認知症になる仕組みの一端解明…京大チーム
様々な細胞に変化できるiPS細胞(人工多能性幹細胞)と、遺伝子を自在に改変できる技術「ゲノム編集」を利用し、認知症の一種が発症する仕組みの一端を解明したと、京都大iPS細胞研究所の井上治久教授(幹細胞医学)らのチームが発表した。予防薬の開発につながる可能性がある。論文が英電子版科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
この認知症は、「前頭側頭葉変性症」と呼ばれ、患者には「タウ」というたんぱく質の遺伝子に変異があると報告されているが、詳しいメカニズムは不明だった。
チームは、患者2人から作製したiPS細胞を、脳の神経細胞に変化させて病態を再現。そのうち一つの細胞について、ゲノム編集でタウの遺伝子変異を修復し、病気の細胞と比べたところ、修復した細胞では異常なタウの蓄積が減った。
異常なタウが蓄積すると、細胞内で神経活動に関わるカルシウム量を調節する機能が低下し、発症につながるとみられる。井上教授は「他の認知症でも共通の仕組みがあるかどうか調べたい」と話す。
前頭側頭葉変性症 脳の前頭葉や側頭葉が萎縮し、同じ行動を繰り返すなどの症状が出る。国内の推定患者数は約1万2000人。65歳以下の認知症では、記憶障害が起こるアルツハイマー病の次に多いとされる。 2016年10月15日 読売
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