を混ぜ合わせたりできる。将来は大脳皮質の一部をつくり、病気やケガで傷んだ脳の治療に役立てる。事務機器のインクジェットプリンターを担当した開発員も加わり、研究は熱を帯びている。

1万人の患者が移植を待つ
リコーは、必ずしも完全な臓器をつくろうとはしていない。「患者が必要としている機能を提供する」(バイオメディカル研究室の細谷俊彦室長)方針だ。
だが「交換可能な臓器」の開発が焦点になっているのは明らかだ。2019年春、イスラエルのテルアビブ大学が3Dプリンターでヒトの細胞を積み上げ、血管まで備えたミニ心臓をつくったとのニュースが伝わった。佐賀大学も、ヒトの細胞から血管を組み立て、人への移植を目指している。本物そっくりの臓器をいかに実現するかは大きな課題だ。3Dプリンターの活用は有力な手立てで、すでに先陣争いが始まっている。

3Dプリンターはまず、ものづくりの現場で脚光を浴びた。
樹脂などを熱や光で加工し、いとも簡単に立体部品に仕立てる。臓器すらもつくれる時代が間近に迫り、遠くない未来に臓器は「量産品」に変わる。衰えたり傷んだりした臓器は、スペア(予備)の臓器と取り換え、命あるかぎり補える。そうなれば、私たちの肉体は朽ちるだけのものではなくなる。

フランス生まれの外科医アレクシス・カレルが血管をつなぎ合わせる技術を究め、臓器移植への道を開いてノーベル生理学・医学賞を受賞したのが1912年。60年代から始まったとされる移植医療は、深刻な臓器不足に直面する。腎不全患者などが望む腎臓移植は、国内では年間1500件前後。約8割が健康な人からの提供で、1万人以上の患者が移植を待つ。量産臓器が既存の移植医療を一変させるのは確かだ。

ディスラプション(創造的破壊)のインパクトはそれだけにとどまらない。研究者の一人はいう。「私は歯を器具(インプラント)に置き換えたが、臓器だって同じ。どこか壊れたら取り換えるだけだ。おかしなことではない」。国内外で、肝臓や心臓など内臓の8割以上が臓器再生の研究対象になっている。最先端技術は、肉体をどこまでも入れ替えるだけの潜在力を秘めている。

*人類は幾多の技術進歩を目の当たりにしてきた。
いつの時代も、生まれ落ちた本来の体を取り戻すことが医療の最大の使命だった。今の臓器移植も自らの体の一部を補うだけだ。ところが、これからは自分の肉体が新たな肉体に次々と置き換わる。自分の肉体の大半が新しい臓器で満たされたら、私自身でありえるのか。生まれながらの私ではないのだから、私と名乗ってはいけないのだろうか。人類史上、ほとんど意識したことのなかった問いにさいなまれる。
新たな肉体が私でないとしたら、私が私でなくなる日は近づいている。東京大学の中内啓光特任教授は「今から30年もすると、長生きしている人の多くは新たな技術で体を補い、生まれた時のままの体でいる人は少数派になっているだろう」とみる。そして、量産した臓器は、治療の選択肢として珍しくはなくなる。

どこまで「自分」でいられるか
中内特任教授は、驚くような方法で自然な臓器をつくろうとしている。ブタの受精卵にヒトのiPS細胞を仕込み、本来はブタの胎児が持つ膵臓(すいぞう)や腎臓をヒトのものに置き換える計画を温める。生まれたブタからヒトの臓器を取り出し、移植を待ちわびる患者を救うのだという。19年秋からはマウスの受精卵にヒトのiPS細胞を入れ、きちんと育つかどうかを調べる実験に取りかかった。私が少しでも私であり続けるため、本人のiPS細胞でできた臓器の作製が最終目標だ。

*リコーの細谷俊彦バイオメディカル研究室長は「患者が必要としている機能を提供する」と語る

あなたはどこまであなたでいられるのだろうか。哲学に詳しい京都大学の沢井努特定助教は、臓器移植が思うがままにできるようになったとき「外から取り込んだ組織が一定割合を超えたころから、自然(な自分)かそうじゃないかの議論が起こりうるのではないか」と推測する。ただ「心臓の働きを補うペースメーカーを埋め込むと、機械であるにもかかわらず自分の肉体の一部のように愛着をもつ人もいる」とし、臓器を交換しながらも私は私のままと感じる人はいると考えている。東大の中内特任教授の答えはこうだ。「体の大部分が他人から提供された臓器や機械に取り換えられても、脳が置き換えられない限り『自己』の意識は存在する」

防衛医科大学のチームは最近、血小板や赤血球の働きをする人工血液を開発した。大量出血で死にそうな10匹のウサギに「輸血」したところ、6匹の命が永らえたという。人工なので血液型とは無縁だ。研究成果が公になると「血液型占いはどうなっちゃうの?」「輸血したら自分じゃなくなっちゃう?」と多くの反響を呼んだ。
技術の進歩によって現代人が自問自答しなければならないテーマがまた1つ増えた。

可能性と倫理のはざまで
創造的破壊の陰には、端緒となる大発見や研究成果がある。人類が肉体を補い続ける新たな手段を獲得し、さらに高みに上らんとできるのは、あらゆる細胞に育つiPS細胞が登場したからだ。
iPS細胞は、京都大学の山中伸弥教授が2007年にヒトの細胞での作製に成功し、12年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。
全国約1800人を対象とした内閣府の調査(17年)では、iPS細胞など再生医療に関するイノベーションによって病気やケガなどの治療技術が進歩すると考える人が9割を超えた。14年には、日本の理化学研究所などが目の難病「加齢黄斑変性」の患者にiPS細胞から育てた細胞を初めて移植した。一般の人々の目に映る医療の姿は、iPS細胞の誕生前後でがらりと変わった。

