2014年10月1日水曜日

鳥類は8千万年かけ恐竜から徐々に進化

鳥類は8千万年かけ恐竜から徐々に進化
 
中国北東部で発掘された化石。羽毛恐竜の多様性と小ささが見て取れる。恐竜に見られる鳥類特有の特徴の多 くは、鳥類出現のはるか前に進化した。

 約15000万年前に飛べるようになった鳥類は、何千万年という年月をかけて徐々に恐竜から進化したことが、古生物学者たちの研究によって明らかとなった。

鳥類は8千万年かけ恐竜から徐々に進化
 鳥類には羽毛や含気骨、叉骨(さこつ)、嘴(くちばし)など、特有の特徴が数多く見られる。古生物学者た ちはかつて、15000万年前に生息していた最古の鳥類である始祖鳥が、恐竜からの飛躍的な進化によって現れた ものと考えていた。だが、過去20年間の新たな発見により、鳥類特有の特徴は、最古の鳥が登場するはるか前に 恐竜で進化していたことが明らかとなっている。

 今回の研究成果は、「Current Biology」誌オンライン版に925日付けで発表されている。鳥類の祖先である 恐竜が鳥類特有の特徴を徐々に進化させ始めたのは、約23000万年前に地球上に登場した直後であるとし、新し い見方を裏付ける内容だ。

 また、論文はアメリカ自然史博物館の古生物学者ジョージ・ゲイロード・シンプソンが1944年に提唱した説を 支持するものでもある。シンプソン氏は当時、進化的新奇性(この場合は飛行能力を指す)が、新たな環境的ニ ッチを利用する種において急速な多様化を引き起こす可能性を指摘していた。
Current Biology」誌に掲載された論文によると、約8000万年にわたる段階的な進化の結果、始祖鳥の出現後に 鳥類が急激に多様性を見せ始めたという。スコットランドにあるエジンバラ大学の古生物学者で筆頭著者のステ ィーブン・ブルサット(Stephen Brusatte)氏は、「基本構造がようやくまとまると、何かが解き放たれたかの ように鳥類は急速に進化を始めた」と述べた。

 また、イギリスにあるオックスフォード大学の古生物学者ロジャー・ベンソン(Roger Benson)氏も、「科学 的に見れば、恐竜からいきなり鳥が現れることの方が考えにくい」と主張する。

◆小型化との関連
 アデレードにある南オーストラリア博物館のマイケル・リー(Michael Lee)氏率いる研究チームは今年8月、 鳥類の祖先が5000万年かけて体重約160キロから始祖鳥の重さに相当する0.8キロまで小型化したとの研究結果を 「Science」誌に発表している。
 今回の研究では、小型化の進行に伴い、現在の鳥類に特有の特徴が徐々に発達したとしている。始祖鳥は滑空 することしかできなかったと考えられているが、その登場からわずか数百万年間で鳥の種類は以前よりはるかに 急速に拡大し、新種には飛行能力を獲得した鳥も含まれていたという。

「鳥は時間をかけて“鳥らしく”なっていった。恐竜から鳥が急に現れたわけではなく、途切れることなく変化 しただけだ」とブルサット氏。
 また、約6600万年前にほかの恐竜が絶滅した際に鳥が生き延びることができたのは、飛行能力のおかげかもし れないとブルサット氏は言う。「飛ぶことのできる小さな恐竜は、ほかの恐竜よりもかなり有利だったはず だ」。 Dan Vergano, National Geographic News September 29, 2014

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