2017年5月26日金曜日

木星の意外な姿

木星の意外な姿、探査機「ジュノー」の観測で判明 NASA
*NASAの探査機「ジュノー」が高度5万2000キロから観測した木星の極点
(CNN) 厚い雲に覆われた巨大なガスの惑星、木星。その実際の姿は、これまでの想像とは大きく違っていたことが、探査機「ジュノー」の観測で判明した。米航空宇宙局(NASA)が25日の電話会見で発表し、科学誌「サイエンス」などにも論文を寄稿した。
ジュノーは2011年8月に打ち上げられ、16年7月に木星に到達。軌道上を周回しながら観測を続けてきた。「木星の内部は均質で、どちらかというと退屈だと思っていたが、今回の観測でそれとは程遠いことが分かった。木星は極めて複雑で、極点から見る木星は、我々が普通に目にする光景とはかけ離れていた」。主席研究員のスコット・ボルトン氏はそう語る。
観測の結果、これまで確認できていなかった極点の存在が判明。極点にある明るい楕円形の部分は、幅1400キロに及ぶ巨大サイクロンだったことが分かった。極点の巨大サイクロンが確認されたのは初めてだという。

表面を覆う厚い雲の探査では、大量のアンモニアが激しく巨大な気象系を形成していることが分かった。
木星の磁場は、地球の磁場の最も強い部分に比べて10倍の強さをもっていた。この強さはこれまでの想定の2倍に当たり、研究チームにとっては予想外だった。
ジュノーは木星の巨大オーロラにも遭遇し、紫外線と赤外線で画像をとらえることに成功。電子的なエネルギーが大気の上部に放出されている様子も観測した。これがオーロラをつくり出している可能性もある。

木星の重力場の測定にも成功した。そのデータを今後の観測データと組み合わせれば、木星の大気の構成を突き止める手がかりになり、「木星に岩石状の核が存在するのか」という大きな疑問の解明につながる可能性もある。2017.05.26 Fri posted at 12:42 JST

誕生の瞬間捉えたか 星がブラックホールに

NASA、誕生の瞬間捉えたか 星がブラックホールに
*ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた、恒星「N6946BH1」(左円)が消える様子(NASA提供・共同)
 【ワシントン共同】米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所のチームは25日、恒星が一生を終え、ブラックホールに生まれ変わる瞬間を初めて捉えた可能性があると発表した。ただ、星が生涯の最後に通常起こすとされる「超新星爆発」を経ずに、煙のように消えたという。
 チームは「(太陽の8倍以上の)大質量星が起こす超新星爆発が思ったほど観測されない理由は、このように静かに消えているせいかもしれない」としている。
 ブラックホールになったとみられる星は、地球から2200万光年離れた渦巻き銀河の「N6946BH1」で、太陽の25倍の質量がある。526 10:29 下野新聞

2017年5月20日土曜日

国内最古の全身骨格

国内最古の全身骨格=石垣島で出土、2万7千年前-沖縄
*沖縄県・石垣島の遺跡「白保竿根田原洞穴」で発見された約2万7000年前の旧石器人の全身骨格(沖縄県立埋蔵文化財センター提供)
 沖縄県立埋蔵文化財センターは19日、石垣島(同県石垣市)の遺跡「白保竿根田原洞穴」の発掘結果を発表した。旧石器時代の1000点を超える人骨片が出土。少なくとも19人分に上り、全身骨格では国内最古となる約2万7000年前の人骨が残されていた。洞穴は墓とみられ、遺体を地中に埋めない「風葬」の可能性が高い。
 国内では、沖縄県八重瀬町で見つかった2万2000年前の「港川人」の全身骨格が最古とされていた。
 出土した人骨は2万7000年前~1万8000年前のもので、全身を復元できたのは2体。他に2体の頭蓋骨が復元された。

 最古の全身骨格には、げっ歯類がかじった跡があることなどから、遺体は土に埋めなかったとみられる。あおむけで膝を折り曲げ、岩陰に安置されたと推定される。洞穴には生活の跡が見られず、旧石器時代の墓域と初めて確認された。(2017/05/19-21:38)時事