*異次元のイノベーションは破壊や急速な変化を伴うだけに、それまでの時代とのあつれきは避けられない。
人の臓器を「量産」する試みには、期待や畏怖の念などさまざまな反応が寄せられる。東京大学の中内啓光特任教授の研究は今でこそ国も認めるが、10年に構想を発表したときは世界で議論が巻き起こった。京都大学iPS細胞研究所上広倫理研究部門の藤田みさお特定教授は「動物を使ってヒトの臓器の作製を目指す研究は新しく、議論すべき対象になっている」と指摘する。

地殻変動を引き起こしたiPS細胞の「生みの親」である山中教授はどんな思いなのだろうか。山中教授が監修した書籍「科学知と人文知の接点」(弘文堂)に、複雑な心境が垣間見える。ヒトのiPS細胞をつくった後の苦悩を明かし、「大きな倫理的課題を生み出したことに気づき茫然(ぼうぜん)としたことを覚えている。(中略)どのような研究にも、光と影がある。うまく使えば人類の福音となるが、使い方を誤ると人類の脅威となる」と吐露した。イノベーションは、その後の新しい時代を生きる人類に相応の責任と覚悟を迫っている。
(文 猪俣里美、加藤宏志 写真 伊藤航)  日経 Disruption 2019101 11:00

2019年8月5日月曜日

仏発明家、空飛ぶ「フライボード」で英仏海峡を横断


仏発明家、空飛ぶ「フライボード」で英仏海峡を横断
英仏海峡を飛んで横断
(CNN) フランスの発明家、フランキー・ザパタ氏(40)は4日、ジェットエンジンで空中を移動できる「フライボード」を使った英仏海峡の横断に初めて成功した。
ザパタ氏は4日午前、フランス北部のサンガットから離陸し、英イングランド・ドーバー近くのセントマーガレット湾に着陸した。ロイター通信によれば、移動にかかった時間は20分あまりだった。

ザパタ氏はCNN系列局BFMTVの取材に対し、「素晴らしい場所に着陸する機会が得られた。美しかった」と振り返った。最初に家族のことが頭に浮かんだとし、とんでもないプロジェクトに取り組む自分を常にサポートしてくれた妻に感謝すると付け加えた。
ザパタ氏は7月にも英仏海峡横断に挑戦していたが失敗していた。このときは、給油のために中間地点に用意していた船上のプラットホームに着陸できず海中に落ちていた。ザパタ氏によれば、フライボードの修理のために1日あたり15時間から16時間を費やしたという。

*ザパタ氏は仏北部を出発し、英ドーバー近くに着陸した/GLYN KIRK/AFP/AFP/Getty Images
英仏海峡横断後の取材で次の挑戦について聞かれたザパタ氏は、空飛ぶ車に取り組んでいると明らかにした。ただ、今は「疲れた」ので、「休暇がほしい」とも語った。
英仏海峡はこれまでも、さまざまな革新的な方法によって横断されていた。
1909年7月25日には、フランスの飛行士ルイ・ブレリオが単葉機で初の飛行機による横断を成功させた。
1875年には英国の船長マシュー・ウェッブが初めて泳いで海峡を渡った。かかった時間は21時間45分だったという。2019.08.05 Mon posted at 12:15 JST

2019年6月29日土曜日

月面着陸から50年、月に残る最も心を打つ記念品は


月面着陸から50年、月に残る最も心を打つ記念品は
持ち帰ったのは382キロの「月の石」


記憶が蘇ってきます。テレビの生中継は、研究室セミナーの時間帯と重なった。我々“悪童“はセミナーをボイコットしTVにかじりついていた。結局話の分かる教授の計らいで、人類の月面一歩の踏み出しを皆で確認するすることができたのでした。鮮明に蘇ってきます。


*月面で採取された玄武岩。「15016」の試料番号が付けられ、窒素ガスを充塡したステンレス容器の中で保管されている。NASA JOHNSON SPACE CENTER

 いまからちょうど50年前、1969年の7月に史上初めて人類が月面を歩いた。ライト兄弟の初飛行からわずか66年後に実現したアポロ11号の成功は、人類の勇気と創造性を遺憾なく示すものだった。現在、月に再び目が向けられている。今後はいかに科学的挑戦を経済活動につなげるかが課題になるだろう。

 人類で初めて宇宙を旅したのは、軍人たちだ。だが初期の宇宙飛行に携わったのは男性だけでも、人類だけでもなかった。ショウジョウバエやサル、イヌ、ウサギ、ネズミなどが、人類に先立って宇宙を飛んでいた。
 19614月に宇宙飛行士のユーリ・ガガーリンが人類初の宇宙飛行を行う3年以上も前、ソ連がイヌを打ち上げたことはよく知られている。そのイヌは初めて地球を周回した動物となったが、飛行中に命を落とした。

 女性も先駆者の列に加わった。そのなかには、数学者のキャサリン・ジョンソンのように舞台裏を支えた人もいる。1962年にジョン・グレンが地球を周回できたのは、彼女が飛行軌道を細かく手計算したからだ。ロシア人のワレンチナ・テレシコワは、1963年に女性として初めて軌道上を周回。米国人女性として初めてサリー・ライドが宇宙に到達したのは、その20年後のことだった。

