2011年4月23日土曜日

砂漠に水を? 2

砂漠に水を? 2
グリーンテクノロジーへの期待


どうしたら砂漠に雨を降らせるか 2

気象学的な成因
 雲の成因はいくつかに分けられ、より詳細に気象学的な観点から雲の発生・成長・消滅過程が説明されている。
 1.地形の影響や気団の衝突などにより、空気塊(気塊、air parcel)が強制的に上昇させられて起こるもの。
  o風が山などを越えるとき、強制的に空気塊が上昇させられると、断熱膨張による冷却が起こってやがて雲ができる。前線の場合は、温暖前線では寒気の上に暖気が乗り上げて上昇、寒冷前線では暖気の下に寒気が入り込んで暖気が上昇、停滞前線や閉塞前線では温暖・寒冷の2パターンが同時に起こり、山と同じように雲ができる。
  o山の場合は山頂を越えて下降し始めると空気塊が圧縮・加熱されて、雲が蒸発して消える。また、乾燥した空気のほうが湿った空気よりも気温減率が大きいため、下降する空気は上昇時よりも速いペースで温度が上がり(フェーン現象)、雲が消える高度はできた高度よりも高くなる。また、高い山や前線の場合、空気塊がずっと上昇していくと、雲のもととなる空気中の水蒸気量(≒混合比)が低下して、高度が高くなるにつれ、上昇してもできる雲は薄くなりやがてできなくなる。

 2.周囲よりも相対的に軽い空気が浮力によって上昇して起こるもの。
  o夏の昼間のように、地面付近の気温の上昇幅が大きい場合には、温まった空気の浮力が増して雲ができやすくなる。普通は浮力を抑える力が働くが、大気が不安定(成層不安定)であると少しの上昇でそれを上回る上昇力を得て、雲が湧き上がる。

 3.大気の振動によって起こるもの。
  o大気中にはさまざまな要因で発生する大気波というものがある。このうち、波長が数百m以下と短いものは直接的に大気に働きかけ、空気を上下に動かして、上昇の際に雲を発生させることがある。波長が数十km以上のものは、次項で述べる収束を発生させることがある。

 4.収束に伴って発生した上昇気流によるもの。
  o周囲より気圧が低い低気圧に向かって空気が集まり、上昇気流となって雲を発生させる。上昇気流自体は観測できないほど遅い速度であるが、他のものに比べてスケールが桁違いに大きいため、広範囲で雲を発生させる。低気圧以外には、収束線(シアーライン)などがあり、これも原理は同じ。赤道付近で年中雲が発達しやすいのは、熱帯収束帯の影響で年中低圧だからである。

 5.空気塊の上昇を伴わない冷却によるもの。
  o空気の流れが無く安定していて、ある程度湿った空気が放射冷却などで冷やされると、地表付近に雲ができる。晴れて寒い日の早朝に発生する霧が典型的な例。

 6.加湿によるもの。
  o同じ温度の空気でも、湿度が(≒混合比)が上昇すると、露点温度が上がり、雲ができやすくなる。これは加湿単独ではなく、1~5のような気流の移動とセットになって初めて雲ができる。前線の周辺に台風や低気圧が接近すると雨が強まるのは、雲のできやすくなっている部分に前線から湿った空気が供給され、雲ができやすくなり発達するためである。湿暖気流(湿舌)が梅雨前線に接近したときも同様。

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