「兵糧攻め」で細菌撃退、植物の防御の仕組み解明 京大
細菌に侵入された植物は、栄養となる糖分が細菌に取り込まれないように「兵糧攻め」にして撃退することを、京都大の高野義孝教授(植物病理学)らが解明した。作物の病気を減らす農薬の開発につながる可能性があるという。25日、米科学誌サイエンス電子版に発表した。
細菌などが侵入すると、植物は抗菌物質を作って攻撃したり、細胞が自ら死んで感染拡大を抑えたりすることが知られている。「兵糧攻め」は新たに確認された防御法となる。
葉には光合成によって作られた糖分がたまっている。研究チームは、シロイヌナズナの葉の細胞同士の間にたまっている糖分を、植物細胞内に取り込む役割のたんぱく質に着目。細菌の感染を察知すると、このたんぱく質が細胞内に積極的に糖分を取り込んだ。植物に侵入した細菌は糖分を栄養にするので、取り込めないと増殖できない。
逆に、このたんぱく質が働かないようにした植物では、細菌が10倍以上に増え、葉の広範囲に感染が広がった。 高野教授は「植物の糖の吸収を高める化合物が見つかれば、植物の病気に有効な薬の開発につながる」としている。(西川迅)2016年11月25日09時18分 朝日
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