人類が月に残してきたもの
 米航空宇宙局(NASA)は月面着陸という格好の機会を最大限に生かしたいと、着陸地点を選んだ。1969年から72年にかけて、アポロは月面の6地点に着陸。これらの地点はそれぞれ異なる科学的な目標に沿って選ばれたものだったが、いずれも月の表側だったアポロの乗組員たちは4年間に重さ382キロほどの月の石を持ち帰った。

*しかし、最も意味深い記念品は、宇宙から撮影された地球の姿だろう。アポロ8号に搭乗したウィリアム・アンダースは、1968年のクリスマスイブに象徴的な写真を撮った。それはクレーターだらけの月の地平線の向こうで、青い地球が暗闇にぽっかりと浮かぶ光景「地球の出」だ。

 飛行士たちはさまざまな品を宇宙へ持っていってもいる。ジェミニ3号のジョン・ヤングがコンビーフ・サンドイッチをこっそり機内に持ち込んで、同乗者のガス・グリソムと分け合ったことは有名だ。
 アポロ11号のバズ・オルドリンはワインとパンと聖杯を持っていき、月面で聖餐式を行った。アポロ14号のアラン・シェパードは6番アイアンのヘッドを持参し、サンプル採取用の道具に取り付けて月面でゴルフボールを打った。そして、アポロ16号のチャールズ・デュークは家族の写真を着陸地点に置いてきた。
 月面に残る最も心を打つ記念品は、アポロ15号のデビッド・スコットが残した小さなアルミニウム製の人形かもしれない。宇宙開発において命を落とした米ソの14人の飛行士を追悼するもので、すぐそばに名前を記したプレートも置かれている。2019.06.28 ナショジオ

2019年6月20日木曜日

ナスカ地上絵、鳥はペリカンとハチドリの仲間


ナスカ地上絵、鳥はペリカンとハチドリの仲間…北大准教授ら特定
*南米ペルーの世界文化遺産「ナスカの地上絵」に描かれた3点の鳥が、ペリカンとハチドリの仲間だと、鳥類形態学による分析で分かった。北海道大の江田真毅准教授(動物考古学)らの研究チームが論文にまとめ、国際的な考古学術誌「ジャーナル・オブ・アルケオロジカル・サイエンス・リポーツ」電子版に20日掲載された。
 地上絵は、ペルー南部の海岸から内陸約50キロ・メートルの砂漠台地にあり、直線や図形を中心に約2000点が確認されている。このうち鳥類は16点あり、江田准教授らが嘴(くちばし)や冠羽、趾(あしゆび)、尾羽などを基に分析した。
 これまで、地元でグアノの鳥(カツオドリ類やウ類など)とされていた地上絵は嘴や突き出た胸から、単に鳥類とされていた絵は冠羽と嘴などから、いずれもカッショクペリカンの仲間であり、ハチドリとされていた絵は長い尾羽や嘴などからユミハシハチドリの仲間と、それぞれ同定した。

 鳥の絵はこれまで考古学と鳥類形態学の隙間にあって誰も同定していなかった。ペリカンもハチドリも砂漠にはいない鳥で、なぜ描かれたのかという謎は依然残る。江田准教授は「鳥の種類が同定されたことで描いた目的を探る手がかりの一つになると思う。周辺遺跡から発掘された鳥の骨も詳しく調べ、謎の解明を進められれば」と話した。
620日(木)1737分 読売新聞

2019年6月18日火曜日

合体する銀河…「最遠」


合体する銀河…「最遠」の131億光年先 電波望遠鏡キャッチ
*地球から131億光年先で合体する二つの銀河の想像図(国立天文台提供)
 地球から131億光年離れた宇宙で2つの銀河が合体している証拠をとらえたと、国立天文台などの研究チームが17日、発表した。宇宙の果てから飛んでくる電波を観測するアルマ望遠鏡(チリ)を用いた成果で、観測された銀河の合体としては最も遠い。

 観測した天体は、ろくぶんぎ座の方向にある「B14-65666」。この天体にある酸素や炭素、小さな粒子(ちり)が放出した電波をキャッチ。天体にある2つの銀河は地球からの距離がほぼ同じと分かった。私たちが住む天の川銀河よりずっと小さいが、約100倍も盛んに星を生んでいることも判明した。
 銀河が衝突、合体すると活発に星が生まれることが知られており、この天体では、隣り合う2つの銀河が合体しつつあるとみられるという。2019.6.18 00:00 産経

2019年6月14日金曜日

月の裏側の地下に謎の超巨大物体が


月の裏側の地下に謎の超巨大物体が、研究
地下300km超に高密度の塊、「とにかく謎だらけ」と研究者

NASAのルナー・リコネサンス・オービターが撮影した月の画像。月の裏側が無数のくぼみで覆われているのがわかる。中央の青い部分は、南極エイトケン盆地。直径約2500キロで、太陽系で知られている限り最古かつ最大の衝突クレーターだ。(PHOTOGRAPH BY NASA/GODDARD
 月の裏側の地下に、何やら巨大な物体が潜んでいるらしい。質量がハワイ島の5倍もある金属の塊のようだという。
 学術誌「Geophysical Research Letters」に最近発表された論文によると、その物体は南極エイトケン盆地の地下300キロよりも深い場所にある。南極エイトケン盆地は、数十億年前、月の表面がまだ高温の溶岩に覆われていたときに、隕石が衝突してできた巨大クレーターだ。月面が完全に冷え固まる少し前に形成されたため、今も痕跡が残っている。

