金のリング 列島結ぶ 932年ぶり、広範囲の天文ドラマ
東京スカイツリーの背後で観測された金環日食。21日午前7時24分から49分まで、約3分ごとに撮影した写真を合成=東京都墨田区で(笠原和則撮影)
太平洋側を中心とした日本の広い範囲で二十一日朝、太陽の中心部が月に隠され、細いリングのようになる金環日食となった。日本では一九八七年の沖
縄以来二十五年ぶりで、今回のように広範囲で見られるのは平安時代の一〇八〇年以来、九百三十二年ぶり。首都圏では百七十三年ぶり。東京、名古屋、大阪な どの大都市を含む史上まれな天文ショーとなった。
リングの形状は最大約五分継続。曇りがちな天気のもと、各地で観察した人たちから拍手
と歓声が上がった。リングの細い部分が月面の凹凸により途切れ、ビーズが連なったように見える「ベイリービーズ」と呼ばれる特徴的な現象も福島県南相馬市 などで観測。一方で天候に恵まれず日食が見られなかった地域もあった。
太陽は午前六時すぎに右上から欠け始め、まず九州南部が午前七時二十分ごろから金環日食に入った。
東京都心では薄曇りの空に細いリングがくっきり。日食グラスをかざして空を見上げる人たちや、電車の窓から目を細めて見入る通勤客の姿もあった。
首都圏は、金環日食が観測できる帯状の地域にすっぽり入った。中でも東京は「中心線」が通り、きれいな輪が長く見られる絶好の観測地となった。
金環日食にならない北海道や東北、北陸、中国地方なども太陽の直径が八~九割と大きく欠ける部分日食に。札幌市は晴れで、三日月状の太陽が見られた。
金環日食は、中国南部で始まり香港、台湾、日本を経て北米に至る細い帯状の地域で起きた。日本各地では通学時間帯に重なることから、多くの学校で登校時間を変更するなどの対策を取った。
日本の次の金環日食は北海道で見られる二〇三〇年。東京で見られるのは、三百年後の二三一二年となる。
<金 環日食> 太陽と地球の間を月が横切り、中心部を隠された太陽がリング状に見える天文現象。太陽と月の見かけの大きさはほぼ同じで、月が完全に太陽を隠し
た場合は皆既日食となるが、月が遠くにあるときは太陽のふちが隠れずにリング状になる。皆既日食とは異なり周囲は暗くならず、太陽はまぶしいままのため、 直視すると目を傷める危険性が指摘されている。
(東京新聞)2012年5月21日
13時59分
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