2016年5月8日日曜日

超新星爆発の記録を新たに発見

歴史上最も明るい超新星爆発の記録を新たに発見
「最初のうちはわずかに緑がかった黄色」に輝く、中東の古文書から
NASAX線観測衛星チャンドラが捉えた超新星SN1006の残骸。西暦1006年には地上から肉眼で見えるほど明るかった。

 それは記録に残すのにうってつけの天体ショーだった。西暦1006年の4月に明るい星が突然現れ、徐々に暗くなり、数カ月後に見えなくなった。この天体は地球から7200光年も離れたところにあるにもかかわらず、ピーク時には金星より明るくなったという記録もある。
 目撃証言は、アジア、中東、ヨーロッパの文書のほか、おそらく北米の岩絵にも残された。日本でも藤原定家が『明月記』にこの「客星」のことを書いている。こうした記録のおかげで、今日の天文学者はこの天体の正体がSN1006という超新星だったことを知っている。

 そしてこのたび、古文書の調査をしていた天文学者たちが、これまで知られていなかった2編の記録を発見し、有史以来最も明るい超新星爆発の物語に一石を投じた。

 ドイツ、フリードリヒ・シラー大学イエーナの天体物理学者ラルフ・ノイホイザー氏は、ペルシャの科学者イブン・シーナー(9801037年)の著作を調べていた。欧米ではアビセンナとして知られるイブン・シーナーは、各地を旅行し、天文学から医学まで幅広い分野にわたる著作を残した。
 その『治癒の書』には、医学のみならず自然科学や哲学に関する記述もある。そのなかに、突然現れたと思ったら、色を変え、「火花を散らして」消えてしまった天体に関する記録がある。ノイホイザー氏らによると、長らく彗星についてのものだと誤解されていたこの記述が、今回、超新星SN1006の観察記録だったことが明らかになった。イブン・シーナーがこの天体を観察したのは、彼が現在のイラン北部にあたる地域に住んでいたときのことだったと考えられる。(以下略)2016.05.06 ナショジオ 


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