 調査チームは、NASAの月探査機グレイルのデータとルナー・リコネサンス・オービターによる地形図を組み合わせ、クレーターの地殻の厚さとマントルの密度をより詳しく計算した。
 こうして発見された物体は、クレーターの形成と何らかの関りがあるとみられている。論文の筆頭著者で米ベイラー大学のピーター・ジェームズ氏は、古代に衝突した隕石が持っていた金属核の名残ではないかと推測する。物体は直接は見えないが、その影響なのか、クレーターの表面にはほぼ卵型の奇妙なくぼみが確認できる(次ページの写真)。くぼみの底は、周囲よりもさらに800メートル以上も深い。

 NASAゴダード宇宙飛行センターの月地質学者ダニエル・モリアーティ氏は、「大変重要な研究結果です。月の内部で何が起こっているのかを知る手がかりになるでしょう」と話す。
 南極エイトケン・クレーターは、その表面の組成や大きさから、これまでも多くの関心を集めてきた。
 ジェームス氏によると、「今も残るクレーターとしては太陽系で最大」だそうだ。そのうえ、地下に謎の物体が潜んでいるとなると、ますます興味をそそられる。特に、このクレーターとその縁にある南極点は、今後予定されているいくつもの月ミッションで探査機の着陸候補地に挙げられていることもあって、関心は高い。

 この物体を早く研究したくてたまらないという科学者は多い。クレーターを作った巨大隕石の衝突についてだけでなく、月や他の天体がどのように成長するのかを理解する助けにもなるかもしれない。
「私は隕石の衝突モデルを研究しているので、この結果にはとてもわくわくしています」と、米ブラウン大学の惑星科学者ブランドン・ジョンソン氏は言う。「できるなら、私も早く研究を始めたいです」。なお氏は今回の研究に関わっていない。

*月の裏側の地形を示した着色画像。高い部分は明るい色、低い部分は暗い色に塗られている。点線で囲まれた部分が、南極エイトケン盆地の地下に巨大な物質があるとされるところだ。(IMAGE BY NASA/GODDARD SPACE FLIGHT CENTER/UNIVERSITY OF ARIZONA

「マスコン」が見られない
 2011年に打ち上げられた2機のグレイル探査機「エブ」と「フロー」は、1年近く月を周回し、月の重力場の違いを克明に記録した。このデータを使って、これまでで最も解像度の高い重力場地図が作られた。
 この地図は、月面の表面と地下で何が起こっているのかを大まかに示している。高い地形や密度の濃い岩石など、質量の多い場所では重力が強くなる。すると、南極エイトケン盆地には月の他の巨大クレーターとは異なる点があることが明らかになった。

 月の巨大クレーターには、重力が異常に集中しているマスコン(mass concentration)と呼ばれる場所がある。1968年にNASAのジェット推進研究所の科学者らによって発見されたマスコンは、重力地図上にダーツの的のような円形になって現れる。円の中心は重力が強く、それを取り巻く輪の部分は重力が弱い。さらにその外側の輪は、重力が再び強くなっている。隕石が衝突した後、低密度の地殻と高密度のマントルが混じり合うため、このような模様になる。
 ところが、南極エイトケン盆地にはマスコンが見られない。そこで、地下がどうなっているのかを調べようと、重力の働きをより正確に想定したモデルを作成したところ、月の上部マントルに高密度の巨大な物体が居座っていることを突き止めた。

由来は隕石?マグマオーシャン?
 研究チームは、物体の正体に関してふたつの仮説を挙げている。第一は、月がまだマグマの海に覆われていたその昔に、冷却の最終段階で形成された密度の高い酸化物の名残ではないかというもの。だが、それがどうやって、しかも盆地の下に形成されるのか、正確なメカニズムについてはわかっていない。

「なぜ他の場所ではなく、ここにあるのでしょうか」と、ジェームス氏は問う。
 一方、はるか昔に起きた隕石衝突の名残だという説もある。これだけの大きさの盆地をえぐり取った隕石は、相当な大きさだったに違いない。ということは、他の多くの惑星と同様、その内部には硬い金属の核とそれを覆う岩石質の層があっただろう。
 それが月に衝突したとき、衝撃で月面が深くえぐられてお椀形のクレーターが形成され、隕石の金属核が地面深くに潜り込んだ。やがてその上を溶岩が覆い、核は地下に閉じ込められたが、次第に溶けて、今は痕跡がわずかに残っているだけなのではないだろうか。(参考記事:「月面の磁気異常、原因は小惑星衝突?」)
「私ならこちらの説の方に賭けますね」と、ジェームス氏。
 ジョンソン氏も2番目の説に同意して、「確かに、何かがあると確信させる論文です」と話した。「これを読んでいる間中、この研究結果を検証する別の方法や、物体ができた原因を探ろうかとあれこれ考えていました」

ますます興味をそそる研究対象に
 今回の論文ではほかにも、盆地の内縁の境界線が引き直され、クレーターの大きさがこれまで考えられていたよりも約65キロ大きいことが示された。これも、ここを探査機の着陸地点の候補にしているNASAや他の宇宙機関には重要な情報だ。過去のデータを使った地図では、盆地の南に空白部分があった。しかし、今回はより完全なルナー・リコネサンス・オービターとグレイルのデータを使っている。

