2017年7月24日月曜日

呼吸もしない「常識外れの微生物」

米・地中深い泉水
呼吸もしない「常識外れの微生物」発見
*岩石の粒子に付着した微生物(緑色の点)。大きさは0.1~0.2マイクロメートルと非常に小さい
海洋研究開発機構高知コア研究所のグループが発表
 呼吸など普通の生命に必要な仕組みをほとんど持たない「常識外れ」の微生物を、地中深くの水から発見したと、海洋研究開発機構高知コア研究所の鈴木志野特任主任研究員のグループが21日付の英科学誌に発表した。地球初期の生命誕生の謎や、生命を維持できる限界を探る手がかりになる可能性がある。

 米カリフォルニア州に、マントル由来の岩石が溶け込んだ水が深さ1.2キロから湧き出る珍しい泉がある。この水は超アルカリ性、超還元性で、酸素や炭素、リンなど生命維持に必要な物質がほとんどなく、約40億年前の地球初期に似た非常に過酷な環境とされる。
 グループは、この水に住む微生物のゲノム(全遺伝情報)を解析し、27種類の微生物を特定した。この7割が、呼吸や「ATP合成」と呼ばれるエネルギー代謝など、生命の基本的な仕組みを持たない未知の微生物だった。ゲノムには複製や細胞膜合成などの機能しかなく、大腸菌の約10分の1の大きさで従来の生物では最も小さいゲノムだという。微生物は岩石に付着しており、岩石のミネラルからエネルギーを得ているとみられるが、仕組みはわかっていない。


 地球初期は酸素がほとんどない超還元的な環境だったことが知られており、この微生物が地球初期に生まれた原始的な生命である可能性もあるという。鈴木さんは「過酷な環境でも常識外れな微生物がいることが分かり驚きだ。地球外生命の手がかりになるかもしれない」と話している。【酒造唯】毎日2017722

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