新種の人類ホモ・ナレディ発見、その舞台裏は<1> 洞窟の探索に悪戦苦闘
*南アフリカのライジングスター洞窟で見つかった「ホモ・ナレディ」の頭部化石=ESF
(CNN) 南アフリカのライジングスター洞窟の奥深くで3年前、子どもや成人、未成年者ら15人分の骨格が発見された。いずれも今まで知られていなかった新種の人類の祖先のものだった。「ホモ・ナレディ」と名付けられたこれらの新種の発見は、「人類の定義の再考を迫るもの」として大きな議論を呼んでいる。
古生物学の世界では、全身骨格1体を発見するだけでも宝くじを当てるのに等しい幸運とされる。だがこの洞窟からは1500点以上の骨化石が出土した。アフリカ大陸で発見されたヒト族の骨格としては過去最多の規模になる。
発見したのは南アフリカ・ウィットウォーターズランド大学の古人類学者、リー・バーガー氏。バーガー氏は2013年、これらの骨格を発見する寸前のところまで迫っていた。だが、洞窟唯一の出入り口から出土現場に通じる細い通路に行く手を阻まれた。「スーパーマンズ・クロール」の異名をとるこの通路は極端に幅が狭く、バーガー氏の体格で通り抜けるのはほぼ不可能だった。
しかしバーガー氏はフェイスブックで細身の洞窟探検家を募集。ウィットウォーターズランド大学の自身の研究チームに加わるよう求めた。こうして集められたメンバーとともに、人類の系統樹に新たな種を付け加える発見が実現した。
(中略)
こうして発見された新種は、ライジングスター洞窟にちなんでホモ・ナレディと名付けられた。「ナレディ」は現地のソト語で「星」を意味する。
ホモ・ナレディは人類に似た足や、長距離を歩くのに適した細い長い脚を持っている。一方で指が湾曲しているほか肩も類人猿のものに近く、木に登ってぶら下がるために使われた可能性もある。
頭部も現代的な要素と原始的な特徴が混在している。頭蓋骨(ずがいこつ)の形状は人類によく似ているが、脳は小さく現生人類の半分以下の大きさしかない。
ホモ・ナレディが人類に似た足と湾曲した指を兼ね備えていることについては、研究チーム内でも驚きと不安の念が広がった。バーガー氏は人類と原始人の特徴を併せ持つホモ・ナレディについて、「クレージーな生き物」と形容する。2016.09.25 Sun posted at 09:40 JST
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