 全体として、この調査で南極エイトケン盆地への好奇心はますます深まった。
 カナダにあるウェスタン大学惑星科学探査センターのサラ・マズルーイ氏は、研究には参加していないが、「とにかく謎だらけです」とコメントした。この物体の正体が少しでもわかれば、太陽系の他の天体形成についても理解が深まるかもしれないと、期待がかかる。

「太陽系の惑星はどれも、小さな物体が衝突しあって大きくなりました」と、モリアーティ氏。
 地球上では、プレート運動によって地表が常に循環しているため、古い地表はとうの昔に消え去り、地球誕生初期の隕石衝突の記録も残っていない。だが、月には数十億年前の地表が今も残り、南極エイトケン盆地が生まれた経緯も含め、太陽系誕生の頃何が起こっていたかを探るうえで貴重な情報をもたらしてくれる。
 南極エイトケン盆地に関しては、「まだその形成過程がほとんどわかっていません。現在研究はされていますが、とてつもなく広い分野です」と、モリアーティ氏は語った。2019.06.13 ナショジオ

2019年5月14日火曜日

縄文人DNAは10%


縄文人DNAは10% 初の全ゲノム解読
 現代の日本人は祖先の縄文人が持っていたDNAの約10%を受け継いでいるとする研究結果を、国立科学博物館のチームが13日発表した。縄文人のゲノム(全遺伝情報)はこれまで部分的に解析できていたが、初めて解読した全ゲノムに基づいて分析した。

 日本列島には朝鮮半島から3千年前に弥生人が渡来し、縄文人と混血したとみられている。現代人が受け継いだ「縄文人ゲノム」の割合は、北海道に住むアイヌ民族と沖縄に住む人で高かった。チームは「日本人の複雑な起源を知る手掛かりになりそうだ」としている。(共同)2019513 2022分 東京

2019年5月4日土曜日

民間ロケット打ち上げ成功


民間ロケット、3度目で打ち上げ成功…大歓声

 宇宙新興企業・インターステラテクノロジズ(北海道大樹町)が4日、同町の実験場から小型ロケット「MOMOモモ3号機」を打ち上げた。ロケットは目標としていた高度100キロ・メートルの宇宙空間に到達。民間企業が単独開発したロケットの宇宙到達は国内では初めて。

 機体は全長10メートル、重さ1・15トン。この日は午前5時45分に点火され、轟音ごうおんを響かせながら機体が空へと上がった。4分後に「宇宙空間到達」が司令所から伝えられると、打ち上げを見守った関係者から大きな歓声が上がった。
 
MOMOの打ち上げは、機体が強度不足で破損し高度20キロ・メートルで墜落した2017年の1号機、打ち上げ直後に墜落、爆発した18年の2号機と失敗が続いており、今回が3回目。当初予定していた4月30日以降、姿勢制御装置に噴射ガスを送る配管の弁に異常が見つかるトラブルや天候の影響から再三延期が繰り返されたが、ついに成功させた。読売

2019年5月2日木曜日

チベットでデニソワ人の化石発見


チベットでデニソワ人の化石発見、シベリア以外では初めて
*チベットにある洞窟で発見されたデニソワ人の下あごの化石/Dongju Zhang/Lanzhou University
(CNN) チベット高原にある洞窟で、16万年前のものとみられるデニソワ人の下あごの化石が見つかったとする論文が、英科学誌ネイチャーに発表された。デニソワ人はシベリアのデニソワ洞窟で2010年に化石が見つかった初期人類で、この洞窟以外で生存の証拠が見つかったのは初めて。

デニソワ人が生きていたのはネアンデルタール人と同時期。これまでの知見はデニソワ洞窟の化石から得たものに限られていたが、アジアやオーストラリア、メラネシアに住む一部人類のDNAには今でもデニソワ人の遺伝子が残っている。チベット民族やネパールの少数民族シェルパは遺伝子変異により高地の低酸素環境に適応しており、この変異はデニソワ人にさかのぼることが可能だ。

ただ、デニソワ洞窟の標高は700メートルほどで、こうした遺伝子変異が存在する理由については研究者も頭を悩ませていた。一方、今回の下あご化石が見つかったチベット高原の洞窟は標高約3280メートルとなっている。
化石内にDNAは保存されていなかったが、研究者はたんぱく質の抽出と分析に成功したほか、放射性同位体による年代測定も行った。
化石は1980年に僧侶が発見したもので、最終的には蘭州大学で分析にかけられた。
論文の筆頭著者を務めた同大の研究者は「中期更新世のチベット高原ではヒト族が生活しており、高地の低酸素環境での暮らしに適応していた。これはホモ・サピエンスが一帯に到達するはるか前のことだ」と説明した。2019.05.02 Thu posted at 17:15 JST

2019年5月1日水曜日

「イエティの巨大足跡」発見


ヒマラヤで「イエティの巨大足跡」発見、インド軍が写真投稿
(注)本日は令和元年5月1日です。4月1日ではありません!