2017年5月17日水曜日

3Dプリンターで卵巣を作成

3Dプリンターで卵巣を作成、マウスが出産に成功 米研究
*3Dプリンターで作製した人工卵巣によるマウスの出産に成功した
(CNN) 米国の研究チームが3Dプリンターで作製した人工卵巣をメスのマウスに移植して受精させ、出産させることに成功したとして、16日の科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。いずれは人の不妊治療への応用が期待されている。
米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学校などの研究チームは、99%水分素材のヒドロゲルと少量のポリマーを使って、3Dプリンターで人工卵巣を作製。卵子の元となる卵胞をこの人工卵巣に入れて、卵巣を摘出されたマウスに移植した。
卵胞は人工卵巣の中で育ち、やがて排卵に成功。マウスがオスと交尾して受精卵ができ、少なくとも2匹の子どもが生まれた。
研究チームのテリーザ・ウッドラフ氏はこの成果を「再生医療のための生物工学の聖杯」と位置付け、がん治療のために妊娠できなくなった女性の生殖機能を復活させる手段になると期待する。
実用化のめどは立っていないものの、5年以内に人間にも応用できるかもしれないと研究チームは予想している。

ただ、最初から完全な人工卵巣を移植するのではなく、卵巣のホルモン生成機能を再現することから治験を始めることになりそうだと話している。いずれは小児がん患者のための人工卵巣の開発にもつなげたい考え。2017.05.17 Wed posted at 11:15 JST

2017年5月15日月曜日

皮膚も装甲も「そのまま」

皮膚も装甲も「そのまま」、1億年前の恐竜化石を公開 カナダ
*本来の外見をとどめた状態で化石化したノドサウルス=ナショナルジオグラフィック

(CNN) 皮膚や装甲板など、生きているときの外見をほぼとどめた状態の恐竜の化石が15日までにカナダの博物館で一般公開された。1億1000万年前の恐竜で、同国の鉱山から見つかったという。
カナダ・アルバータ州にあるロイヤル・ティレル古生物学博物館が展示したこの化石はノドサウルスと呼ばれる四足歩行の草食恐竜のもので、約5.5メートルの長さを持つその体は戦車のような装甲板で覆われている。
従来の化石と違い頭部から尾のあたりにかけて皮膚から化石化しているため、骨格は確認することができない。博物館は「無傷の鎧で体を包んでいる」と説明する。
このノドサウルスはこれまでに確認されていなかった種類で、博物館の専門家によればアルバータ州から出た恐竜の化石としては最古のもの。またこれまで発掘されたヨロイ竜の化石の中では最も保存状態が良いという。
化石自体は2011年、オイルサンドの鉱山で作業員により発見されていたが、展示可能になるまでの復元作業にはそこから7年近い年月を要した。

ナショナルジオグラフィック誌の6月号によれば、化石化したノドサウルスの重さは約1135キロ。洪水で海まで流されて海底に沈み、膨大な時間をかけてミネラル分が皮膚や装甲板にしみこんだことから、生きていた当時の状態が保たれたと考えられている。2017.05.15 Mon posted at 11:24 JST

2017年5月13日土曜日

現生人類と同時期に生きた可能性

謎の人類ホモ・ナレディ、生きた年代が判明
現生人類と同時期に生きた可能性、新たな化石の発見も
*南アフリカのライジング・スター洞窟で見つかった頭骨を基に復元したホモ・ナレディ。古生物復元模型作家のジョン・ガーチー氏が作成。(PHOTOGRAPH BY MARK THIESSEN, NATIONAL GEOGRAPHIC

 謎の人類ホモ・ナレディが人類進化の系統樹に加えられてから1年半。南アフリカで発掘調査に携わっていた研究チームが新たな分析結果を発表した。発見された当初は、奇妙に原始的な体の特徴からかなり古い時代の人類と考えられていたのだが、実はそれよりもはるかに新しく、初期のホモ・サピエンスと同じ時代に生きていた可能性があるというのだ。

 ホモ・ナレディが初めて発見されたのは、2013年のことだった。ヨハネスブルクにあるライジング・スター洞窟の中で、2人の洞窟探検家が大量の骨の化石に行き当たった。アフリカ大陸で、これほどの量の化石が1カ所から発見されたのは、他に例がない。回収して調べてみるとそれらは、脳が小さく、肩と胴は類人猿のようで、別の部分は人間とほぼ変わりない特徴を持つ未知の初期人類の骨であることがわかった。新たな種は、ホモ・ナレディと名付けられた。ナレディとは、現地の言語ソト語で星という意味である。(参考記事:「新種のヒト属ホモ・ナレディ発見に驚きと疑問の声」)

