抗がん剤:効果抑制のたんぱく質 北大研究チームが解明
体の免疫機能の指令塔の「樹状細胞」が、がん細胞の作用で免疫機能低下につながるたんぱく質を出し、抗がん剤の効果を抑えることを、地主将久・北海道大准教授(腫瘍免疫学)らの研究チームがヒトやマウスのがん細胞を使った実験で突き止めた。地主准教授は「このたんぱく質を標的にした薬剤と組み合わせれば、抗がん剤の効果を高められるのではないか」と話す。29日付の米科学誌ネイチャー・イムノロジー電子版に掲載された。
樹状細胞は、ウイルスやがんを攻撃するリンパ球に指令を出す。地主准教授らは、ヒトやマウスのがん組織
にある樹状細胞では、他の健康な組織の樹状細胞よりも「TIM−3」と呼ばれるたんぱく質が非常に多く産生されることを解明。がん細胞が放出するデオキシ
リボ核酸(DNA)を、TIM−3があるために樹状細胞が認識できなくなることが分かった。
樹状細胞ががんを認識できず免疫機能が低下し、抗がん剤の効き目にもブレーキをかけるという。大腸がんのマウスの実験では、抗がん剤とTIM−3の働きを抑える薬剤を同時に投与すると、抗がん剤だけより腫瘍の大きさが半分以下になった。【大場あい】毎日新聞 2012年07月30日 02時30分
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