*4月30日、インド軍はネパールの山岳地帯に遠征した軍部隊が雪上に巨大な足跡を発見し、ヒマラヤに住む伝説の雪男「イエティ」のものと考えられると発表した。インド軍が公開した足跡とされる写真(2019年 ロイター)

[ニューデリー 30日 ロイター] - インド軍は30日、ネパールの山岳地帯に遠征した軍部隊が雪上に巨大な足跡を発見し、ヒマラヤに住む伝説の雪男「イエティ」のものと考えられると発表した。

インド軍はツイッターに「インド軍の山岳遠征隊は初めて、神話上の野獣であるイエティによる謎めいた足跡を見つけた」と写真付きで投稿。それによると、足跡は縦81センチ、横38センチの大きさで、ヒマラヤ山脈のマカルー山に近いキャンプ周辺で今月9日に発見したという。

ただ、イエティに関する著書があり、この地域を探索した経験を持つダニエル・C・テイラー氏は、クマの足跡である可能性が高いと指摘した。
2017年には国際チームがヒマラヤ地帯で採取されたイエティのものとされるサンプルを調べたが、クマの一部という調査結果が出ていた。5/1() 5:27配信 ロイター

2019年4月25日木曜日

脳の信号から音声に変換するシステム

脳の信号から音声に変換するシステムが世界で初めて開発される
 脳の信号を理解可能な音声に直接変換するシステムが世界で初めて開発された。人工知能(AI)と音声合成技術を活用し、ヒトの脳の電気活動をもとに、他者が明快に聞き取れる言葉へと再構築するというもので、脳とコンピュータとを接続し、直接情報を授受し合う「ブレイン・コンピュータ・インターフェイス(BCI)」の進化に向けた目覚ましい成果として注目されている。

ヒトの脳の聴覚野から音声を再構築する技術
米コロンビア大学ザッカーマン研究所のニマ・メスガラニ博士らの研究チームは、2019年1月29日、オープンアクセスジャーナル「サイエンティフィック・リポーツ」で研究論文を発表し、ディープラーニング(深層学習)と音声合成技術を組み合わせたアルゴリズムによりヒトの脳の聴覚野から音声を再構築する技術について、その詳細を示した。

人間は、言葉を発したり、何か話すことをイメージする際、脳内で特徴的な活動パターンが現れ、他者の話を聞いたり、それをイメージするときにも、特有の信号パターンが現れることがわかっている。
そこで、研究チームでは、人間の会話音声データで学習し、音声を合成するコンピュータアルゴリズム「ボコーダー」を採用。てんかんの治療を受けている患者5名を対象に、言語音を聞いているときの脳での神経活動を測定し、この測定データを「ボコーダー」に与えて、人間の脳の活動を解釈できるよう学習させた。

さらに、これら5名の被験者に0から9までの数字を数える音声を聞かせ、その間の脳の信号を記録したデータを「ボコーダー」に与えたところ、信号パターンを分析し、独自の音声を合成することに成功した。人間が理解可能な音声に変換できる確率は75%で、これまで実施された同様の実験結果を大きく上回るものであった。

怪我などで失われた会話力を修復する可能性を持つ画期的なもの
この研究成果は、疾病や怪我によって失われた会話力を修復する可能性を持つ手段として画期的なものとして評価されている。たとえば、「コップ一杯の水が欲しい」と考えると、この思考によって生成された脳の信号をシステムがとらえ、言語音声に変換されるわけだ。メスガラニ博士は「この技術によって、疾病や怪我によって話す能力が失われても、これを修復し、周りの世界とつながる新たな機会をもたらすことができるだろう」と述べている。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)や脳卒中などによって話すことができなくなった人々にとって、外界とコミュニケーションする力を取り戻すための大きな一歩になるかもしれない。2019年2月8日(金)16時00分Newsweek

2019年4月11日木曜日

ブラックホール撮影


ブラックホール撮影 100年越しの「存在証明」
アインシュタインの一般相対性理論に基づいて存在が予言されてから約100年、ブラックホールの姿がついに捉えられた。太陽のような恒星が何千億個も集まった銀河がどのようにできたかなどの解明につながる。一般相対性理論を超える新たな理論の発展へ突破口を開く期待もある。
*国際チームの画像は、あらゆる物質や光がブラックホールに吸い込まれて出てこられなくなる境界線「事象の地平面(イベント・ホライズン)」を捉えた。境界線がつくりだす黒い影が映り、一般相対性理論で予言されたブラックホールの実在が証明された。
2015年に初観測された重力波はブラックホールの合体で発生したが、直接の映像はない。ブラックホールに詳しい大須賀健筑波大教授は今回の成果を「はじめての直接証拠と言っていい」と話す。

*撮影されたブラックホールはおとめ座の「M87」という銀河の中心にあり、太陽の65億倍もの巨大な質量を持つ。国際チームは太陽が含まれる天の川銀河(銀河系)の中心にある巨大ブラックホール「いて座Aスター」も観測し、データの解析を進めている。ブラックホール自体はM87より小さいが、距離は格段に近いため、より鮮明な画像が得られる可能性がある。
天の川銀河をはじめ、多くの銀河でも中心に同様の巨大ブラックホールが存在。巨大ブラックホールと銀河の形成の間に関係があることは間違いない、と考えられている。巨大ブラックホールとその周りで起きている現象を調べれば、どのように銀河が生まれ成長してきたかなどがわかると考えられ、研究者の期待は大きい。
さらにブラックホールの観測は、相対性理論をはじめ現在の物理学の限界を超える新たな理論への突破口にもなる。

