サンショウウオ 新種発見
つくば市の筑波山周辺に生息するサンショウウオが新種であることを京都大学の研究チームが突き止め、科学論文誌に発表した。チームは新種を「ツクバハコネサンショウウオ」と命名。関東地方でのサンショウウオの新種発見は82年ぶりだという。
新種を発見したのは、同大人間・環境学研究科の松井正文教授と吉川夏彦研究員(30)。新種は成体の体長が約14センチ。吉川さんによると、筑波山南側斜面から約10キロ北の燕山にいたる地域で生息を確認した。
この地域にサンショウウオが生息することは以前から知られていたが、本州や四国の山地にかけて広く生息する「ハコネサンショウウオ」だと思われてきた。吉川さんは2005年に筑波山での調査を始めたが、体の特徴が、他の地域にいるものと微妙に違うと感じていた。
約3年をかけて成体が生息する場所を突き止め、計16匹を捕まえて特徴を調べた。その結果を別の地域のハコネサンショウウオと比べたところ、〈1〉尾が短い〈2〉幼生は銀白色の斑紋(斑点)が多い〈3〉背中側の尾に黄色い線がくっきりある――ことが明らかになった。
また、遺伝子解析の結果から、約280万年前に何らかの環境変化が起こってこの地域のサンショウウオが孤立状態となり、独自の進化を遂げた可能性があることもわかった。
サンショウウオの新種は昨年、青森県で発見されている。しかし関東地方ではきわめて珍しく、1931年発見のトウキョウサンショウウオ以来。吉川さんは「国内では生息域が最も狭いサンショウウオの一つになる」と話している。
サンショウウオに詳しい県環境政策課の早瀬長利・国定公園管理員の話「筑波山周辺は国定公園のため、無断採取禁止などにより保護されることになる。ただ、この地域だけに生息する貴重な種なので周辺の自然環境を守る意識が大事だろう」(2013年4月17日 読売新聞)
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