似て非なる日米野球 双方に適応したイチローの偉業
日米の数字を足した記録の値打ちをどう考えるか。イチローの日本時代の同僚で、メジャーでも活躍した田口壮・現オリックス2軍監督の考え方がヒントになりそうだ。
*パドレス戦の9回、右翼線に二塁打を放つマーリンズのイチロー外野手。メジャー記録を日米通算で抜く4257安打とした(15日、サンディエゴ)=共同
「洋の東西で異なる野球のどちらにも適応し、安打を打ち続けたことこそ偉業」。イチローがメジャー2位の記録である「球聖」タイ・カッブの4191安打を抜いた昨年、田口氏が日経電子版に寄せたコラムの要約だ。
田口氏によると、日米の野球は似て非なるものだ。試合数や使用球、投球の平均速度や、中継ぎ投手のレベルも違うが、最も大きな違いは野球のスタイルだという。
日本の投手はなるべくストライクを投げずに打者をかわそうと考えるが、メジャーの投手はストライクを投げ、打者と力比べをする。同じ規則の下でプレーしていながら、野球とベースボールには別種の競技といえるほどの違いがある。
メジャーが日本プロ野球の記録を非公式な参考記録と扱っているのも当然といえば当然で、ピート・ローズ氏が主張するように、日米の数字の合算には無理があるだろう。そのことは誰よりイチロー自身が承知している。
しかし、それで記録の価値が損なわれるわけではない、というのが田口氏の考えだ。
メジャーへの適応に手間どっていたら、これだけ長くプレーできたかすらわからないと同氏が指摘するように、渡米してすぐベースボールに溶け込めたことが記録への第一歩となった。
異なる野球への対応に苦労するのは日米お互いさまで、現役大リーガーと騒がれて来日した選手がさっぱりということも少なくない。イチローの適応力と、技術に備わっていた汎用性がその壁を崩したといえるだろう。
竹刀をサーベルに持ち替えるような異境に移ってなお、イチローはイチローであり続け、安打を放ってきた。こうした経路をたどった人は他にいない。ローズ超えをもって世界一とするかどうかはともかく、唯一無二の記録であるのは間違いない。(編集委員 篠山正幸)2016/6/16
11:40日経
追記:ユニホーム姿で臨んだ試合後の記者会見。「そんなに大きなことという感じは全くしていない」と言い切った。米国内で日米通算の記録を認めない声があることも知っている。だから、「ピート・ローズが喜んでくれていれば全然違う。でもそうじゃないって聞いているので。だから僕も興味がないっていうか。いつかアメリカだけでローズを抜く選手が出てきてほしい」。 《人間力の違いが明瞭に出ますね》
追記:ユニホーム姿で臨んだ試合後の記者会見。「そんなに大きなことという感じは全くしていない」と言い切った。米国内で日米通算の記録を認めない声があることも知っている。だから、「ピート・ローズが喜んでくれていれば全然違う。でもそうじゃないって聞いているので。だから僕も興味がないっていうか。いつかアメリカだけでローズを抜く選手が出てきてほしい」。 《人間力の違いが明瞭に出ますね》
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