重力を説明する一般相対性理論は、これまでいくつかの天体現象などから正しさが確かめられてきた。1919年の皆既日食で太陽の裏に隠れた星の光が重力で曲がり、見えないはずの星が観測できた例は有名だ。
しかしブラックホールの境界線に近い場所の重力は、太陽などに比べて桁外れに大きい。重力が極限まで強くなった特別な場所でも相対性理論が成り立つのか、それとも観測と理論にズレが生じるのか。これを確かめられれば、次世代の物理理論が進むべき方向を判断する足がかりになる。

将来的には電波望遠鏡やエックス線による観測技術の進歩でさらに詳細な観測ができると期待される。今回の映像はその記念すべき第一歩だ。(編集委員 小玉祥司)2019/4/10 22:09 日経

2019年3月30日土曜日

バンクシ-の絵


バンクシ-の絵が話題に 英議会そっくり?
イギリスのEU=ヨーロッパ連合からの離脱をめぐり混迷が続く中、覆面アーティスト「バンクシー」が10年前、チンパンジーを議員になぞらえて描いた作品が「今のイギリス議会そのものだ」と話題になっています。
*
「退化した議会」と名付けられたこの作品は、社会風刺画で知られる正体不明のアーティスト、バンクシーが2009年に制作し、28日、イギリス南西部ブリストルの美術館で展示が始まりました。

巨大なキャンバスに描かれているのは、イギリス議会そっくりの場所に集まったチンパンジーの姿です。議員になぞらえて描かれているチンパンジーたちは席から身を乗り出して激しく議論したり、やじを飛ばしたりしているほか、議長が見守る中、口をつぐんでいるチンパンジーもいます。
美術館が10年ぶりに作品を展示したところ、EU離脱をめぐり混迷を深めるイギリス議会そっくりだとして話題になっています。
作品を見た人は「10年も前の作品なのにEU離脱の議論が続く今の政治を予言して描いたかのようだ」と驚いた様子で話していました。
バンクシーはインスタグラムに作品の写真とともに「ブリストルの美術館は離脱の日を記念して、作品を再び展示することにした」というコメントを投稿し、当初、29日に予定されていたEUからの離脱に合わせたかのように作品が展示されたことを皮肉をもって伝えています。2019330 618 NHK

2019年3月20日水曜日

小惑星から岩石?噴き飛ぶ


小惑星から岩石?噴き飛ぶ NASA探査のベンヌ
*小惑星ベンヌ(左)の表面から噴き飛ぶかけら。NASAの探査機オシリス・レックスが1月に捉えた(NASA提供)
 米航空宇宙局(NASA)などのチームは19日、探査機オシリス・レックスで、小惑星ベンヌの表面から岩石とみられるかけらが噴き飛ぶ珍しい現象を観測したと発表した。多くのかけらはそのまま小惑星から遠ざかるが、一部は衛星のように上空を周回して落下し、表面に戻っていたという。

 日本の探査機はやぶさ2が観測中の小惑星りゅうぐうや、初代はやぶさが探査した小惑星イトカワではこうした現象は見つかっていない。チームの担当者は「科学者人生で最も驚いた発見で興奮している。仕組みを分析したい」としている。
 ベンヌはりゅうぐうとそっくりなそろばん玉形で、直径約500メートル。1月6日、探査機の上空からの観測でかけらが噴き飛ぶ現象を確認。その後も同じ領域でたびたび発生した。かけらは大きくて数十センチといい、今後、組成を詳しく調べる。
 探査機は2016年に打ち上げられ、昨年12月にベンヌ上空に到着した。23年に地球に帰還し、はやぶさ2のチームと岩石を交換して研究する。(共同)2019.3.20 09:47産経

2019年3月12日火曜日

マンモスの細胞核、死んでなかった


マンモスの細胞核、死んでなかった 近大「復活」に前進
*シベリアの永久凍土から発掘された2万8千年前のマンモス「YUKA」の化石(近畿大提供)
 シベリアの永久凍土で2万8千年間眠っていたマンモスの化石から採取した細胞の核が「死んでいなかった」ことを、近畿大などのチームが世界で初めて確認した。マウスの卵子に移植したところ細胞分裂直前の状態に変化。同大が目指す「マンモス復活」に向け一歩前進した。11日付の英科学誌電子版で発表した。

 チームは2010年にロシア連邦サハ共和国で発掘された6歳程度とみられる雌マンモス「YUKA(ユカ)」の化石の脚から筋肉組織を採取。その細胞から、生命の設計図であるDNAを含む核を取り出し、マウスの卵子に移植した。
 すると、マンモスの細胞核は卵子に含まれるタンパク質を利用して、細胞分裂直前の状態まで変化した。さらに一部がマウス卵子の細胞核に取り込まれる現象も確認した。近畿大によると、化石から細胞レベルの生命現象が再現されたのは世界初。
 だが、細胞分裂には至らず、マンモスの細胞核はまもなく死滅した。長期間にわたってシベリアの過酷な環境にさらされ、遺伝子が損傷していたことが原因とみられる。

 ただ、遺伝子損傷がマウスの卵子によって修復された可能性も示された。損傷が軽度で保存状態が良好な細胞核が得られれば、細胞分裂して個体に育つ受精卵の作製につながる可能性もあるとみている。近畿大の入谷明名誉教授は「長年取り組んできたマンモス復活に向けて、大きな一歩になりそうだ」と話している。2019.3.11 19:30産経

