電子顕微鏡:生きたまま虫を観察 浜松医科大米誌で発表
電子顕微鏡で生きたまま撮影できたハムシ=浜松医科大提供
虫の体表を特殊な膜で覆い、真空中でも生きたまま電子顕微鏡で観察する方法を開発したと、浜松医科大の針山孝彦教授(生物学)のチームが米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。膜は、宇宙遊泳する飛行士を守る宇宙服のような役割を果たしているといえ、生き物の自然な姿や微細な行動を解明するのに役立ちそうだ。
電子顕微鏡は高倍率で観察できるのが魅力だが、真空の状態にする必要がある。真空中では水分が蒸発するため、生き物は死んだ状態でしか見ることができなかった。
チームは、ハエなどの幼虫などが電子顕微鏡下 で動いているのを発見。顕微鏡の出す電子線が、体表から分泌される物質に当たると、厚さ50〜100ナノメートル(ナノは10億分の1)の膜ができて、水
分の蒸発を防いでいることが分かった。また、この物質に似た薬品をハムシなどに塗り、生きたまま観察することにも成功した。
チームはこの膜を「ナノスーツ」と命名。針山教授は「電子線は自然界にも降り注いでいる。生き延びるために、この仕組みが備わったのではないか」と話す。【斎藤有香】毎日新聞 2013年04月16日 11時22分
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