 そのホモ・ナレディに関する最新の論文が、59日付の科学ジャーナル「eLife」に発表された。その中で、南アフリカにあるウィットウォーターズランド大学の古人類学者でナショナル ジオグラフィック協会付きエクスプローラーでもあるリー・バーガー氏率いるチームは、発見されたホモ・ナレディの年代を335000236000年前の間と特定した。また、ライジング・スター洞窟に第2の空間が見つかり、そこからさらに年代不明のホモ・ナレディの骨が見つかったと報告した。
*(JASON TREAT, NGM STAFF. SOURCE: LEE BERGER, UNIVERSITY OF THE WITWATERSRAND (WITS); JOHN HAWKS, UNIVERSITY OF WISCONSIN-MADISON.

 この年代が正しければ、我々現生人類の祖先である脳の大きな種が進化する一方で、小さな脳を持つ別の人類が存在していたことを意味する。その祖先は、恐らく200万年前、またはそれ以前から続いてきた系統かもしれない。また、化石の年代は中期旧石器時代の初期にも重なっており、そこからさらに論争の火種になりそうな仮説も浮上する。つまり、南アフリカで出土しているこの時代の石器は、現生人類だけの手によるものではないかもしれないという説だ。(以下略)2017.05.12 ナショジオ


2017年5月1日月曜日

酸素がなくても18分間生存

ハダカデバネズミ、酸素がなくても18分間生存 医学への応用にも期待
*酸素を必要としない果糖を使った代謝系に切り替えられることがわかった

(CNN) 東アフリカに生息するハダカデバネズミというネズミの仲間は、酸素がなくなっても体内のエネルギー供給の仕組みを切り替えて、18分間生存できる――。ドイツなどの研究チームがこのほど、米科学誌サイエンスにそんな研究結果を発表した。
ハダカデバネズミについてはこれまでの研究から、体温が低く、がんや痛みに対する耐性を持ち、普通のネズミの10倍もの寿命を持つことが分かっている。
野生のハダカデバネズミは、地下の狭い巣穴に200匹ほどが集まって集団で生息する。このため研究チームでは、どの程度まで酸素が少ない環境に耐えられるか調べる目的で、まず酸素濃度5%の環境で実験を行った。
人間の場合、酸素濃度が10%を切れば死亡する。しかしハダカデバネズミは酸素濃度5%の環境に数時間置かれても、ほとんど影響は表れなかった。
そこで次は酸素濃度をゼロにしたところ、ハダカデバネズミはすぐに動きを止めて昏睡(こんすい)のような状態になり、18分間生き続けた。再び酸素を注入するとすぐに回復し、長期的なダメージは一切なかったという。
この間のデータを解析した結果、ハダカデバネズミは酸素を必要とするブドウ糖を使った代謝系から、酸素を必要としない果糖を使った代謝系に切り替えて、脳や心臓といった臓器の細胞が生きるために必要なエネルギーを供給し続けていたことが分かった。
研究チームによると、ハダカデバネズミは遺伝子的には普通のネズミとよく似ており、人間と全く異なるということもないという。
「人間にも果糖からエネルギーをつくり出す能力がある」と研究者のギャリー・ルーウィン氏は指摘。「問題は、酸素の供給が低下した時に果糖を使った代謝系に切り替える方向へと、人体を近づけられるかどうかだ」と解説する。
ハダカデバネズミが無酸素状態で果糖を使って生き続ける仕組みを研究すれば、脳卒中や心臓発作によって低酸素状態となった患者の治療に役立てられる可能性もある。「低酸素状態になった時に脳に果糖を供給するだけでも助けになるかもしれない」とルーウィン氏。
人間でも、酸素なしで比較的長時間の潜水ができるダイバーは、無意識のうちにブドウ糖を使う代謝から果糖を使う代謝への切り替えができているのかもしれないと同氏は推測している。

動物科学に詳しい英リバプール大学の専門家によると、哺乳類でこうした代謝系が確認されたのは初めて。一部の魚類は同様の仕組みを持つものの、あくまで例外だという。2017.05.01 Mon posted at 17:40 JST