2017年10月17日火曜日

中性子星の衝突、重力波で初観測

中性子星の衝突、重力波で初観測 光と重元素も放出
(CNN) 米国などの研究チームは16日、地球から1億3000万光年離れた銀河で、2つの「中性子星」が衝突する現象が初めて観測されたと発表した。衝突の結果、重力波と呼ばれる波と、ガンマ線バーストと呼ばれる光が放出されたほか、「キロノバ」という爆発現象によって金やプラチナや鉛などの重元素が宇宙に拡散した。宇宙で1つの根源から重力波と電磁波の2つの波が放出される現象を観測したのは今回が初めてで、天文学の新時代につながる未曽有の発見と位置付けている。
*「キロノバ」という爆発現象により、金やプラチナなどの重元素が宇宙に拡散するという
今回の中性子星の衝突では、重力波に加えて光が放出され、新しい方法で重力波を研究することが可能になった。信号は100秒間持続したことから、詳しいデータを解析でき、光と重力波が同じ速度で伝わることも分かった。LIGOの研究者は、過去の重力波の観測を窓のない部屋の中で雷の音を聞くような状態にたとえ、この状態では雷の音しか聞こえなかったのに対し、今回は窓のある部屋で雷を体験しているような状態だと説明。

研究チームはカリフォルニア大学のサンタクルーズ天文台とカーネギー天文台の共同研究を通じ、衝突直前と衝突中、衝突後のデータを収集して詳しい調査を実施。その結果、中性子星の衝突によってガンマ線バーストが起きることや、天体の衝突によって重元素が生成されることが確認された。さらに、衝突する際の中性子星の状態を観測でき、重力波と光が同時に放出されることも分かった。「この1回の出来事で、そうした問題が全て解決され、全ての謎がまとめて解き明かされた」(カーネギー天文台のトニー・パイロ氏)
中性子星は、超新星爆発(スーパーノバ)の後に残る宇宙で最も小型の天体で、直径は米シカゴやアトランタの面積ほどしかない。しかし密度は異常に高く、太陽の密度を上回る。太陽をシカゴの面積ほどの大きさに圧縮したような天体同士がぶつかれば、「放出されるエネルギー量は、太陽が一生涯で放出するエネルギー量を超す。今回はそれが、わずか数十秒の間に放出された」とパイロ氏は解説する。

今後は、衝突した2つの中性子星がブラックホールを形成するのか、それとも大型の中性子星になるのかを見極めたい意向。研究チームは最新の研究から、ブラックホールになる説に傾いているという。2017.10.17 Tue posted at 12:00 JST

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