こんな研究をやっています3/4
~アルツハイマー症への貢献と体内宅急便を目指して~
これは昨年xx大学薬学部「公開講座」の際に用意した講演要旨です。4回に分けて掲載します。3回目です。
2)体内宅急便
医薬品を生体内投与した際、標的細胞や標的臓器に送達できれば高効率、副作用軽減等が期待されます。特に制癌剤の場合正常細胞に障害を与えることなく、目的とするがん細胞により多くの薬剤を送達することが可能になりそのメリットは大きいものがあります。
また遺伝子治療(ゲノム創薬)はきたるテーラーメイド医療に大きな期待が寄せられています。しかし遺伝子治療の元となる遺伝子は体内で速やかに分解されてしまうため、良い治療薬が出来てもそれを体内の特定部位に安定に送達する「運び屋」が無ければ効果を発揮できません。
リポソームは古くから研究されている医薬品を送達することのできる「運び屋」(ナノパーティクル)の一種です(図2)。生体膜と同様な脂質分子から成り立っている二重膜構造を持つ閉鎖小胞であります。そのため生体適合性が高く、さらに親水性・疎水性医薬品をはじめ、遺伝子、ペプチド等分解されやすい化合物もリポソームに内包することができます。
しかし単純な脂質分子であるリポソームは、このままでは期待する効果を発揮できません。
そこで機能性化合物で表面を化学修飾することにより、例えば標的化、遺伝子導入効率の増強、血中滞留性の向上、核内移行等の合目的的機能を持たせることが可能になります。
そのような背景の下、我々はナノカプセルキャリアーとしての化学修飾リポソームを医薬品分野へ応用する基盤的研究を進めてきています。
リポソーム膜表面を機能性ペプチドで修飾することにより、特定組織への標的化、細胞内への取り込み促進、細胞内動態の制御など、様々な機能をリポソームに付与することができることを示しました。
すなわち、生体内宅急便用の住所に相当する特定のペプチド鎖で化学修飾することによって、目的とする細胞や部位(標的分子、標的細胞)に親和性を持たせることが可能になり、ねらいを定めて優先的に配達できることを示しました。
(2007.10記)
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