ヒトゲノム、8割に役割 遺伝子の働き調節
ヒトの設計図に当たり、病気の解明などを目指して盛んに研究されている全遺伝情報(ゲノム)の約8割は、遺伝子の働きを調節するなど生命維持に必要な役割を担っていることがわかった。これまで無駄と思われていた部分も有用であることを示しており、私たちの生命観を変え、創薬にもつながる成果として6日付英科学誌ネイチャーに論文が発表された。
身体を作るたんぱく質の設計図である「遺伝子」は約2%に過ぎない。そこの変異を調べて、病気になる可能性などを予測できることもあるが、残り約98%の働きはわかっていなかった。
理化学研究所などがゲノムの働きを詳細に調べたところ、80.4%が、必要なたんぱく質を必要な場所・タイミングで作るよう、遺伝子に指示するスイッチ役などを果たしているとわかった。
これらのスイッチなどが正しく働かないと病気になることがあり、実際、がんや認知症との関連がすでにわかっている。
国立遺伝学研究所の井ノ上逸朗教授は「糖尿病や高血圧など、一つの遺伝子変異だけでは説明できない病気でも、ゲノムを解析すると、無駄と思われていた領域に明らかな違いがある場合がある」と指摘。「今回の成果で、その違いの意味がわかれば、病気になる仕組みの解明につながるかもしれない」と話す。 2012年9月9日15時54分 朝日
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