献血頼らず輸血、iPSから血小板量産 国内16社
製薬・化学関連の国内企業16社は体のあらゆる部分になることができる万能細胞「iPS細胞」を使い、血液の成分である血小板を量産する技術を世界で初めて確立した。これまでは献血に頼っていた。大学発ベンチャーのメガカリオン(京都市)の事業に大塚製薬グループやシスメックスなどが協力した。来年にも臨床試験(治験)を始め2020年の承認を目指す。
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今回量産のめどが付いたのは血小板の血液製剤。この血液製剤は外科手術時や交通事故の被害者など止血が必要な患者に使う。血小板の輸血は国内で年間80万人が受けており、国内市場規模は薬価ベースで約700億円。米国は国内の3倍以上の市場規模を持つ。
開発主体のメガカリオンによるとiPS細胞を使って血小板を製造するコストは献血を使うよりも大幅に安いという。冷蔵保存できず4日しか持たない献血由来の血小板に比べ、iPS細胞から作れば無菌化により2週間ほど保存できるため保管コストも安くなる。
ウイルスなど病原体の混入も防げる。献血に混入したウイルスが薬害エイズ事件やC型肝炎の感染拡大などを引き起こしたが、iPS細胞で作ればこのリスクを回避できるようになる。
iPS細胞を使えば、これまでも研究室で1~3人分の血小板は作れたが、数千人分を一度に量産するには細かな条件の設定や特殊な添加剤が必要になる。フィルターで異物を除去し、血液製剤を包装する工程などにもノウハウがある。これらの要素技術を各社が持ち寄り、実用化のめどを付けた。2017/8/7 2:00 日経
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