2011年2月25日金曜日

地震と免震構造 1/3

地震と免震構造 1/3 地震・雷・火事・親父
 今回のクライストチャーチ地震に考えさせられた。大陸プレートと海洋プレートがぶつかり、後者が沈み込む島国ニュージーランドは、日本とよく似た状況にあるそうだ。もう何年も前に知り合いの専門家から、統計的には首都圏はいつ大きな地震が起きてもおかしくないと聞かされている。

 もっとも地震予知は科学技術が発達した今でもずいぶん困難な作業であり、せいぜいが緊急地震速報で、p波(primary wave:秒速7キロ)と、大きな揺れをもたらすs波(secondary wave:秒速4キロ)の速度差から、長い場合でも十数秒~数十秒ぐらい前に知らせてくれる程度のようだ。

 日本は耐震構造、免震構造に関する研究も技術も世界でもっとも進んでいる。因みに、2004.10直下型新潟中越地震(M6.8)の折、免震構造物はほとんど被害が出なかったという。こうなると優れた日本の技術に信頼を寄せるべきだと思い、そう云う建物に引っ越すべきか(引っ越せるのか)少し調べてみたくなった。

1981年以降に建てられた建物は耐震構造になっている

 1981年(昭和56年)以降に建てられた建物は基本的に新耐震基準に従った建物になり、耐震構造であるといえる。これは最低限守られる基準として建築基準法で定められている。

【新耐震基準】
■震度6~7程度(※1)の地震でも倒壊、崩壊しないレベル(※2)
※1 関東大震災の震源に近い小田原で観測された地震に相当する。地表の加速度で400ガル程度。数百年に一度程度発生する地震。
※2 人命が損なわれるような壊れ方はしない程度を示します。

■震度5強程度(※3)の地震でも損傷を生じないレベル(※4)
この基準では住んでいる間に何度か訪れる中、小の地震(震度5強程度)に対しては建物と人命が守られること、きわめてまれな大地震(震度6~7程度)に対しては、人命は守るが建物にヒビが入る程度は認めるという内容になっています。
※3 地表の加速度で80ガル程度。数十年に一度発生する地震。
※4 大規模な工事を伴う修復が必要な著しい損傷が生じない程度を示します。

 1995 年1月の阪神・淡路大震災では多くのオフィスビルやマンションが倒壊した。倒壊したものはほとんどが新耐震基準以前に建てられたいわゆる既存不適格建築物(※5)でした。このことから1981年に改定された新耐震基準による建物の耐震性がここで評価されました。
※5 既存不適格建築物とは、建てた当時は建築基準法にかなっていたもののその後の基準法の改正で内容が現行法規に適合しなくなってしまった建築物のことをいう。

 それではどんな構造物があるのでしょうか。主なものは、これまで主流であった耐震構造と、新たに開発された免震装置を用いた「免震構造(免震工法)」技術である。

耐震構造と免震構造の違い?
 耐震構造とは、柱や梁を太く、壁を厚くすることで地震の力に対抗する構造であり、建物の構造(柱や梁)自体が地震に耐えるような強度に造られているものです。現在、日本で最も主流をなす建築構造です。耐震構造では、地震エネルギーがそのまま家屋に伝わるので、免震、制震に比べ地震時に壁や家具等が損傷しやすいといわれています。上階にいくほど揺れも大きくなります。
 それに対して免震構造では、地震が直接伝わらないように、基礎と上部構造の間に積層ゴムなどの特殊な装置を付け免震層を造ることで、免震装置で吸収して地震の揺れのエネルギーを建物上部に伝わりにくくする工法です。
 高層ビル・高層マンションによく用いられます。免震装置により横揺れを大きく減らせる効果があり、マンション下層階と上層階の揺れの大きさは同じになると言われています。つまり超高層になるほどメリットが大きくなるといえるでしょう。

 すなわち耐震構造がマンションに直接揺れを受ける構造なのに対し、免震構造では揺れを土台から回避することを目的としています。 以下さらに詳しく、地震対策の中でも、耐震構造・免震構造、加えて、制震構造それぞれのメリット・デメリットを含めた特徴をみてみよう。

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