2019年2月27日水曜日

半可通のつぶやき 1

半可通のつぶやき 1  

一票の格差というけれど、大都会での投票率はせいぜい5-60%、地方は7-80%超ぐらいか?押しなべて前者で低く、後者で高い。すなわち投票率を考慮すれば大騒ぎするほどの差はないように思われる現状と云えないか?まずは大票田での投票率を底上げる努力が望ましいという考えが成り立つ。 

外国人の土地所有権は認めるべきではない。同所有者の既得権・所有権不認可の立法化が急務。

ゴールド運転免許の欲しい人 → 運転しないこと。
 高齢者講習は必要か → Yes特に教習所と警察OBには必須。

2019年2月25日月曜日

蚊に「満腹感」与える物質


蚊に「満腹感」与える物質、血を吸う行動抑える
 【ワシントン=船越翔】蚊の吸血行動を抑える物質を見つけたと、米ロックフェラー大などが発表した。蚊が媒介する感染症の対策に使える可能性もあるとして注目される。論文が米科学誌「セル」に掲載された。
 研究チームは、人の体内で食欲の調節に関わっている特殊なたんぱく質に似た物質が、ジカウイルス感染症(ジカ熱)やデング熱を媒介するネッタイシマカにもあることに着目。その働きを高める化合物を突き止めた。
 この化合物をネッタイシマカに与えると、動物に近づいて血を吸うといった吸血行動の頻度が抑えられるようになった。研究チームは、特殊なたんぱく質の働きにより蚊の「満腹感」が増したためとみており、「蚊が媒介する感染症の広がりを防ぐ新たな手法になる」としている。
 嘉糠洋陸かぬかひろたか・東京慈恵会医科大教授(熱帯医学)の話「蚊は満腹になるまで血を吸うと、人間から離れる。この現象に着目した素晴らしい研究だ」 12:46 読売

2019年2月23日土曜日

チリンチリンが聴こえない

チリンチリンが聴こえない
この街には遊歩道と呼ばれる南北に走るルートがある。自転車もオーケーで、朝夕は多くの人々が通勤通学にも活用している。
道沿いには、小中高の学校群、幼稚園、気象研、JAXA、産総研、物材研などの研究所、数多の公園、テニスコート、プール、憩いの場につながる。さらにはダウンタウンを貫き、TX駅、図書館、博物館、病院等の公共施設を経て、北端は広大な大学キャンパスに至る。

 地域、時間帯によって様々な顔がある。昼の時間には、時々ポールウォーキングの「いにしえのお嬢様軍団」に出くわす。道幅いっぱいに横並び、周囲を気にすることなく楽し気におしゃべりしながら、自分らの世界にひたっている。追い越す直前まで近寄らないと、自転車のベルを鳴らしても気づかない。  
 
チリンチリンが聴こえない。挙句の果ては「ボクが悪いんです」状態で道を開けてもらいます。
あ~あ、「いにしえのお嬢」に敵なし!

2019年2月22日金曜日

新聞か「旧聞」か



新聞か「旧聞」か
互助精神の現われなのか、マスメディアもあまり騒いでいないようだが、最近新聞購読料が高騰した。全国紙Yの朝刊の値上がりは実に20%・・。事前の十分な説明もなかった。
昨年半年間と最近、ざっと紙面に占める広告の割合をチェックした。判を押したようにほぼ半分だ。内容も週刊誌化しているように感じる。 それなのに・・ああ~それなのに・・・。

ま~、ネット新聞でかなり便利を享受している手前、あまり辛辣なことは控えよう!!

謝恩会



謝恩会 
 そろそろ謝恩会の季節でもあるんですね~。私学で過ごした決して長くはない何年間、この時期一応「謝恩」されてたのを思い起こしました。

 卒業生たちは大枚はたいて ディズニーキャラクター(着ぐるみ?)を呼んで 「キャーキャー」と[記念撮影]! 

 謝恩なんだろう、もっと知恵使えないの?と思っていた。 
例えば[模擬裁判]でもやって アイロニーとユーモアで 先生方を血祭り?にあげたら良いのに・・・
ああ~今は昔・・・

2019年2月21日木曜日

華麗に加齢

*華麗に加齢 
「かれい」と云っても 鰈、家令、下令、カレーなど色々あります。

華麗な加齢:
 「仕事」から解放されて気分爽快。自由時間をエンジョイし趣味に充てる。 純粋に孫の成長が楽しみ。 いっとき、恐らく「王侯貴族」気分にひたれる。

加齢で悪いこと:
 不具合を感じて整形外科に罹れば第一声は「加齢」ですから・・ 
難聴気味なのですがと耳鼻科医に訴えれば、「加齢」ですから・・ 
内科、泌尿器科、歯科まで似たり寄ったり・・
それらが高じて 自己弁護に応用する。「体力落ちてきたんだよな~、記憶力も・・」「外出や人付き合いが億劫だ~」「気力、筋力、金力がなぁ~」

 挙句の果ては物入り「加齢はカネかかる」 
歯科インプラント:すでに1本入れたが、近々にあと2本(30万x3);補聴器50万;鼻オペ75万(医療保険適用に感謝);眼鏡新調など。   

 そして・・そろそろ「終活」か? サ高住? いやいやどうせなら「聖路加レジデンス」? 検索したら「驚天動地」。これじゃ大口「富くじ」当たらにゃきゃ現実味なし!  
 
 そんじゃ・・田舎暮らしのスローライフ?身の丈に合う暮らし?
何のことはない・・「現状維持」に落ち着く。「堂々巡り」でした。
 紫式部より山本周五郎の世界か?